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カテゴリ:心詠(しんえい)( 20 )

心詠(しんえい) ⑳

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 【 春の嵐 】

春の嵐に街は洗われて
足元に出来た大きな水たまり
憂鬱な空を写している

ねぇ どうしてふたりは
別れなくてはいけなかったの
その理由を今も考えている

優しく成れないなら
人を愛する資格はないと
あなたがポツリと言った

その掌はわたしではなくて
いったい 何を掴もうとしていたのか
今もそれを知りたいけれど

置き去りにされた心は
水たまりの中に閉じ込められて
インディゴブルーに沈んでゆく



 【 天津飯 】

お金がない
って言ったら
男がズボンのポケット探って
くしゃくしゃの

ふくざわくん

これで
おまえの好きな
天津飯を腹いっぱい
食ってくれ!

いい男だ

うちは世界一の
幸せ者やわ
天津飯の味が
口の中に広がっていく

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 【 心の色 】

愛する心を色にたとえたら
どんな色になるんだろう

燃えるような紅色かな
ときめく鮮やか桃色かな

逢えない夜の寂しさは
沈んだ暗い群青色……

もう二度と寂しい想いは
させないとあなたが言った

その優しさに包まれたなら
たおやかな朱に色づいていく

幸せな色が心を染めていく
あなたが教えてくれた色

天にも昇りそうなこの想い
あなたの胸に届けましょう



 【 今の恋人は 】

私には分らないことがある
貴方の愛が本当なのか?
ただの遊びなのか?

今まで 
たくさんの出会いと恋があった
私はいつも後先考えず
恋に夢中になってしまい
自分の感情で相手を振り回した

結果 こんな私に呆れ……
疲れた相手に そっと去られた

今の恋人は
私の感情を聴いてくれる

突然の激昂!
怒りに任せて 
訳のわからないことを叫ぶ
感情の嵐に啼く女

そんな 私の話を最後まで
冷静に聴いてくれる

そして……

もう、落ち着いたんか?
うん……
そうか、良かった。

ごめんね、ごめんね……
いっぱい、困らせて、傷つけて……
どうして、こんなこと言っちゃうんだろう?

熱く燃える感情のやり場を
いつも優しい貴方にぶつけてしまう
自分でも分かっているんだ
これは病気なんだって……

ふたりの関係は性愛だけじゃあないよ
違う! しょせん身体なんか……
私が愛しているのは
貴方の心の広さなんだ!

女は男の広い心に抱かれたい
すっぽり包まれて守られたい

貴方を愛している
私には無い 冷静さと寛容さを持つ
貴方が私には必要なんです

どうか 見捨てないで……ねっ!



 【 polaris 】

暗い夜道で迷っていた
迷子のわたしの心
誰かに光を照らして欲しかった

polaris 北極星 それは道しるべ
いつも この場所で待っていると
そう あなたが囁いた

逢いたいに理由はない
別れるときは共にその星を
消そうと誓った ふたり

変ることのない輝きで導いて
polaris それは愛しいあなた
いつまでも その星を見つめている


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創作小説・詩

by utakatarennka | 2017-08-04 12:07 | 心詠(しんえい)

心詠(しんえい) ⑲

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 【 美しき“春”よ 】

ふぅ~

誰かのため息が
うなじをくすぐる
振り返ったら

黄色くなった“春”が立っていた

眼は真っ赤に泣きはらし
皮が捲れて鼻水が垂れている

あぁ~

私はポケットから
ハンカチの代わりに
白いものを“春”に渡す

マスクを手に“春”が微笑んだ

そよ風がふわりと舞った
その瞬間 鼻がムズムズ……

ハックショーン!

