嶋恵子 「光景」
最近は創作することばかりに腐心して
本も読まず、読書の楽しさを忘れてしまっていた。
面白い物語を書くためには、
私自身が読者の視点に戻るべきだと考え
『読書日誌』を付けようと思い立った次第であります。
■ 著者名 ■
嶋恵子詩集 『光景』
■ 著者 ■
嶋恵子
■ 出版社 ■
新怪魚の会(私家版)
■ ジャンル ■
詩集
■ 説明 ■
私が所属する、同人誌『新怪魚』から、メンバーの嶋恵子さんが詩集を出されたということで、謹呈というかたちで
代表者のくるすたきじ様より、一冊贈っていただきました。
■ 感想 ■
看護師をされておられた嶋恵子さんの人の死を鋭くとらえた詩集です。
「光景」というタイトルは、ほとんどが患者などの臨終に立ち会った、看護師という職業でないと体験できない作品でした。
人の死を客観的に見て、感情を殺して冷静に観察して、そこから見えてくる死者の生き様や本質を鋭く描写しておられると思いました。
ずっしりと命の重みを感じる詩で、いずれは誰しも辿っていく道なのだと痛感させられた。
他に、「化粧」という詩は女性をどこか醒めた目で観察していらっしゃる。
私が以前に化粧をテーマに描いたものとはぜんぜんスタンスが違っていて、ものごとに対して達観しておられる方だと思った。とても知的な捉え方でした。
面白いと感じたのは「夢(旅)」の不条理な夢の世界なのに、とても懐かしく、デジャヴのように感じる。
切符をパチンと入れている音がなぜか耳元で聴こえるような錯覚がする。
こういう詩がわたし大好きです。
他の詩もとてもレベルが高くて、ものごとを俯瞰しているようなスケールの大きい詩だと思いました。
■ 参考になったこと ■
読ませていただくだけでとても勉強になりましたO┓ペコリ
■ 評価 ■
★★★★☆