花 ― 花鳥風月 ―
「四季の素材 十五夜」様よりお借りしております。
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【 さくら 】
凍てつく季節を
乗り越えて
うす桃色 春の息吹
ふたりはいつも
想い合う気持ちで繋がっている
さくら心に咲いた
愛することは
認め合うこと
惹かれ合うこと
信じ合えること
心をあなたに委ねたから
寂しさに泣いた夜はもう来ない
想いを込めたさくら
春風に舞いあなたを包む
永遠の時を数え
その想いは深い
あなたの姿見失わないように
さくら散らさない
わたしのさくら
あなたのために咲く
あなたという光溢れる季節に
出会えた喜びに咲く
愛しい人よ
さくら満開に咲き誇る
【金木犀 】
夕暮れの街 自転車で走っていく
わたしの頬を 少し冷たい秋の風が撫でていく
金木犀の甘い香りが 風に運ばれて来た
不意にあなたの面影が 心に浮かんだ
思い出すのが辛くて 忘れられない想い出
憎むことで あなたに執着し続けた
『 もう 許してあげなよ 』 心の声が聞こえた
あなたがわたし以外の人を 選んだ事実に変わりはない
夕暮れの街 零れ落ちた涙の雫を
金木犀の風が 空高く舞い上げる
もう あなたのことを忘れよう そして……
明日から 新しい自分の一歩を踏み出そう
【 小さな花 】
小さな花が咲いていた
街路樹の植え込みの片隅で
ひっそりと人知れず咲いていた
ある日 ひとりの青年が立ち止まった
小さな花を見つけて
しげしげと眺めてこう言った
『 ああ、なんて可愛い花なんだろう 』
にっこりと青年は微笑んだ
小さな花は驚いた
こんなわたしを見つけて
可愛い花と言って
あの青年は微笑んでくれた
初めて存在を見つけられて
小さな花は嬉しかった
その日から あの青年のために
咲き続けようと誓った
小さな花は毎日々
雨の日も風の日もずっと待ち続けた
あの青年が
もう一度 わたしを見て
にっこりと微笑んでくれるのを!
風のように 小さな花の前を
自転車が颯爽と走り抜けた
あの青年だ!
その瞳は真っ直ぐに未来を見つめていた
足元の小さな花など目もくれない
もう存在すら忘れ去っている
『 わたしをあなたの手で引き抜いて
道端に投げ捨ててください! 』
そう叫ぶと小さな花は
悲しみに萎れて枯れてしまった
次の年から
その場所に小さな花は咲かなくなった……
【 月見草 】
月見草
月を慕いて
其の掌を
天に延ばす
切ない想い
蒼き月の雫
哀しみに
花びら濡らす
月見草
闇に恋して
朝日に萎れる
黄檗色で嗤う人
※ 黄檗色(きはだいろ) ― 薄い黄色
【 たんぽぽ 】
あなたのそんな言葉で
わたしを縛ることなんか
できないわ
優しくされたって
あなたの自由にならない
わたしの心はわたしのもの
いつも自由でいたいから
だから あなたの手を
そっと払うの
たんぽぽのように
無邪気なわたしの恋は
春一番が吹いたなら
ふわりと綿毛になって
大空に飛び立つ
ゆらゆらと春風と
ワルツを踊りながら
軽やかなステップで
光降りそそぐ その場所へ
今 舞い降りる
【 花束 】
疲れたあなたの心を
わたしの詩(うた)が癒すのなら
この想いを詩にしよう
詩はわたしの使える
唯一の魔法だから
あなたのために使おう
凍てついた心を
あなたが包み込んで
優しく溶かしてくれたから
わたしはあなたの
掌の温もりを知らない
心の温もりなら知っている
触れられなくても
伝わるものはあるんだ
この想い詩にして伝えよう
感謝の気持ちリボンで結んで
わたしの詩を花束に変えて
あなたの心に届けましょう
『 As far as there is love
This bouquet does not die 』