はぁ~

美しき“春”よ
おまえは花粉の季節だった



 【 小指 】

ひだりの小指に 
マニキュアを塗ってみたの
桜貝のピンク 
ほんのり色づく可愛い小指
指きりゲンマン
あなたと絡めたわたしの小指

ねぇ 分かってるの 
見えなくたって
あなたの小指と 
わたしの小指は
赤い糸で 
きつく結ばれているんだよ

だから 離れていても 
ふたりは繋がっているの
いつも 
あなたを身近に感じているから
逢えなくたって 
寂しくなんかないよ……

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      【 誇大妄想 】

     薄っぺらな想いを
     一枚一枚めくって
     さも 
     厚みがあるように見せた   
     誇大妄想ですね


      【 才能 】

     宝箱の鍵が

     みつかりません

     仕方なく箱を振ったら

     カラカラと

     頭蓋骨から

     乾いた音が響きました



 【 捕食 】

わたしは捕食される
草食動物でしかない
そんなこと分かってる

愛なんかじゃないんだ
欲しいのは肉の味
それだけの価値?

求めなければ 傷つかない
信じなければ 裏切られない
分かり切った理屈が
まだ分かってなかった

追い求めていたものは
ロマンという名の
甘い果実の味だった

わたしは愛という
妄想の世界しか生きられない
愚かな女だった



 【 天邪鬼 】

右といえば ひだり
西といえば ひがし

バカといえば うるさい!
こんな あたし天邪鬼

心に小鬼を飼っています
素直な女じゃありません

マイノリティ 
友だちなんか要りません!

畏怖堂々 怖いもの知らず 
天邪鬼 自分の心には素直です



      【 マトリョーシュカ 】

     切っても切っても 金太郎飴
     開けても開けても マトリョーシュカ

     夢の話だとしたら どっちが不気味?
    
     起きても起きても 仕事が待ってる
     寝ても起きても また仕事
     
     ああ こっちは絶望的だ!


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創作小説・詩

by utakatarennka | 2017-08-03 11:39 | 心詠(しんえい)

心詠(しんえい) ⑱

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 【 光のシャワー 】

ネットという 限りない海をただよう
漂流物のような わたしたちは
きっと 運命が呼び合ってめぐり会えた

   『 名も知らない 君を想い
    触れられない 君を感じる 』

パソコンを起動させれば いつも君がいる

運命は ジグソーパズルのように
一片の隙間もなく 埋められていく
小さな出会いでも なにか意味があるのだろう

   『 スペースを 埋める言葉は
    一次元の 不思議な記号だった 』

わたしたちは キーボードで会話していたね

北の大地で 君が見た光のシャワー
あれは 『 神の光 』と言うんだよ
神の存在は 光となりこの地上を照らす

   『 緋色の心で 翔び立つ君に
    光のシャワーよ 降りそそげ 』

君が教えてくれたこと 優しさは心の強さ



 【 ブラックホール 】

立ち上がろうとする脚に
蔦が絡みつく
早送りできない
ビデオの記憶たち
腐ったドブの水
悪臭に息を止める

現実逃避な あたし

小さなオニキスの欠片
暗黒星雲を彷徨っている
四次元ポケットから
ブラックホールを取り出す
全てを吸い込んで
封じ込めてしまえ

憂鬱な あたし 



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 【 薄氷 】
小さな水たまり
暗い冬空を映して
薄氷が張っている

  メリ…メリ…メリ…

靴底で踏みつける
ヒビが広がる鈍い音
囚われた心と身体

  メリ…メリ…メリ…

砕けた冬の残像たち
心の柔らかい部分が
ほんのり紅潮していく



             【 Good Nignt 】

              眠るきみの 
             夢の国を覗いたら 
            甘い香りの優しい風 
            虹色に輝く蝶々たち 
            幸せな夢に包まれて

             ― Good Nignt ―



 【 メール 】

朝のまどろみの中 鳴り響く携帯の着メロ
     あなたからの モーニングメールだ

仕事で疲れて 起きられないわたしのために
     毎朝メールで起こしてくれる 優しいあなた

色彩のない つまらない日常で
     心がほんのり色づく 朝のメール

神さまは いつまでこの幸せを
     わたしに 許してくれるのだろう


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創作小説・詩

by utakatarennka | 2017-07-29 16:57 | 心詠(しんえい)

