― Metamorphose ―

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愚詩 = 愚痴 ④

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 【 不幸自慢 】

ずっと私は
ツイテナイ人間だと思っていた
生まれは貧乏だし
学歴もないし
親戚に金持ちなんかいない

死ぬまで働いて……
働いて……
働き続けて
不要になれば捨てられる
単なる消耗品の人間でしかない

社会構造の底辺を支える
アトラスになれないが
こっそりと
隅っこで
アイムソーリーとあぐらをかく

そんな
私にできることといえば
不幸自慢だけ



 【 フルーチェ 】

フルーチェを作った
冷蔵庫で冷やして
お風呂上がりに
娘と二人で食べた
フルーチェのメロン味が
美味しいねと娘がいう

幸せというのは
毎日のささやかな喜びを
拾いながら
生きて行くことだよ
フルーチェを食べながら
したり顔で母がいう



 【 特別の日 】

今日が特別の日だってことは
朝起きてカレンダーを見て分かった

だって
赤いマジックでを付けていたもの

だけど
を付けたその日は
単に廃品回収の日でしかなかった

なんで赤いなんか付けたんだろう?

でもね
今日というこの日は一生に一度しか来ない
二度とない 今日という日を大切にしたい

だから
毎日毎日が赤いで囲った
私だけの特別の日なんだ


 
 【 妄想を泳ぐ 】

唐突な話なんですがね
最近 魚になりたいって思うんです
いえ 泳ぎは得意じゃありません
なんか太陽とか土とか風とか
面倒臭いなあーって感じるから

海の中はいいだろうなあー
何処までも
青く広く自由なんだ!

できたら回遊魚になりたい

「およげ!たいやきくん」なんか
口ずさみながら
大きなヒレで泳ぎ回る

ある時は深海まで潜って
幻の古代魚シーラカンスを探す
また月夜には海面まで浮上して
マンボウ君と南十字星を眺めるんだ

そんな風に存分に泳ぎ回って

最後は 
パクリと鮫にやられちまってぇ~
お終い!

あははっ

……あ まって
やっぱり メダカがいいわ 

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 【 おばさんの呟き 】

ごく普通のおばさんです

暮らしぶりは平凡ですが
お小遣いを稼ぐために
少々 仕事もやっておりまして
それを理由に家事は手抜している
ズボラな主婦でございます

趣味はスーパー銭湯とグルメ

そんなデフォなおばさんが
時々 詩と称する
短文を書き散らかしているのです
まあ 日常の四方山話で
詩に依る井戸端会議でしょうか

了見の狭い底の浅い思考

フッと頭に浮かんだ言葉や
胸の中でモヤモヤした感情を
パソコンに打ち込んで
ネットサイトに投稿して
ストレスを発散しています

文字数ばかりで内容は薄っぺら

出口のない不満や怒りを
盛大に吐きだして
勝手に「詩」とかほざいてる
厚顔無恥なおばさんは
この私です

誠に申し訳ありません

――ですが、おばさんなので反省はしません



 【 ちくわ 】

冷蔵庫に賞味期限切れの
ちくわが一本残っていた
二日しか過ぎていない
まだ大丈夫だろうと
丸かじりする

食べながら
ちくわの穴と対峙する
もしかしたら……
別世界が見えるかも知れないと
穴から外を覗いてみる

ジィィィ――――

一見無駄にみえる穴だが
そこにはちくわの
「美味しく食べてね」
と、いう
メッセージが込められていたのだ

時として
胡瓜やチーズといった
異物を挿入されたり
塞がれることもあるが
かまぼこや平天にはない
この穴こそが
ちくわのアイデンティティ!

安いからと
考え無しに買ってしまう
五本入りちくわだと
いつも一本残ってしまい
賞味期限切れ
ゴミとなり
捨てられることも多い

食材としては
おでんに入れるか
天ぷらにするか
そのまま切って食べるか
レシピにバリエーションがない
そういう意味で
ちくわって奴は自己完結している

そんなことを
つらつら考えている内に
一本のちくわは
私の胃袋に収まった

ちくわよ
今日も美味しく ありがとう!

