角田光代 「紙の月」
最近は創作することばかりに腐心して
本も読まず、読書の楽しさを忘れてしまっていた。
面白い物語を書くためには、
私自身が読者の視点に戻るべきだと考え
『読書日誌』を付けようと思い立った次第であります。
■ 著者名 ■
『紙の月』
■ 著者 ■
角田光代
■ 出版社 ■
ハルキ文庫
■ ジャンル ■
小説
■ あらすじ ■
ただ好きで、ただ会いたいだけだった――わかば銀行の支店から一億円横領された。
容疑者は、梅澤梨花四十一歳。二十五歳で結婚し専業主婦になったが、子どもに恵まれず、
銀行でパート勤めを始めた。真面目な働きぶりで契約社員になった梨花。
そんなある日、顧客の孫である大学生の光太に出会うのだった……。
あまりにスリリングで、狂おしいまでに切実な、傑作長編小説。各紙誌でも大絶賛された、
第二十五回柴田錬三郎賞受賞作、待望の文庫化。
■ 感想 ■
以前、角田光代の「空中庭園」という作品を読んで、この作家のファンになった。
期待して読んだ「紙の月」だが、正直、少し期待はずれだった。
この作品は映画にもなって評価も高いようだが……銀行員の横領事件というのは
イマイチ新鮮さがないネタだと思うが。
鋭い感性で人間を描く角田光代の小説だが、この作品はサスペンスなのか、人間ドラマなのか、
どちらかよく分からない。
主人公の過去を知る男女三人が登場して、過去や本人たちの現代の生活について描かれているが、
直接、進行形の主人公の話には関わりがなく、ストーリーの緊張感をそいでしまっていると思われる。
読み終わったら、なんかバラバラの話を無理やり挿入したような感じがした。
主人公の一億円横領に至るまでの心理的経過や動機付けがどうも納得できない。
■ 参考になったこと ■
いろんな要素を織り交ぜ過ぎたら、肝心な部分のインパクトが希薄になるなあ~思った。
■ 評価 ■
★★★☆☆
【楽天ブックスならいつでも送料無料】紙の月 [ 角田光代 ] |