― Metamorphose ―

rennka55.exblog.jp

泡沫恋歌のブログと作品倉庫     

ブログトップ
a0216818_13184561.png

   第105話 吸血鬼カフェ

 木製の大きな扉は自動ドアになっていて、軽く触れるだけで開いた。だが、ギィギィーギギィ―――と不気味な音がする。どうやら音響効果としてそんな音をつけているらしい。
  同時に来客を告げる呼鈴にもなっていた。
「いらっしゃいませー」
 全身黒ずくめの若い男が出てきた。
 店内は薄暗く、電燈のかわりに蝋燭の炎が揺れている。煉瓦の壁には不気味な肖像画が飾ってあり、木のテーブルが三つ、各テーブルには髑髏が置いてある。そしてステージと思われる丸い台座の上には黒い棺が据えられていた。
 異様な店内に目を奪われて私は茫然とした。
「当店には初めてのご来店ですか?」
「あ、はい。ネットのブログに珍しいカフェがあると書いていたので……」
「そうですか。あのブログを書いたのはこの僕です。他にもTwitterやFacebook、最近はインスタも始めました」
「そ、そうなんですか」
 クラッシックな店の雰囲気からして、ネットをやりそうなタイプには見えなかったが、想像以上に商売熱心なようだ。
「申し遅れましたが、吸血鬼カフェの支配人です。といっても従業員は僕だけ、只今バイト募集中でございます」
 バス停から歩いて四十五分、こんな人里離れた所でアルバイトとする者は絶対いないだろう。
「本日はお一人様でご来店ですか?」
「はい。私は高校の新聞部なんですけど、珍しいお店の特集記事を書いています。今日は部員三人で取材に来るつもりでしたが……一人は怖いのが苦手で、もう一人は急用で来れないと(敵前逃亡)……、私一人で来ました」
「おおっ! なんと勇気のあるお嬢さんだ」
 正直、逃げ出したい気分だった。
「あのう。新聞部の取材で写真撮ってもかまいませんか?」
「どうぞ、どうぞ。ネットに記事あげて宣伝してくださいませー」
 私はデジカメで店内を撮って回った。カメラを支配人に向けるとピースをしながら「イエーイ」とアホなリアクションをされた。チャラい男だと苦笑する。
「では、お客さまに当店のサービスについてご説明いたしましょう。まず、ご注文いただくと、あそこから本物の吸血鬼が出てきます」
 支配人は黒い棺を指差してそう言った。本物の吸血鬼って……!?
「うちは吸血鬼と触れ合えるカフェなのです」なにそれ? 猫カフェですか。

「メニューはどんなものがあるんですか?」
 髑髏を持ち上げて、裏返すとメニューが書いてあった。
 スプラッタージュース、ゾンビライス、超スペシャルメニュー、たった三種類しかない。
「スプラッタージュースってどんなのですか?」
「トマトジュースにすっぽんの生血が入って滋養強壮に効果があります」
 ゲッ! 気持ちワルーイ、あんまり飲みたくないジュース。
「じゃあ、ゾンビライスって?」
「ケチャップのかわりに青汁で色をつけたライスにイカゲソと鳥皮、レバー、ホルモンなどを入れた炒飯、トッピングに豚足」
「……それって美味しいの?」
「超マズイ!!」
 マズイもん売るなっ! と突っ込みを忘れるほど堂々と返答された。
「この超スペシャルメニューって、なぁに?」
「こ、こ、これをご注文されますか!?」
「いいえ、中身を訊きたいだけ」
「このメニューは、世の中に絶望しているが、死にたくないという人間にお勧めしています」
「はぁ~?」意味が分からない。
「このメニューを僕は十年前に注文しました。当時、大学受験に失敗し、彼女にフラれて、おまけに白血病におかされていました。もう死ぬしかない絶望的状況ですが、それでも死にたくない。そんなとき吸血鬼に出会ったのです」
 急に支配人がシリアスな表情になった。
「吸血鬼に血を吸われて眷属(けんぞく)になりました。眷属というのは使い魔みたいなもので吸血鬼の下僕なのです。不老不死だから死ぬまで働かされるブラック企業だったりして……」
「後悔してるんですか?」
「いいえ、ただ二度と陽の光を拝めないのが悲しい」
 作り話にしては真に迫っていると思ったが、とても信じられない。

「ご注文はどれにします?」
 もう取材終わったし、さっさっと帰りたいが……なにか注文するまで帰して貰えそうもない。
「じゃあ、スプラッタージュースを……」
「スプラッタージュース、オーダー入りました」
 すると、ステージの上の棺が開いて男が起き上がった。それは古い映画に出てくるようなドラキュラ男爵だった。
「スプラッタージュースお待ち!」
 お盆にのせてドラキュラ男爵が持ってきた。そして白い牙を見せてニッと笑った。あまりの怖ろしさに、私は悲鳴を上げながら吸血鬼カフェから飛び出した。
「もぉ~、怖い顔で接客するから、お客が逃げちゃったじゃないですか」
「愛想笑いしたのにダメだったか?」吸血鬼に笑顔は似合わない。

