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猫カフェ『にゃんこの館』 9-①

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2013年の1月から、若者向けの携帯小説サイト
魔法のiらんどで作品を書き始めました。
猫カフェ『にゃんこの館』は、そこで連載しています。

携帯小説なので一文が短く、行間が広くなってます。
その為に文字フォントを大きくして掲載しました。


     【 魔法のiらんど 】

    


 Youtubeでご覧になれます

猫カフェ 『にゃんこの館』
〔前編〕
猫カフェ 『にゃんこの館』
〔後編〕





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 【 芸人にゃんこ ① 】

猫カフェ『にゃんこの館』

ナンバーワン・スタップのにゃん太は

日夜、自分の芸を磨いている

にゃん太の飽くなき探究心は

いったい何処からくるのだろう?

*


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にゃん太は仔猫の頃
母猫のタマと小さな時計屋さんで
飼われていました。

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その時計屋さんは
老夫婦が細々とやっているお店で
七十歳を超えた、おじいさんが時計の修理して
家計を立てている貧しい家でした。

それなのに、この家では
にゃん太親子の他に、柴犬のロンも
一緒に飼われています。

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――というのも、
おじいさんは『犬派』
おばあさんが『猫派』だからです。

日頃からおじいさんは
「猫は芸がない。人間の役に立たない」
と、文句を言います。

けれど、おばあさんは
「猫は芸がないけれど、見ていると心が和む」
と、言い返します。

ところが、ある日
お店の玄関の鍵を壊して、
ショーケースの時計を盗もうと
泥棒が入ってきました。

不審な侵入者に気がついた
柴犬のロンが大きな声で吠えて、
家族に知らせたので
泥棒は何も盗らずに逃げていきました。

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それ以来、おじいさんは
柴犬のロンをとても大事にして、
猫の親子には辛く当たるようになりました。

「この役立たずめ!」

おばあさんの見ていない場所で
タマは何度もおじいさんに
蹴飛ばされました。

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どんなに邪険にされても
タマ親子にはおばあさんがついています。

おじいさんに内緒でおやつに
煮干しや竹輪を食べさせてくれました。

「猫は役に立たなくてもいいんだよ」

そう言って、いつもニコニコ笑っていました。

優しいおばあさんのお陰でタマ親子は
この家で暮らすことができたのです。

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それが……
ある寒い冬の朝のことです。
いつもなら起きて、タマ親子に餌をくれる
おばあさんが、いつまで経っても起きてきません。

おじいさんが様子を見に行ってみたら……
おばあさんは布団の中で冷たくなっていたのです。
真夜中に心臓発作を起こして帰らぬ人となりました。

家の中でおじいさんがおばあさんの名前を
呼んで悲観にくれています。
生きてる時はケンカばかりしていたのに
いざ、相手が亡くなると……
寂しくて堪らないものなのです。

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お葬式やらで、家の中が忙しく
タマ親子の存在は忘れられて
餌が貰えない日々が続きました。

にゃん太はタマのおっぱいがあるので
平気ですが、タマは見る見る痩せていきます。

おじいさんが出掛けている間のことですが、
台所の戸棚から、煮干しの袋が見えました。
空腹に耐えられず、
タマは煮干しの袋を引っ張り出して
勝手に食べてしまいました。

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外出から帰ったおじいさんは
台所に散らばった煮干しを見て大激怒!

「この泥棒猫め!!」

タマとにゃん太は段ボールの箱に入れられて
自転車の荷台に乗せられてどこかへ
連れて行かれようとしています。

段ボールの箱の中で親子は
不安に慄いています。

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「かあさん、僕らはどこへ行くの?」
「分からない。どこかへ捨てに行くんだと思う」
「捨てられたら……ご飯は誰がくれるの?」
「野良になったら自分で生きて行くしかないんだよ」
「そんなの嫌だよぉー」
「猫は何も役に立たないから簡単に捨てられてしまう」
そう言って、タマは深いため息を漏らした。

「僕、怖いよぉ~」
仔猫のにゃん太は鳴きだした。

自転車をペダルを漕いでいたおじいさんは
ある建物の前で足が止まりました。

看板に、

 『猫カフェ・にゃんこの館』

と書いてあります。

そういえば、ばあさんが隣の町に
『猫カフェ』とかいう、妙なお店ができたと言ってたなぁ~
ここなら、仔猫くらいは貰ってもらえるかも知れん。
そう思い立って、段ボールからにゃん太を掴んで
おじいさんはお店へ入って行きました。

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階段を上がると、猫の形のプレートに
『welcome』と書いてありました。
中に入ると受付カウンターがあり、女の人が一人居ます。

「この仔猫は要らんので、
お宅で飼ってくれや! 名前はにゃん太だ!」


それだけ言って、受付カウンターの上に仔猫を置いて
さっさっと、おじいさんはお店から出て行った。

あっ気に取られた、この店のオーナーの美弥さんですが、
慌てて追いかけたが、自転車は凄いスピードで
走り去ってしまいました。

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カウンターの上の仔猫は
生後半年くらいの茶トラのオスでした。

利口そうな子だし、
オープン仕立てで、スタッフの猫も六匹しか居ないし
後、二、三匹はスタッフが欲しかったので
丁度よいとは思ったのですが……

しかも、あんな不躾で、気の短い
おじいさんに飼われていたら、
きっと仔猫が虐待されるのに違いないと
美弥さんは思ったからです。


そして、仔猫のにゃん太は
猫カフェ猫カフェ『にゃんこの館』のスタッフとして
正式に採用されました。





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創作小説・詩
by utakatarennka | 2014-05-02 17:34 | メルヘン