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Metamorphose ― 瑠璃色の翅 ―

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泡沫恋歌のブログと作品倉庫     

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フリー画像素材 Free Images 1.0 by:[lauren nelson]様よりお借りしました。http://www.gatag.net/


   Action.23 【 夜行バス 】

 夜行バスなんかに乗るんじゃなかった!
 車内の消灯時間を過ぎても、後ろの座席の女性三人グループがお喋りを止めない。お菓子を食べる音や、時々聴こえてくる忍び笑いが耳について眠れない。それでもウトウトし始めたら、サービスエリアに停車する度にまた目が覚める。
 初めて夜行バスに乗ったけれど、運賃の安さで選んだわけじゃない。
 前日に夜行バスに乗って、目が覚めたら東京ディズニーランドに着いてるという、寝てる間の移動が気に入って決めたのだが……ああー、今さら後悔しても、もう遅い!
 移動する狭い空間の中で、見知らぬ人たちと一緒に過ごすのは、私にとってストレスだった。

 私の隣の若い男は、座席をリクライニングさせて毛布を顔までかけて、気持ち良さそうに寝息を立てている。バス旅行に慣れてるというか……こういう無神経さは見習いたいものだ。
 夜行バス、真っ暗な窓の外は高速道路に疾走する車が見えるだけ、夜明けにはまだまだ時間はあるというのに……暗い車内で寝ることもできず、私は途方に暮れている。

 今までディズニーランドへ行かなかったのは、一緒に行ってくれる人がいなかったせい――。

 三年間闘病生活を送っていた母を昨年亡くした。
 母と娘のふたり暮らしで父はすでに故人である。当時、私にはゴールイン間際の恋人がいたのだが、母の看病に明け暮れている内に疎遠になってしまい、気がつけば彼は別の女性と結婚していた。
 婚期がどんどん遠退いていく……私は今年で三十五歳になった。
 経済的には両親が残してくれた遺産があるので生活には困っていない。それでも家に独りぼっちで居るは寂しいので働きに出ている。近所の歯科医院の受付の仕事を見つけた。一日五時間だけ、気晴らしになるので丁度いい。
 ある日、若い歯科衛生士の女の子たちが東京ディズニーランドの話で盛り上がっていた。「アトラクションは何が好き?」ふいに訊かれた。誰でもTDLくらい行ってるだろうという前提のもとでの質問だった。――私はTDLには一度も行ったことがない。
 返答に窮して笑って誤魔化したが……この歳でTDLに行ったことがないというのは、非常に恥かしいことなのだと思い知った。
 ネットで検索したら、夜行バスで行くTDL二泊三日のツアーがあったので申し込んでみた、もちろんお一人様のツアーである。

 運転手が急ブレーキをかけたせいで、バスが大きく揺れた。
 隣の男が胸の上に乗せていたスマホが落ちて、私の足元に転がってきたので、それを拾って元の場所に戻したら「ありがとう」と男の声がした。
 てっきり眠っているとばかり思っていたが、彼は起きていたようだ。
 毛布から覗いた顔は男のくせにクルリと丸い目、伸びはじめた無精ヒゲがちょっと母性本能をくすぐる。気弱な表情で笑うと、何処となくダメ男のオーラが漂う、そんなタイプだった。
「このバスの運転手は乱暴な運転だな」
「そうなんですか? 私は夜行バスは初めてだから……」
「上手い運転手だとあまり揺れない、下手な運転手だとぜんぜん寝れない」
 さっきまで、すやすや寝てたくせにと言いたいところだった。

