人気ブログランキング | 話題のタグを見る

― Metamorphose ―

rennka55.exblog.jp

泡沫恋歌のブログと作品倉庫     

ブログトップ

詩集 愛の言霊 ⑤

詩集 愛の言霊 ⑤_a0216818_16005961.png


 【 ケータイ☆ 】

アタシのケータイに
アイツから別れのメールがきた
冷たくなって メールを返さなくなった
アタシを 酷い仕打ちだとなじっていた
冷静な言葉の中に 無数の針が刺さった
恨みのメールだった

アイツは何も
気づいていないんだね
あの無神経さに
アタシが いつも傷ついてたことを
あんなに好きだと言ってたくせに
人の話を聞こうともせず
最後はバッサリと切り捨ててしまう
こんなやり方で!

 『  砂漠のような あの人の心に
    一滴の雫を 零してあげよう
    憐れみの涙として……    』

今さら 何を言っても仕方ないし 未練もない
アイツなんか アタシの記憶からも
アタシのケータイからも 消してしまおう
『 削除 』のボタンを押した!
アタシのケータイは 負けないんだから~☆



 【 恋愛中毒 】

たぶん わたしは狂っていたんだろう
あなたのその冷たさが 余計に熱くさせた
『いつも わたしだけを見ていて欲しい』
独占したい気持ちでいっぱいになってきた
激しい感情が 『毒』となって身体中まわり始めた

少しずつ狂い始めた まず3つの症状が表れた
『冷静さをなくす』『嫉妬深くなる』『情緒不安定』
『追えば逃げるという』恋の法則を無視して
ひとりで暴走してしまった そして……
あなたの心の壁にぶつかり 目が覚めた

はじめから 『自由な人』だと分かっていたのに
自分の価値観で 相手を縛ろうとやっきになっていた
たぶん 『恋愛中毒』で盲目になっていたのかも
恋をあきらめて いっぱい泣いたら心が軽くなった
わたし あなたを見て優しく笑えるかな

泣いたって笑ったって 明日は来る
涙と一緒に 『毒』も流れたみたい
涙の雨に濡れたアスファルトは
太陽を反射して キラキラ光っている
新しいスニーカーを履いて さあ歩き出そうか



 【 嘘と男と着信メール 】

男が嘘をついた

嘘だと分かっていて
わたしは騙されたふりをする
嘘だと言ったら
瞬間に
嘘が本当の嘘になってしまうから
すべてを失いそうで
怖くて
わたしはそれを言えない

男には何度も騙されてきた

彼の言う
「愛してる」はすべて嘘だった
わたしの心の傷に
「愛してる」という言葉を
絆創膏みたいに
ペッタンペッタン貼り付ければ
愛されているような
錯覚に
わたしは陥った
剥がせば傷口から血が流れるから
とても剥がせない

愛なんか
永遠でもなく 至上ではなく
ただの気まぐれな風だった

携帯に着信メールが届く

ピカピカ点滅して
わたしの携帯が反応する
男のメールを開いてみたら
それは昨日の嘘を上書きしただけの
無意味な言葉ばかりだった
いつも削除のボタンを押そうとして
結局
消さずに取って置くのだ

嘘 嘘 嘘 すべて嘘なのに――

愛は
与えるものでもなく 
奪うものでもなく
ただ信じる心だけで繋がっている
実体のない 不確実なもの
わたしは
真実なんか知りたくない
知った瞬間に
孤独な自分を知ってしまうから
お人好しのままで嗤っていたい

だから
嘘ついてもいいんです
嘘には真実を隠す優しさがあるから

その優しさに縋って わたしは生きていける
――と、きっとそう思う

詩集 愛の言霊 ⑤_a0216818_00375390.jpg


 【 山茶花 】

早朝に
冷たい北風が吹き荒れて
庭の山茶花が散っていた
そこらじゅうに
真っ赤な花びらがてんてんと
血のように落ちている

家の鬼門に赤い色
魔除けに植えられた山茶花だった
色彩の少ない冬場には
あの紅色はあざやかで
確かに人目を惹いたのだ

たとえば
南天のように実だけなら
こんな不様な散り方はすまいと
女は足元に散る山茶花の
紅い花びらに問う

風に負けない強さが 山茶花にはなかった
だから遊ばれて こなごなに吹き飛んだ

散ってしまったら
惨めなものだと風が嗤う
終わった恋など押し花になればいい
女は唇をぎゅっと噛んで踏みつけた
忘れてしまいたいの面影と
優しかった男の声と
手の温もり

道に散った花びらを
捨てていった男に投げつける言葉で
踏んで 踏んで 踏み躙る!

胸に燻る『未練』という鬼が荒狂う

女の足の裏は血に染まる
人に語らぬ恋の苦しみを
山茶花だけが知っていた――



 【 仲直り 】

ねぇ いつまでも拗ねてないで
正直に話し合いましょう
嘘 誤魔化し 意地っ張りはダメだよ

どっちが悪いかじゃないの
ケンカはひとりじゃできないんだから
ふたりとも悪い所があったはず

さぁてと何から話そうか?
まず こうなった原因から考えないとね
そうねぇ~
最初に怒ったのはあなたの方よ

えっ? 違うって……
だって あなたが不機嫌だったから
あたしも不機嫌になったのに

……嘘?

イライラして物に当たっていたのは
あたしの方だって言うの?
う~ん そうかなぁ
確かに疲れてイラついてたけど
あなたに怒っていないわよ

たぶん疲れていることが
不機嫌の原因だったのかしら?
きっと ふたりとも疲れているんだね。
温かいココアを飲んで
今日は早めに眠りましょう

平等に「喧嘩両成敗」でいきましょうか

「ゴメンなさい!」

明日の朝 目が覚めたら
今日のケンカは 昨日のケンカになってるから
きっと気持ちよく 
一日のスタートが切れるね!


詩集 愛の言霊 ⑤_a0216818_00430378.jpg




創作小説・詩

by utakatarennka | 2017-06-22 00:27 | 詩集 愛の言霊

by 泡沫恋歌