心詠(しんえい) ⑰

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 【 セルリアンブルーの空 】

鉛色の 雲の切れ間から 
セルリアンブルーの空が見えた
あの空は あなたの心を映すように
凛と 澄み渡っていた

あなたに逢えない 寂しさに
自分を見失ってしまい 
ほんの少し 心が揺れた
あなたの代りを 誰かに求めていた

手を延ばせば 届きそうな
あのセルリアンブルーの空に
優しく抱かれて 眠りたい 
あなたの傍で ずっと夢見ていたい



 【 漣 】

いにしえの人は
水鏡という
一枚岩をくり抜いた
大きな水盤に月を映して
それを愛でたという

わたしなら
水盤の水面に息を吹きかけ
漣を起こして
揺れる月を掌で掬って
呑んでしまいたい

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 【 コスモ 】

わたしの宇宙へ
いらっしゃい
ブラックホールは
異次元の扉
すべてを呑み込み
包み込んでしまうから
もう ここからは出られない
わたしのコスモは
あなたへの愛で溢れている



        【 ジ・エンド 】

     私の言葉で世界を塗り変えよう
     真っ白なスケッチブックに
     いろんな色を塗り籠めた

     赤 青 緑 黄 紺 橙 桃 

     私のスケッチブックは賑やかになった
     色が踊っている 私の心も騒ぎだす
     溢れだした色が暴れだした

     黒 灰 黒 灰 黒 灰 黒

     私の頭の中で色が混じり合い
     グチャグチャなった なんて汚い色だ
     消さなきゃ! 白い色で存在を隠せ!

     白 白 白 白 白 白 死



 【 金糸雀 】

遠い空を籠の中から見上げる
―――…金糸雀は唄を忘れた

遠い空に輝く太陽に嫉妬する、
「私はあなたのようにはなれない」
と溜息を吐いた

この翼が剥がれ
この身が砕け潰れ
例え丸くカタチを変えたとしても
金糸雀は太陽のようにはなれない

金糸雀は輝き方を知らないから
遠い遠いと 忘れたのは唄ではなく
唄を忘れたわけではなく
太陽は金糸雀の唄を知らない
余りに遠くて 聞こえないから

しかし
羽搏く事を忘れた金糸雀は
唄を忘れたと偽った


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創作小説・詩

by utakatarennka | 2017-07-29 16:39 | 心詠(しんえい)

心詠(しんえい) ⑯

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 【 色・いろ 】

空を切り裂く
稲妻のような
赫い時を駆け抜けて

蒼く険しい道を
手探りで辿ってきた
背中には黒い影法師が
張り付いていた
コンクリートの孤独が
骨を溶かしていく

そして今は
萎れた碧の心
ひたすら豊穣の雨を待つ



 【 リズム 】

リズムをみつけよう
心地よいリズム

ゆっくりと歩もう
自分に合った速度で

いろんな街の匂いを
風が運んでくるから

時々立ち止まっては
立ち位置を確かめる

胸を広げて深呼吸
足の裏に力を込めて

今日も一歩一歩
確実に前進していく



 【 死化粧 】

殉死 夭折 心中……
死は美しい言葉で飾られる

生きる足掻きより
散っていくのは潔い
わたしは死を賛美する

美しいものは儚い
死者の唇に血の紅を注す

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 【 プロローグ 】

恋をしていない恋愛詩人なんて
出涸らしのティーパックみたいなもんで
味もなければ 香りも色もない

詩のネタに困って……
蛸が自分の足を喰らうみたく
自分のトラウマまで創作の糧にする

これが詩人の精神的嘔吐だと
誰が解ってくれるだろう
どんどん自虐的になって逝く

病んでます 壊れてます
自分の中に混在する 多くの人格を
把握仕切れません 疲れました……

美しい海を観ると飛び込みたくなります
長いロープを見つけると首に巻きつけたくなります
手首を見ているとカミソリで切ってみたくなります

死は詩人にとって 甘美な媚薬
それを想うだけで 心から酔いしれます
どうせ 壊れているなら 全部壊せばいい



 【 湖都 】

きらきら輝(かがや)く湖面を 滑る浮き舟
ゆるり流れに 身を任せて
絡む水草を 押し分け行けば
彼方に見える あれは 安土桃山城(あずづちももやまじょう)