 朝になって目的地のTDLに到着した。
 勝手が分からずゲートの前をうろうろしていたら、隣の男が自分はひとりなので一緒に回らないかと声をかけてきた。そうして貰えると助かるとふたりでTDLと、翌日にはディズニーシーを回った。
 ジャングルクルーズは楽しかったし、スペース・マウンテンは結構怖かった、アリスのティーパーティにもふたりで乗った。まさか旅先で知り合った彼氏でもない男性とTDLで遊ぶなんて不思議な気分だった。
「俺さ、彼女とケンカして家を追い出されちゃったんだ」
「あらっ、そんな状況でよくTDLで遊んでいられるわね」
「落ち込んでても仕方ないし、気分転換にTDLにきてみたんだ」
「だけど……早く帰って、彼女に謝った方がいいわよ」
「いいや、もう彼女に未練なんかないさ。けど住むところには困ってる」
 男の話によると、仕事は元コックだったらしい。今は無職だが、来月から働き口は決まってるという。彼女に新しい彼氏ができたので、自分から別れたというのだ。――まあ、どこまで本当かは分からないが、何となくこの男が気に入ったことは確かだ。
「あんた、働く気ある?」
「へ?」
「うちの自宅警備員に雇ってあげるよ」
「はぁ~?」
「ひとり暮らしだし、空いた部屋ならあるわよ」
「ホント? そりゃあ助かる!」
 旅は思わぬ出会いが待っている。――そして旅は人を大胆にさせる。
「ねえ、帰りは新幹線にしようよ。途中、伊勢志摩で下車して伊勢海老と松阪牛を食べて帰らない」
「うわ~っ! そいつは豪勢だな!」
「一緒に食べようよ」

 そして旅は、新しいレールに乗り換えるチャンスなのだ。
 私は夜行バスの旅で、男をひとり拾った!




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   創作小説・詩
# by utakatarennka | 2016-08-29 15:19 | 掌編小説集 | Trackback

萌える猫 画像 35

萌える猫 画像 35

TwitterやFacebookや2ちゃんなどから、
可愛い猫画像をコレクションしました。


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# by utakatarennka | 2016-08-28 14:32 | 猫画像(コレクション) | Trackback
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# by utakatarennka | 2016-08-27 13:52 | 回想録

中華料理 麒麟閣

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先日、仕事仲間の主婦たちと東香里にある
『中華料理 麒麟閣』で、ランチをしてきました。

このお店は、関西に多い王将やバーミアンに比べて、
ちょっと高級な感じの中華料理のお店です。

でもランチは900円と結構安かった!
4つのコース、北京定食、広東定食、上海定食、四川定食から選べます。

写真は酢豚・海老天春巻きの上海定食です。
四川定食は海老のチリソース・若鶏の唐揚げと春巻きでした。

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店の中は中国っぽい雰囲気でした


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しこれが上海定食の全容です。


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具のボリュームとか王将の餃子に似てるけど、もう少しあっさりしてる


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絶品といわれる麒麟閣の杏仁豆腐です


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マンゴープリンもかなり美味しいよ


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『中華料理 麒麟閣』はデザートも美味しい!

落ち着いた雰囲気でお食事したいなら、ここがお薦めです。

中国料理 麒麟閣 東香里店
中国料理 麒麟閣 東香里店
ジャンル:完全個室 本格中華
アクセス:京阪本線香里園駅 徒歩25分
住所:〒573-0073 大阪府枚方市高田1-5-21(地図
姉妹店:中国料理 麒麟閣 寝屋川店 | 中国料理 麒麟閣 枚方店
周辺のお店のプラン予約:
村さ来 新石切駅前店のプラン一覧
香具山 のプラン一覧
鉄板焼き酒場 力 RiKi のプラン一覧
周辺のお店:ぐるなびぐるなび 枚方・交野×中華料理
情報掲載日:2016年8月26日


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# by utakatarennka | 2016-08-26 08:45 | 食べ歩き・グルメ(ぐるなび) | Trackback
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   Action.22 【 秘密にしてね 】

「秘密にしてね」という会話ほど、守秘義務の伴わない事案はない。
 女同士の会話で「秘密だけど……」と、これを使うと、あっという間に秘密は周知の件となる。冒頭に『秘密』を付ければ、「速やかにみんなに回せ!」と同じ意味になるから不思議だ。

 商事会社に勤める、浅井智世は勤続二十年のベテランOL、総務部主任の彼女はテキパキと仕事が早いという評判である。智世は社内にアンテナを張り巡らせて、職場の噂話や内緒話をダンボのように耳をそばだて聴いていた。
 他人の弱みを握れば、いざという時に役に立つ――。
 だけど若いOLたちに陰で『お局』と呼ばれて、仕事の以外で智世と会話をする者は誰もいない。
 アラフォーの彼女は結婚を諦めて、将来の夢は海外移住することだった。五十までにお金を貯めて会社を辞めたいと毎日ケチケチ生活を送っている。
 だから会社の備品をくすねていた。コピー用紙、インクリボン、筆記用具、お茶やコーヒー、トイレットペーパーまで、主任の立場を利用して在庫数を誤魔化す。おまけに取引先がくれた贈答品まで、こっそりと家に持ち帰っていた。
 だが、一度だけヘマしたことがある。社内に誰もいないと思って紙袋に備品を詰めて持ち出そうとする所を、忘れ物して取りに帰ってきたOLに見られてしまったのだ。
「今、見たこと秘密にしなさい」
「……秘密ですか?」
「そう、誰にも言っちゃダメよ。分かった!」
 智世は怖い顔で睨みつけた。まだ新人のOLは脅えた顔でコクリと頷いた。
 二十年も勤続しているのに、わずかな備品くらい貰って何が悪いと罪悪感もなかった。