 吸血鬼カフェから逃げ帰った私は、新聞部でカフェで撮った写真をプリントした。すると、支配人の姿がどこにも映っていない。
 もしかして、奴らは本物の吸血鬼だったの? 今でも信じられない私です。



a0216818_14234290.png



創作小説・詩

# by utakatarennka | 2017-12-06 14:25 | 夢想家のショートストーリー集

アニメ記録ファイル 146

a0216818_14155368.jpg

画像はおしゃれでかっこいい壁紙サイズの画像集【PC Wallpaper】からおかりしました。
https://matome.naver.jp/odai/2130176743667455101?&page=5


今までに鑑賞してきたアニメについて
やや声優さん寄りの視点にて、
腐女婆の独断と偏見によるアニメ感想なのだ。

作品資料などは私が登録している
有料アニメ見放題サイト
からお借りしております。


 ■ 作品名 ■

『GOSICK-ゴシック-』

 ■ あらすじ ■

聖マルグリット学園の図書館塔の上、緑に覆われたその部屋で、妖精のような少女――ヴィクトリカは待っている。
自らの退屈を満たしてくれるような、世界の混沌を――。そして一人の少年<春来たる死神>を――。
二人の出会いが、全ての始まり。その物語、GOSICK。

 ■ キャスト ■

ヴィクトリカ:悠木碧/久城一弥:江口拓也/アブリル:放送までお楽しみに!/グレヴィール:木内秀信/セシル先生:鹿野優以/コルデリア・ギャロ:沢城みゆき/ブライアン・ロスコー:大川 透/ゾフィ:根谷美智子

 ■ スタッフ ■

原作:桜庭一樹 (角川書店/角川文庫刊)
監督:難波日登志
シリーズ構成:岡田麿里
キャラクターデザイン:川元利浩・富岡隆司
アニメーション制作:ボンズ

 ■ ジャンル ■

ドラマ/青春 ホラー/サスペンス/推理

 ■ 制作年 ■

2011年

 ■ 感想 ■

さすが直木賞作家の桜庭一樹が原作だけあって、非常に良く出来た作品だと思った。
最初は探偵風の謎解きストーリーだと思っていたが、最終的には純愛ドラマだった。
人の感情を持たないはずのヴィクトリカが感情に目覚めていき
九城と別れるシーンでは、声を張り上げて泣く姿はとても切なかった。
感動させられた! これは秀作アニメですよ。

 ■ 評価 ■

 ★★★★


a0216818_20403699.png


ブログ
# by utakatarennka | 2017-12-05 20:43 | アニメ記録

アニメ記録ファイル 145

a0216818_14155368.jpg

画像はおしゃれでかっこいい壁紙サイズの画像集【PC Wallpaper】からおかりしました。
https://matome.naver.jp/odai/2130176743667455101?&page=5


今までに鑑賞してきたアニメについて
やや声優さん寄りの視点にて、
腐女婆の独断と偏見によるアニメ感想なのだ。

作品資料などは私が登録している
有料アニメ見放題サイト
からお借りしております。


 ■ 作品名 ■

『甘城ブリリアントパーク』

 ■ あらすじ ■

謎の美少女転校生・千斗いすずから強引に遊園地デートの誘いを受けた可児江西也。
わけもわからず連れて来られたのは、さびれたアトラクション、ダメダメなサービスの日本一残念な遊園地・甘城ブリリアントパーク。
その支配人だという“本物の”お姫様・ラティファに引き合わされた西也は、なぜか突然、閉園の危機にあるパークの再建を託されてしまう。そして、そこはただの遊園地ではなく――!?

 ■ キャスト ■

可児江西也:内山昂輝/千斗いすず:加隈亜衣/ラティファ・フルーランザ:藤井ゆきよ/モッフル:川澄綾子/マカロン:白石涼子/ティラミー:野中藍/ミュース:相坂優歌/シルフィー:黒沢ともよ/コボリー:三上枝織/サーラマ:津田美波 他

 ■ スタッフ ■

原作:賀東招二(富士見書房/富士見ファンタジア文庫刊)
監督:武本康弘
シリーズ構成:志茂文彦
キャラクターデザイン:門脇未来
アニメーション制作:京都アニメーション

 ■ ジャンル ■

コメディ/ギャグ ドラマ/青春

 ■ 制作年 ■

2014年

 ■ 感想 ■

京都アニメなので作画は文句なく良い。
楽しいコメディ作品に仕上がっていると思う。

 ■ 評価 ■

 ★★★


a0216818_20401981.png


ブログ
# by utakatarennka | 2017-12-05 20:32 | アニメ記録