古(いにしえ)の戦さに 敗れし武士(もののふ)の
御霊眠りし 古戦場
訪れし人なく 時経ち忘れられ
夏草茂れば うら哀しい 賤ヶ岳(しずがだけ)

群青の湖面に浮かぶ 帆船が一艘
陽の光を浴びて さざ波ゆれる
追い風うけ帆を張れば いざ前進せり
心地よい風に 頬撫でられし 浮き御堂(うきみどう)


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創作小説・詩

by utakatarennka | 2017-07-26 12:54 | 心詠(しんえい)

心詠(しんえい) ⑮

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 【 水たまり 】

あんまり雨が降り続くので
わたしの心の中に
水たまりができてしまった
底なしの深い穴
憂鬱な気分に沈んでいく
明日天気になぁれ
天を睨んで叫んだが
いっこうに
雨雲は晴れようとしない
いっそ水たまりを
跨いで渡ろうとしたが
怖気づいて立ち尽くす
小心者の顔が
水たまりに揺れている



 【 18歳 】

 18歳のわたし
細い肩に
いっぱい夢を乗せていた
小さな足に
赤いハイヒールを履いて
この掌で
いっぱい夢を掴めると思っていた

 18歳のわたし
愛することを知らず
愛されることばかり望んでいた
大人の恋を知って
しょっぱい涙の味を舐めた
ふたりの未来が
繋がっていると信じていたかった

 18歳のわたし
燃えるような季節を
素足で駆け抜けていった
傷つきながらも向かっていく
無邪気で怖れを知らない
そんな18歳のわたしを
今のわたしが抱きしめている



 【 時の兎 】

夢の中の 幼い少女のわたしは
れんげ畑で 花冠(はなかんむり)を編んでいた
わくわくしながら いつか出会う
わたしだけの王子さまに 捧げる花冠

ねぇ 時空の彼方 時の兎よ
わたしの運命の人は 何処にいるの
まだ見ぬ未来 おまえに導かれて
いつか この花冠で愛する人の頭(こうべ)を飾ろう

ねぇ 時空の番人 時の兎よ
わたしの未来は 愛と希望に輝いているかしら

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 【 叫びたい 】

幸せな奴らの話なんか聴きたくねぇ!
不幸な奴らのボヤキにも耳を塞ぎたい!

いったい なんだっていうんだ!?

幸せだったら みんなに聞いて欲しいんか?
不幸だから落ち込む話で 人に不幸を染したいんか?

いい加減にしてくれよ!

自慢話は退屈だし 自虐話は胸糞悪い
くだらない話で 人の心を繋がないでよ

他人と感情を共有する
コミュニケーションなんか 真っ平だ!

まるで友だちの振りして 放っといてよ
あたしは叫びたい! 叫びたい! 叫びたい!

 「こんちくちょう!!」



 【 ろくろを回す 】

くるくるくる

回転する茶色の物体
少し冷たいぬるりとした
感触が気持ちいい

くるくるくる

ろくろが回ってる
掌で土塊が形を成していく
不思議な陶酔だ

くるくるくる

わたしの掌が
小さな地球を創っていく
土塊に新たな使命与える

自作のマグカップで
珈琲を飲むなんて
これまでにない贅沢だよ


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創作小説・詩

by utakatarennka | 2017-07-25 16:40 | 心詠(しんえい)

