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2017年 11月 13日 ( 1 )

心詠(しんえい) 31

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 【 憂鬱 三詩 】

『空虚』

何もしたくない日
ただ息を吸う

溢れそうな時間の水槽で

死んだ魚のように
空虚に浮かんでいる


『伝染』

あなたの憂鬱で
        わたしを憂鬱に
させないで!


『スイッチ』

善い顔と
悪い顔と
使い別けていたら
両方とも心の
スイッチが
壊れてしまった


 【 アルマジロ 】

アルマジロは
丸まって弱い部分を
固い甲羅で守っている

いろんな感情に触れて
わたしは疲れてしまった
叫びだしたい 衝動を抑えて
かろうじて ここに留まっている

『 もう 嫌になった 』
堪らなくなって 弱音を吐いた
結局 わたしの思考はそこで途切れて……
そこで終わった

そうやって 諦めてきたんだ

ああ なぜ人に生まれた?
花でもよかった
鳥でもよかった
風なら なおよかった

アルマジロは
丸まって弱い部分を
固い甲羅で守っている

今日のわたし
アルマジロになりたい人

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 【 鴉 ― crow ― 】

市街地の道路の隅に
転がる猫の死体
それに群がる鴉たち
餌に有りつけたとばかりに
黒い嘴でひき裂き
死体をむさぼり喰らう

死肉は鴉の胃の腑で
甘美な果実に変わる
狡猾な脳 強靭な生命力
邪悪な黒い魔物
血に染まった嘴で
一羽の鴉が天を仰いで鳴いた

カアァァァーーー

蒼穹の空を舞う
黒い翼の支配者たちよ
その眼に映るのは
累々たる人類の屍なのか
滅びの運命カタストロフ
警鐘は打ち鳴らされたり


 【 メデューサ 】

美しい髪の少女メデューサ
わたしの髪が一番きれい

   ……と言ったばかりに
     言ったばかりに……

女神アテーナーの逆鱗に触れて
その髪を無数の毒蛇に変えられて
見るもおぞましい怪物になった

その姿を見た者を
一瞬にして石に変える魔力
もう誰もメデューサを見ない 見ない
生きながらに その存在は死んでいる

やがて 醜さゆえに悪しき魔女とされ
英雄ペルセウスに首を掻き切られ
退治されてしまった

メデューサの生首から したたる血は
海に落ちて 赤い珊瑚になった
砂漠に落ちて 猛毒の蠍になった
そして 天馬ペガサスが生まれた

嘆きのメデューサ
おまえにどんな罪があったのだ?
女神アテーナーの嫉妬の生贄に

美しい髪の少女メデューサ
わたしの髪が一番きれい

   ……と言ったばかりに
      言ったばかりに……


 【 師走に咲いたタンポポさん 】

今日は12月も暮れです
道端で小さな花を見つけました

師走の空の下で
コンクリートの割れ目から
ひょっこりとタンポポさんが
顔を覗かしています

こんな寒い季節にどうしたの?
あわてん坊のタンポポさん
まだまだ 春には早すぎる

冷たい北風に向かって
黄色い花を咲かせた
けな気なタンポポさんを

愛おしいと思ったのです


       【 孤独 】

     生きていく 寂しさと
     死んでいく 儚さは

     「孤独」というラベルを貼って
     人生の書庫に並べられたが……

     しかし 誰もその本を
     手に取ってまで 読もうとしない


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創作小説・詩

by utakatarennka | 2017-11-13 19:34 | 心詠(しんえい)