心詠(しんえい) ⑰
【 セルリアンブルーの空 】
鉛色の 雲の切れ間から
セルリアンブルーの空が見えた
あの空は あなたの心を映すように
凛と 澄み渡っていた
あなたに逢えない 寂しさに
自分を見失ってしまい
ほんの少し 心が揺れた
あなたの代りを 誰かに求めていた
手を延ばせば 届きそうな
あのセルリアンブルーの空に
優しく抱かれて 眠りたい
あなたの傍で ずっと夢見ていたい
【 漣 】
いにしえの人は
水鏡という
一枚岩をくり抜いた
大きな水盤に月を映して
それを愛でたという
わたしなら
水盤の水面に息を吹きかけ
漣を起こして
揺れる月を掌で掬って
呑んでしまいたい
【 コスモ 】
わたしの宇宙へ
いらっしゃい
ブラックホールは
異次元の扉
すべてを呑み込み
包み込んでしまうから
もう ここからは出られない
わたしのコスモは
あなたへの愛で溢れている
【 ジ・エンド 】
私の言葉で世界を塗り変えよう
真っ白なスケッチブックに
いろんな色を塗り籠めた
赤 青 緑 黄 紺 橙 桃
私のスケッチブックは賑やかになった
色が踊っている 私の心も騒ぎだす
溢れだした色が暴れだした
黒 灰 黒 灰 黒 灰 黒
私の頭の中で色が混じり合い
グチャグチャなった なんて汚い色だ
消さなきゃ! 白い色で存在を隠せ!
白 白 白 白 白 白 死
【 金糸雀 】
遠い空を籠の中から見上げる
―――…金糸雀は唄を忘れた
遠い空に輝く太陽に嫉妬する、
「私はあなたのようにはなれない」
と溜息を吐いた
この翼が剥がれ
この身が砕け潰れ
例え丸くカタチを変えたとしても
金糸雀は太陽のようにはなれない
金糸雀は輝き方を知らないから
遠い遠いと 忘れたのは唄ではなく
唄を忘れたわけではなく
太陽は金糸雀の唄を知らない
余りに遠くて 聞こえないから
しかし
羽搏く事を忘れた金糸雀は
唄を忘れたと偽った