心詠(しんえい) ⑭

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 【 ガードレールの花束 】

ガードレールの内側に
くくりつけられた花束
それに向って手を合わせる
初老の女性がいた

先日、その場所で
交通事故があったことを
私は知っている

バイクとワゴン車の衝突で
事故の瞬間は見なかったが
救急車がきて パトカーがきて
現場は騒然としていた

大破したバイクを
道路から移動させたら
大量の血とその側に
白いヘルメットが転がっていた

あれだけの事故だから
バイクの人は助からないだろう
と、思いながら……
私は自転車で通り過ぎたのだ

ガードレールの花束が枯れる頃
また新しい花が供えられる
御仏になった人を供養するのは
その母親かもしれない

我が子を亡くした姿は
悲しそうで見るのが辛かった
ご冥福を祈りながら
その場所をそっと通り過ぎる



 【 自虐 】

白い手首にカミソリをあてて
一筋の赤い線を描く
深くえぐれない 自分の弱さを呪う
したたる血が心地よくて嗤う

幼い頃に性的虐待うけました
親に放置されて育ちました
いつも母の愚痴を聴かされました

だから どうなの?
そんなことで絶望するの?
そんなの関係ない 
嫌いなのは 自分自身の愚かさ

生きていることに意味なんかない
死ぬ勇気がないから生きているだけ
心の中で 死への衝動を抑えられない

自分の流した赤い血の海で
人生と運命を恨みながら
のたうち回って無様に死ぬ
そんな最後が虫けらには相応しい

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 【 疑問 】

時計を見ながら 足早に歩くわたし
『 時間がない 』 この言葉にいつも動かされる
少しでも怠けたい そんな甘えを許してくれない
『 時間がない 』 心を置き去りにして

     わたしは 何処へいくのだろう?

大人になったら 周りがわたしに言う
『 責任をもて 』 責任ってなんだろう?
どうして大人は 責任を持たないといけないの
『 責任をもて 』 その言葉が足枷になって

     わたしは 自由に動けない!

みんながわたしを 励ましてくれる
『 頑張って! 』 その言葉は元気をくれる
わたしは いつまで頑張れないいの?
『 頑張って! 』 誰も答えてくれない

     頑張り続けた その先に何があるんですか?



 【 イルミネーション 】

海峡渡る橋の上 疾走する車
   ぐったりとシートにもたれる わたしの目に
      飛び込んできた 光のイルミネーション

漆黒の闇に 対岸の町の灯りが浮ぶ
   まるで光の宝石 それは生命の息吹  
      美しい夜景に 思わず感動で心が震えた

対岸の町は あの大地震で瓦礫に覆われて
   多くの命が失われて 悲しみの涙を流した
      完璧に蘇ってる なんと人の力の偉大さよ!

その瞬間 暖かい想いが込み上げてきた 
   わたしはみんなの 愛で生かされているんだ
      感謝の気持ちと 生きる喜びを感じた

帰りたい 帰りたい 早く帰りたい
   もうすぐ帰るよ わたしの育った町へ
      もうすぐ帰るよ 愛する人たちが住む街へ

                  ― 明石海峡大橋より―


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創作小説・詩

by utakatarennka | 2017-07-19 13:50 | 心詠(しんえい)

心詠(しんえい) ⑬

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 【 紆余曲折 】

自分で敷いた道がある
凸凹道で思うように進めない
曲がりくねった迷路の道で
迷ってばかりいる

ぬかるんだ道に
足を取られて転んだこともある
途中で立ち止まり
天を仰いで溜息を吐いた

もう嫌だ!
足元の石を蹴飛ばし大声で叫んだ
自分で選んだ道なのに
こんなに苦しいとは思わなかった

自惚れでも 
ナルシストでも 
馬鹿だといわれても
自分の才能に惚れるしかない

歩いてきた道程だけ
成長してきたと信じたい
まだ自分を諦めてはいない
紆余曲折(うよきょくせつ)しながら
創作の道をいく



 【 隙間 】

弱い自分はいつも
被害者の振りで人を傷つける
いろんな言い訳で
自分を守って
それでも守りきれないと
他人に怒りだす

ただ逃げ込める
小さな隙間が欲しかった
ちっぽけな自分を抱きしめたい
なのに守りきれなくて
野晒しの心が
干乾びていく……



 【 石ころ 】

泣き出したいほど辛いとき
心のスイッチをOFFにする
何も見えない 何も聞こえない 何も感じない
そうすれば悲しくても 
顔は笑っていられる

すべてをシャットアウトして 
自分の殻の中へ逃げ込む
弱いわたし 不器用なわたし 意固地なわたし
心が傷つかないように 
そうやって自分を守ってきた

アルマジロのように固まって
壊れそうな自分を隠しているの
触れられないように
石ころみたいに転がりながら 
それでも守りたい 小さなプライド

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 【 鞭 】

わたしの不幸が終わらないのは
  きっと 神さまが
 わたしに詩を書かせるためなんだ

  おまえの苦しみを書きなさい
   おまえの悲しみを書きなさい
    おまえの怒りを書きなぐれ!