 友人のいない智世は、時々一人でカラオケへ行く。
 自前の弁当とお茶を持ち込み、一番安い料金で歌いたい放題にする。若い頃に流行ったアイドルソングを大声で歌ってストレス発散した後、深夜の繁華街をうろついていたら、知っている人物を目撃した。
 安西早苗、上司の安西課長夫人である。
 若い男と腕を組んで歩いていた。サングラスと帽子を被って変装したつもりだろうが、間違いない――あれは早苗だ。
 気づかれないように二人の後をつけたら、ラブホのネオンの中に消えていった。
 ホテルの前でずっと見張っていると中から早苗が出てきた。イチャイチャしている二人の姿を携帯カメラで撮った。
 
 智世と早苗はかつて同期入社で親しい間柄だった。
 その頃、先輩社員だった安西という男に二人して熱を上げた。敏腕な彼は将来出世するだろうと皆に目されている人物だ。
 新人から仕事ができる智世と、物覚えが悪く仕事もいい加減な早苗だが、美人で愛嬌があるので男性社員には人気があった。――結局、男は有能な女より、無能でも可愛い女を選ぶものだ。
 早苗は安西と結婚して、今は課長夫人になった。
 ある時、出張の航空券を届けるために課長の家に寄ったら、上司の妻という顔で早苗に偉そうにされた事を智世は根に持っていた。
 出張中の夫の目を盗んで、浮気なんて絶対に許さないから!

 翌日、早苗の家に押しかけてホテルの前で撮った写真を見せた。
「お願い! 主人には秘密にして……」
 泣きそうな顔で懇願された。
「いいわよ。秘密にして欲しいのなら、それ相当のものを貰わないとね」
 智世はニヤリと笑った。――その日から、二人の立場が逆転した。
 課長夫人を呼び出し、高級レストランで食事をして、デパートで買い物をする。お金は早苗が全部払う、最後にお小遣いといって五万円から十万円の現金を要求した。そんな関係が三、四ヶ月続いたら、専業主婦の早苗は「これ以上は無理だ」と泣き出した。
「これで最後にしてあげるから、二百万用意して!」と迫った。

 残業していた智世に、安西課長から会議室に来てくれと電話があった。
「課長、何の用ですか?」
 不貞腐れた顔で訊くと、
「ちょっと、これを見てくれたまえ」
 と、会議室のテレビに映像を流した。
 それは備品を紙袋に詰めて会社から持ち去る智世の一部始終を撮影したものだった。
「これは……」
 絶句した。
「浅井さんが会社の備品を持ち出していることを、僕が知らないと思ってたか。以前、君の犯行を見たOLが僕の所へ相談にきたよ」
 秘密にしなさいと言ったのに、あの子が課長にバラしたなんて……悔しさで下唇を噛む。
「それだけじゃない。取引先がくれた贈答品まで持って帰っていたね。君のやったことは窃盗と横領。会社に知れたら退職金なしの首だ!」
 その言葉に智世は震えあがった。まさか妻の浮気は知らないだろうと、そのことを暴露したら、
「浮気をネタに脅迫されているのは早苗から聞いた。浮気くらいで離婚はしないさ。離婚は出世に一番響くから……妻から巻き上げられた金を全部返すんだ!」
「……返しますから、どうか会社には秘密にしてください」
「分かった。君は有能なので僕のために働いて貰おう。現部長を陥すため秘密を探ってくれ。いいね」
「はい……」
 秘密を握られて観念した智世は、課長の要求に黙って頷くしかなかった。




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   創作小説・詩
# by utakatarennka | 2016-08-25 13:24 | 掌編小説集 | Trackback