
メディアの扱いほどの関心はない
報道・情報番組は高齢層の視聴者が多いため「パンダの話題は数字が獲れる」というムードが現在まで残っているほか、「政治経済や事件事故のニュースと変化をつけたい」という構成面での思惑もあって、まだまだこのスタンスは変わらないでしょう。
しかし、世間の人々はメディアの扱いほどの関心はなく、さらに今回は中国に対する不信も加わったことでメディアと世間の人々の温度差が広がり、不要論の盛り上がりにつながっている感があります。
世界的に見てもパンダが人気の動物であることは間違いありません。それは今月4日、中国を訪問したフランスのマクロン大統領に習近平国家主席自ら新たに2頭の貸与を約束する様子が報じられたことからもうかがえます。
一方、日本は25年6月に和歌山県の「アドベンチャーワールド」の4頭が返還され、26年1月に東京・上野の2頭も返還。中国が新たな貸与に言及しないことから、対応に差をつけていることは明白であり、中国から見た「現在の日本は友好の相手ではない」という意思表示にも見えます。
少なくとも日中関係の緊張状態が改善しなければ再貸与は難しく、「少なくとも数年かかる」とみるのが自然でしょう。
高市早苗首相の台湾有事をめぐる発言に対する中国の対応に不満を持つ人は多く、それがパンダ不要論のベースになっていることもあって、政府としても身動きが取りにくい状況に見えます。

パンダは本当に絶滅の危機なのか
最後にパンダそのものについても言及しておきましょう。
「中国に野生のパンダは約1900頭いて、それ以外にも飼育されているパンダが700~800頭いる」といわれ、増加傾向にあるとのこと。
日本以外では、台湾、韓国、シンガポール、マレーシア、インドネシアなどのアジアから、フランス、ドイツ、スペイン、オランダなどのヨーロッパ、アメリカ、メキシコなどの北米など世界各地で飼育されています。
絶滅危機に瀕した生物を掲げた国際自然保護連合(IUCN)のレッドリストに4万8000種以上が名を連ねる中、現在パンダはどんなカテゴリーで、どのくらい絶滅が危ぶまれているのか。
実はかつてパンダは「絶滅危惧種」でしたが、16年から危険性のランクが引き下げられ、「危急種」となっています。ここまで長くなったため、これ以上の詳細は書きませんが、日本からパンダがいなくなるこのタイミングで調べて学びにつなげてもいい気がします。
余談ですが、筆者は上野動物園に毎年行く動物好きで、パンダの観覧も楽しみにしていました。それでも今回の返還には考えさせられるところが多く、不要論とはいかないまでも、いったん立ち止まって考えてみることの必要性を感じさせられます。






