そう言って 神さまは鞭をくれる
  ずっと ずっと鞭で
 打たれ続けた わたしは……

  人が信じられない
   自分のことも愛せない
    神さまなんか糞喰らえ!

全ての不運を神さまのせいに
  そんな 心には
 憎しみの感情しか残らなかった



 【 手袋の片っぽ 】

冬の道のあちこちに
手袋の片方がよく落ちている

ポケットから
ものを取り出す時に落ちたのか
自転車の前かごから滑り落ちたのか
私も長年愛用していた
手袋の片っぽを失くしてしまった

仕方ないと諦めていたら
いつも通る道のブロック塀の上に
ちょこんと置かれてあった
きっと誰かが拾って
ここに置いてくれたのだろう

両方揃わないと
手袋としては役に立たない

道に落ちた手袋の片っぽ
自転車に踏まれ 自動車に轢かれ
雨に濡れて 風に吹き飛ばされて
どこか溝の中に落っこちて
憐れな末路となる

もし道端に落ちている
手袋の片っぽを見かけたら
知らんぷりしないで
また相棒とペアになれるように
どこか目につく場所に
そっと置いてあげてください


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創作小説・詩

by utakatarennka | 2017-07-19 13:38 | 心詠(しんえい)

心詠(しんえい) ⑫

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 【 季節 】

傷心の時
人は季節を忘れる
今がいつなのか
ここが何処なのか
茫然として
うわの空

それでも季節は巡る

新しい風が吹いて
花々が咲き
陽の光は注ぐ
あなたの肩越しに
滔々と
時間が流れていく

季節は立ち止まらない

ふと道端に咲く
小さな花に
目が止まったなら
心の色も明るく染まる
薄桃色の花びらが
空を舞うころ

季節が手招きしてる



 【 拝啓、冷蔵庫 様 】

拝啓、冷蔵庫 様

長い間ご苦労さま
十六年間、寝食を共にした
おまえが逝ってしまい
わたしはとても寂しいよ

突然のお別れだった
何だか、冷えが悪いと思っていたら
冷凍食品が自然解凍されて
アイスは固体から液体に変わっていた

おまえが居ないと
食品を保存できないので
我が家は昭和三十年代に逆戻り
毎日、少しづつスーパーで買物してる

ああ、なんと不自由なことよ
おまえにどれほど依存していたことか
仕方ないので
後釜の冷蔵庫を買うことにする

ニューフェイス君は
省エネタイプでスマートなデザイン
氷も勝手にジャンジャンできる
急にキッチンが明るくなった

最後に、おまえの葬儀代として
家電品の引き取り費用が
五千円かかったことを記しておこう
鉄として再生された冷蔵庫に幸多かれと祈る

                     敬具

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 【 ときどき、神さま 】

ときどき、神さまについて
考えてみることがある
私は無宗教だが
神さまを侮ったりはしない

イメージは漠然として
先祖の霊だったり
大自然の力だったり
稲荷大社の狐だったり

見えなくても
名前がなくても
“いる”と信じたいのが
神さまの存在なのだ

困った時には
やっぱり祈ってしまう
だから わたしは
ときどき、神さまを信じてる



 【 愛を乞う人 】

愛が足りないとキミは言う
誰にも愛されていないと嘆く

愛というモノサシでしか
キミは幸せの価値を量れない

誰かがキミを好きだと言っても
何故信じられないのだろう

本当は自分を悲劇のヒロインに
仕立てて満足しているのかい

キミの心は砂漠のように渇いて
いつも愛という雨を待っている

寂しい寂しいと愛を乞う人よ
どうしたらキミの心を充たせるの

自分を愛せない魂は孤独だと
まだキミは気づいていないんだね



 【 秋 三詩 】

 『夕暮れ』

寂しいと呟けば
誰かが
肩を抱いてくれそうな
そんな
秋の夕暮れに


 『曼珠沙華』

野辺の道に咲く
真っ赤な曼珠沙華が
やけに扇情的で
まるで娼婦のようだ
根っこには
男を痺れさせる
毒があるらしい
悪女の誘惑
曼珠沙華の緋色


 『新米』

