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詩集 瑠璃色の翅 ⑨

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 【 前触れ 】

砂地にのびる
影法師
不機嫌な男みたいに
息苦しくて
湿っぽい
気圧が下がってる
きっと
嵐の前触れだ


 【 カケラ 】

この掌の隙間から
零れ落ちた想い
記憶のカケラ
もう一度
組み立てて
私の心の中で
再現してみる
そんな 
私は詩人になった


 【 群青 】

小さな想いが集まって
優しい笑顔が溢れ出す
いっぱい夢を語ろうよ
みんなの声が木霊して
心に翼が生えてくる
さあ みんなで一緒に
駆けあがっていこう
群青の あの空へ



 【 taboo Word 】

君が天使なら
私が悪魔になって
その綺麗な翼に傷をつけよう

もしも君が悪魔なら
私が天使となって
君の罪に裁きを下そう

これは 君を傷つけるためだけ
ただ そういうゲームなのさ

理不尽は【 taboo word 】
もう 逃げ場なんかないんだ

世の中には善も悪もないのさ
在るのは悪意に充ちた
自己満足だったりして……

18782+18782=37564
イヤナヤツ+イヤナヤツ=ミナゴロシ
ほら 素晴らしい数式だろう?

全ての罪を懺悔するがいい
絶望の淵までゲームは終わらない

理不尽は【 taboo word 】
発狂しそうな太陽を投げつけた



 【 アスタリスク 】

この世の中には
不愉快な言葉で溢れかえっている

目を瞑っても
耳を塞いでも

棘のある言葉が
皮膚を突き破って
神経にグサグサ刺さってくる

ああ どうすればいい
目と耳が欝になりそうだ

無神経な奴らが多過ぎる
傲慢な奴らが幅を利かす
自己中な奴らに振りまわされて……

わたしの神経は
鉛筆の芯みたいに細く削れて
ポキッと折れてしまいそうだ

あははっ
と 
笑って誤魔化しても……

うわ~~ん
と 
大声で泣いてみても……

ジリジリと沸点に近づいている
このままでは
臨界点を越えてしまう!

神さま お助けください
わたしはバカですが
決して悪い人間ではありません

   ******

パスワードを
打ち込もうとすると暗号を
アスタリスクが隠してくれる

不愉快な奴らの言動を
すべて   
この「小さい星」で隠してしまえ!

   ******

見えなかった
知らなかった
気づかなかった

三題言い訳できっと逃げ切れる

憂鬱な雲が晴れて
明るい光が心に差し込んでくる
やっと解決策がみつかった

最後に
わたしの名前にも

   *******

そう絶対に逃げ切ってみせる

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 【 Window 】

ブラインドを上げて
窓を大きく開けた
そこから新鮮な空気が流れ込んでくる

青い空 鳥の囀(さえず)り 風の音
明るい陽の光 そこに希望があった
掌を伸ばせば届きそうな楽園を探して
次々と窓を開けていった わたし

希望を見つけるためのロジック

ひとつ ひとつ
窓を開ける度に
成長していくようだった
思考や確信に近づいていくのだと
そう思っていた

だが それは間違いだった
無駄に開かれた窓からは
冷たい風が吹き込んできて
私の心は
忽(たちま)ち風邪を引いてしまった

なにが正しくて
なにが間違いなのかも分からない
混沌(こんとん)とした議論の渦に巻き込まれて
いろんな意思の力に依って
私の論理が曲げられていく
矜持(きょうじ)が圧し潰されていく

そこに希望のロジックはなかった

ファイルを削除した
マウスを壁に投げつけた
パソコンのプラグを引き抜いた
架空世界のシンデレラ
お帰りはあちら――

心のWindowをひとつ閉じた



      【 天花粉 】

    子どもの頃
    風呂上がりには
    首
    脇の下
    おでこ
    に
    天花粉(てんかふん)を
    いっぱい
    叩いた
    真っ白に咲いた私
    と
    夏の夕暮れ


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〈「滝平二郎の仕事展」の作品〉 朝日新聞日曜版「天花粉」1974年http://www.asahi.com/photonews/gallery/130222_takidaira/3.html



創作小説・詩
by utakatarennka | 2017-07-03 23:06 | 詩集 瑠璃色の翅