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2017年 04月 10日 ( 1 )

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   第92話 なかよしにゃんこ兄弟

ある町に住んでいる。
なかよしのにゃんこ兄弟のお話です。

お兄ちゃんのリッキーくんはマンチカン、弟のナッツくんはアメショー
もちろん血のつながった兄弟ではありません。
のんびりマイペースな兄と利口者の弟でした。

だけど二匹はとってもなかよしなのです(ω゚∀^ω)ニャンニャーン♪

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とても月の明るい夜のこと。

飼い主、美弥さんのベッドの布団の上で
眠っていたはずの二匹でしたが、

「お兄ちゃん、お兄ちゃん……」
真夜中に弟のナッツくんの声がします。
「ん?」
その声に、兄のリッキーくんが寝むそうな目をやっと開きました。
「……ナッツ、どうかしたのか?」
「お兄ちゃん、ボク考えてたら寝られへんようになってん」
ナッツくんは神戸のブリーダーの家で生まれなので、
関西風の猫言葉を話します。
「寝れないなら、お兄ちゃんがペロペロしてやろう」
そういうとリッキーくんは弟の顔をペロペロ舐めはじめました。
「ちゃうねん、ちゃうねん!」
お兄ちゃんの趣味は弟の毛つくろいで、ペロペロが始まると
なかなか止まりません。
ペロペロペロ……

「もう、ええって!」
お兄ちゃんの顔に思わず“猫パンチ”しちゃったナッツくん。
「イテッ」「あっ! お兄ちゃんゴメン」
「ヘーキだよ。あははっ」
やさしいリッキーくんは弟に怒ったりなんかしません。
「ボク、お兄ちゃんに聞いてほしいことがあるんや」
「へ? なに? なんでも言ってみろ」
「あのなぁーボクら、いつもママにお世話になってるやろ?」
「ん? ママってだぁれ?」
「そこで寝ている人のことや」
「ああ、下僕のことか」
「下僕って……お兄ちゃん、下僕の意味しってんの?」
「下僕って、こいつの名前だろう」
そう言って、寝ている美弥さんのほっぺを肉球でツンツンしました。

利口なナッツくんは下僕の意味をテレビを観てしっていましたが、
本当の意味をお兄ちゃんに説明するのはやめました。

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「ボクらを可愛がってくれるママに恩返しがしたいんや」
「それって、下僕の仕事だっていつも言ってるぜ」
弟には優しいリッキーくんだけど、飼い主さんには“塩対応”みたい。
「だけど、ボクらに美味しい猫缶食べさせるために
ママは毎日仕事っていうところへ行ってるんやで……」
「オイラたちが家でゴロゴロしている間も下僕は仕事しているのか」
猫のリッキーくんには“仕事”いうものが、どんなモノかよく分かりませんが、
疲れて帰ってくる下僕を見て、大変そうだなぁーとは感じていました。

「うん。ボクらでママにしてあげられることないやろか」
「――たとえば、どんなこと?」
「ママが喜んでくれそうな」
「だったら、オイラのいちごの毛布を貸してやってもいいぞ」
いちごの毛布とは、リッキーくんの超お気に入りの毛布のことで、
それを肉球でフミフミすると気持ちイイみたいなのです。
いちごの毛布をフミフミしているときが、
リッキーくんにとって至福の時間なのだ。
「そんなのママはいらないよ!」
「そ、そっか~?」
キッパリ言われて、リッキーくんは“解せぬ”という顔になりました。

「ママの役に立って喜ばせたいんや」
「オイラたちにできることって……?」
じっと肉球を見ながら二匹は考えてみました。
「ママの猫友、美香ちゃん家のラグドール、クララちゃんは
黒い稲妻・ゴキブリを狩るらしい」
「すごいなぁー」
「しかも百発百中でゴキがバラバラにされるんや!」
「オイラには無理だ……」
情けない声でリキくんが呟いた。
そしてナッツくんはバラバラになったゴキを想像して……
エグイなぁーと思ったのでした。
「うん。虫は気持ちワルイし……」
小心者の家猫にはハードルが高い。

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「ママを喜ばせることができないなら、
悲しませないことなら、できるかもしれへん」
「下僕を悲しませないことって……?」
「ママが一番悲しんだことは、リッキー兄ちゃんの上に
もう一匹のお兄ちゃんがいたんやけど……
その猫が病気になって虹の橋を渡ったときや」
「うん。下僕はものすごく悲しんだ」
「大好きなママに、そんな悲しい思いをさせたくない!」
泣きそうな声でナッツくんが叫んだ。
その声にリッキーくんもすごく悲しくなった。

「ずっとママと一緒に暮らしたいんや」
「ナッツと下僕とオイラと仲良し家族」
「そのためにはボクらもママも健康でないとアカン!」
「からだをきたえるか?」
「お兄ちゃんはダイエットした方がええんちゃうか」
ナッツくんはモフモフすぎるリッキーくんのお腹をみてそういった。
「エへへ、やっぱりそっかぁー」
「けど。無理せんでも、いつもどおりでええねん」
「だったら、オイラはよく遊んで、よく食べて、よく寝るのだ」
「なるほど、そのとおりや! さすがボクのお兄ちゃんやでぇー」
ナッツにほめられて、自慢そうにリッキーくんは“どや顔”になった。どや!

「よく遊び、よく食べて、よく寝るぞぉ~♪」
嬉しそうにリッキーくんは節をつけて歌いはじめた。

『よく遊び~♪ よく食べて~♪ よく寝るぞぉ~~♪』

なかよしにゃんこ兄弟は声をそろえて歌いだしました。

にゃんこ兄弟の鳴き声にも目を覚まさず
美弥さんはスヤスヤと眠っています。

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朝がきて、美弥さんが目を覚ますと、
二匹のにゃんこは、布団の上でピッタリと
寄りそうように眠っていました。

起こさないように、そーっとベッドから抜けだすと、
リッキーくんとナッツくんの朝の猫缶を用意します。


― いつもの朝となにもかわらないけど
リッキーくん、ナッツくん、にゃんこ兄弟が、
きのうよりも、ずーっと“下僕”のことが
スキになっていたことを ―。

ゆうべのお月さまはちゃんとしっていました。



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   創作小説・詩

by utakatarennka | 2017-04-10 21:30 | 夢想家のショートストーリー集