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2017年 12月 04日 ( 1 )

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   第104話 悩める乙女

 悩める乙女の相談にのってください!
 とっても迷ってるんです。実は同時に二人の男子から告白されちゃったの。まるで嘘みたい……自分で認めるのも悔しいけど、アタシってば、美人じゃないし、まあ十人並みかな? 成績だって中くらいだし、スポーツはやや苦手、ごくごくフツーの高校二年の女子なんです。
 それが急にモテ期到来! ありえない!?

 告ってきた男子、一人は野球部のエース遊佐くん、超かっこいい、女子にモテモテなのに、なんでアタシに?
 放課後、ぼんやりグランド見ていたら、遊佐くんの方から寄ってきて、いきなり「おまえ、誰かと付き合ってる?」って訊いてきたから、「いいえ」と答えた。「だったら、俺の彼女になれよ」と言われて、ビックリして目をまん丸にしてたら、「明後日、試合あるから絶対に観にこいよ!」一方的に宣言して行っちゃった。

 告ってきた、もう一人の男子は文芸部の部長の諏訪くん。学年トップの成績、眼鏡男子でイケメンだよ。
 図書室に本の返却にいったとき「君に薦めたい本があるんだ。ついてきて……」と諏訪くんに言われて、本棚の奥に入っていったら、「僕は君と付き合いたいんだ。ねえ返事を聞かせてくれる?」と言われた。突然の告白に頭がパニックって「考えさせてください」と返事しておいた。

「――で、アタシどっちと付き合えばいい?」
「しるか! 普通、男子にそんなこと相談するか?」
「だってぇ~、こんなこと相談できるのは、幼馴染のタッくんしかいないよ」
 達央くんとアタシは幼稚園からの付き合い、ドジな女の子としっかり者の幼馴染の男の子は、アニメではテンプレだから――。今、放課後の教室で恋の相談にのって貰っているのです。
「恋バナなら、女子に相談した方がいいんじゃない」
「ダメ! ダメ! 女子は口が軽いから、すぐ噂が広まっちゃう」
「おまえはどっちといると楽しい?」
「二人ともマトモに喋ったこともないし……ピンとこない」
「お試しでデートしてから決めたらいいんじゃないか」
「ええっ! デートしてもいいの?」
「勝手にしろよっ!」
 それだけいうとタッくんはプイと怒った顔で帰っちゃった。
 いくら幼馴染でもリア充の話なんか聞きたくなかったのかな? タッくんには彼女いなさそうだし……。ゴメンちゃい。

 アタシはお試しデートをすることにした。
 まず野球部のエース遊佐くんの試合を観に行くことに、するといっぱい女子が応援にきていた。何だか癪だから……。
「遊佐くんの彼女ですけど」って言ったら、他の女子も「私も彼女だよ」「わたしらみんな遊佐くんの彼女だもんね」と言い出した。「それどういうこと?」と質問したら、遊佐くんは自分のサポーター女子のことを「彼女」と呼ぶんだって、アタシは彼女に選ばれたんじゃなくて、遊佐くんのファンクラブに勧誘されただけ? 勘違いしていた自分が恥かしい! そのまま走って帰ってきたアタシ――。

 日曜日に諏訪くんとデートすることになった。今度こそ本物の男女交際だよ。
 待ち合わせ場所に行くと諏訪くんが待っていた。「今日の僕の服装どう? カジュアルな方がいい? それともビシッと決めてるのがいい?」いきなり質問された。
 諏訪くんはチェック柄のシャツに黒のダウンジャケット、濃紺のジーンズだった。いつもの制服姿しか知らないアタシにはとっても新鮮だった。「似合ってます」って言ったら、今度は「今から映画に行く、水族館に行く、ゲーセンに行く」どれにするかの質問だ。
 さっきからアタシに質問しながら、メモを取ってるのが気になる。「なぜメモってるんですか?」と訊いたら、「これは小説を書くための資料だよ。テキトーな女の子とデートして恋愛シュミレーションしているのさ」だって。
 はぁ~? テキトーな女の子って、アタシのこと? ふざけないでよ! そのまま怒って帰ってきちゃった。

「――ってことで。アタシからかわれただけだった」
 お試しデートのことをタッくんに話ながら、悔し涙で顔がクシャクシャになった。
「そっか、ひどい奴らだな。泣くなよ。俺がいるじゃん」
「ありがとう。みっともないアタシを見せられるのはタッくんだけだよ」
「みっともなくない。おまえは可愛いから」
「えっ?」
「おまえが告られたって聞いて……俺、スゲー落ち込んだんだぞ」
「どうして?」
「幼稚園からずっと好きだったから」
「マジで? からかってるんじゃなくて……」
「ちげーよ! いつか、ちゃんと気持ちを伝えたいと思っていたんだ」
 「アタシなんかで本当にいいの?」
「俺は昔から迷ったことなんかない。おまえ一択だったから」
「その言葉を信じてもいいの?」
「正直な気持ちだ!」
 アタシはタッくんの気持ちを言葉で伝えて欲しかった。
「タッくんの気持嬉しい。でもちゃんと告白してよ」
「彼女になってください! 返事は?」
「は~い」
「今度、男子に告られたら、彼氏いますって断わるんだぞ!」
「了解!」
 なぁ~んだ。アタシの本命はこんな近くにいたのね。もう迷わない、アタシもタッくん一択でいきます。二人は彼氏と彼女になりました。
 悩める乙女から、アタシ幸せな乙女にヘンシーン!!



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創作小説・詩

by utakatarennka | 2017-12-04 14:08 | 夢想家のショートストーリー集