近所の人に
精米したての新米をいただいた
さっそくお米を研ぐ
新米だから水加減は少なめに
炊飯器の前で炊きあがるのを待つ

白くて艶々したご飯ができた
ああこれが銀シャリってやつか
どこか神々しい輝きだ
私の胃袋もわくわくしている

玉子かけご飯にしようか
味付け海苔で巻いて食べようか
いえいえ秋の恵み新米は
手を加えず食べるのが一番
いただきまーす


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創作小説・詩

by utakatarennka | 2017-07-18 20:46 | 心詠(しんえい)

心詠(しんえい) ⑪

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 【 September 】

カレンダーを
バリッと
勢いよく破った

今日から、September
さよなら、August

八月は大嫌いな月だった
暑くて 暑くて……
ただ暑いと呟くしかなかった

照りつける太陽に
トーストにされそうな
今年の暑さは拷問だった

やっと九月になった
空はもう秋の雲だ
朝晩も凌ぎやすくなってきた

苦しい夏を乗り越えて
September
一番大好きな季節をハグした!



 【 大縄跳び 】

子どもの頃
大縄跳びが苦手だった
自分の順番がきて
入るタイミングを計っているが
なかなか飛び込めなくて
戸惑っていた

後ろから
早くと背中を押されて
飛び込んだら
いつも縄を踏んでしまい
あ~あ……という顔を
みんなにされた

度胸がないのか
判断力がないのか
ただの鈍間なんだろうか

大人になった今も
ここ一番という時に
タイミングが計れなくて
迷ってばかりいる
大縄跳びは
やっぱり苦手だなあー

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 【 数字 】

遠い国で内戦があった

銃弾に倒れた人
爆弾に吹き飛ばされた人
炎に巻かれて焼かれた人々や

たくさんの人間が血を流し死んだ

勝利者は誇らしげに
殺した人の数を発表する
その中には罪のない子供もいたはず

新聞には○○○人 死亡とある

死亡者たち一人一人の
名前や苦しみ 怒りなど
そんな思いは記載されていない

個体数のみがカウントされる

人間は死んだら
数字に変換されるのだ
記録の中のただの数字なる

犠牲者という数の中に入れられて

名前も個性も奪われる
数字はいずれ忘れ去られて
記憶にも残らなくなってしまう



 【 バトンタッチ 】

盆を過ぎると
道端のあちこちに
蝉の死骸が落ちている
干乾びて塵同然

役目を終えた蝉たちに
弔いはない
墓もない
けれど残していった
ものがある

未来の夏には
また喧しく
蝉が鳴いているだろう
命を繋ぐバトンタッチ

この夏が終わった――



 【 分岐点 】

わたしたちは毎日
岐路(きろ)に立って考えている

左の道にいきますか?
 はい  いいえ

左の道にいったので出会った人
左の道にいかなかいので出会えない人

もしも 出会ったその人が
あなたの人生を
大きく左右する人だったならば
「運命の人」という言葉が後付けされる
どの道を選ぶか
それによって 人生は大きく変わるだろう

わたしたちは毎日
岐路に立って考えている

右の道にいきますか?
 はい  いいえ

右の道にいったがために災難にあった
右の道にいかなかったので災難をまぬがれた

飛行機事故や列車事故で命を落とす人
その生死を分ける 
分岐点はいったいどこにあるのだろう
あなたが選択肢を決めた
それは思考であったり
閃きだったり

わたしたちは毎日
岐路に立って考えている

この道の先に進みますか?
 わからない

この先はわからない未知なる道
この先はわからない破滅への道かも……

生死の分ける分岐点には
神さまが「寿命」と書いたプラカードを持っていて
命の選別をしているのかもしれない


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創作小説・詩

by utakatarennka | 2017-07-17 15:36 | 心詠(しんえい)