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 【 納豆 】

私は関西人だけど
納豆が大好きです!
けれど頑固な関西人の旦那は
決して納豆を口にしない

蛸を食べる日本人を見る
欧米人の眼
豚を食べる民族を見る
イスラム教徒の眼

彼にとって
そんな腐って糸引いたような
臭い豆を食べる私は
異邦人なんだろう

だから納豆を食べるのは
旦那が居ない日に限定される
いそいそと納豆を
箸でかき混ぜている私は……


   ――まるで隠れキリシタン



 【 セロリくん 】

セロリくん
臭いから苦手だっていう人
あんがい多いんじゃないかな

触感はシャリとして蕗みたい
いたって淡泊な味なのに
強烈な野菜臭で
やたらと自己主張している

漢方薬みたいなあの臭い
わたし嫌いじゃないよ
体に良さそうだと
鼻孔がピクピク反応するから

セロリくん
なんでか気になる野菜さ
ときどき無性に食べたくなっちゃう



 【 物忘れ 】

ここんところ
物忘れが多くなった
年のせいにしたくないが
やっぱり年のせいか

特に人の名前を失念してしまう
テレビタレントは元より
知り合いの名字さえ出てこない

先日も
道で女性に挨拶されたが
顔には見覚えがある
その人の住んでいる家も知っている
――だが、名字が出てこない

はてな?

何百人もの顧客を仕事で扱っている
全部の顔と名前が一致するのは難しい
それでも思い出せないとなると……
一日中考えてしまう

気になる 気になる 気になる

いくら懸命に考えても
物忘れの答えがみつからない
まだ呆けたと認めたくないが
もういいやと諦めかけた頃に――

お茶碗洗ってる時に、あ!
お風呂に浸かってる時、あ!
布団の中で、あ!

布を噛んで動かなかったジッパーが
急にス―――と動いたように
謎だったワードが
頭の中に不意に降ってきた

やっと、これで安心できる!

私の老後の戦いは
この厄介な物忘れになるだろう



 【 猫の集会 】

ぽっかりお月さま 
今夜は月明かり
暖かい風が吹いてきた

ブロック塀の上に猫がいる
ゴミ置き場に猫がいる
駐車している自動車の底にも
猫が潜んでいた

ニャア――

真夜中は猫たちの世界
あっちこっちからやってきて
月に一度の猫の集会日だ
黒やら白やらトラやら
総勢十匹の猫が集まっている

いったい何を話しているんだろう
耳を澄ませて聴いてみたい

消費税が上がったので
猫の餌代もバカにならないって 
うちの飼い主がボヤクくのよ
最近は缶詰が減ってカリカリ餌ばかりだ
そればっかりだと
おしっこの病気になっちゃう!

おやおや、
猫さんの食生活が貧しくなってきてる

三丁目に猫カフェができたらしいよ
なんじゃそりゃあ?
猫のサービス業だって……
人間と遊んでやったら
リッチな餌がもらえるんだぜぇー
へぇー、チョロイ仕事だなあー

そうそう、
猫さんは人に媚びたりしないもの

戦争・原発・放射能
いつも不安を煽っている
人間は欲が深いから不満ばかり
それに比べて猫は――
わずかな餌と寝る場所さえあれば生きていける
年老いた茶トラがそういった

ふむふむ、
猫からみたら人間って憐れな生きものだ

生まれ変わるなら猫がいい
今度もやっぱり猫がいい
いつだって自由な魂を持っている

ニャア―――

猫は三日やったら止められにゃ~い♪


ぽっかりお月さま 
猫の集会の終わりには
そんな歌が聴こえてきました

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創作小説・詩


by utakatarennka | 2017-07-11 12:53 | 愚詩 = 愚痴