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by 泡沫恋歌
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夢想家のショートストーリー集 第110話

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   第110話 ガチャ★ガチャ

昨日、アタシ15歳になった。
誕生日プレゼントに自分専用のスマホを買ってもらった。
うちの教育方針で15歳になるまでスマホ厳禁だった。そのせいでラインもできないし、友だちとも長電話できない。
クラスでスマホ持ってないのはアタシだけ……可哀想な子あつかいだったよ。
昨夜はスマホデビューが嬉しくて、ライン登録送ったり、無料電話したり、あれこれやってたら朝になっちゃった。
ふぁ〜と大きなあくびがひとつ、ああ~暑さで頭がくらくらする。もぉ~蝉がうるさい!
夏休みの登校日、スマホを見ながら、のろのろと学校へ向かって歩く。

「あれぇ〜なんだろう?」
スマホの画面に知らないアイコンが入っている。
【ガチャ★ガチャ】と書いてる、こんなのインストールした覚えがない。
もしかしてスマホの初期特典かもしれないので、さっそく開いてみたら――。

■無料【ガチャ★ガチャ】この特典は世界中の15歳の男女からランダムに選びました。
あなたはこのサービスを受けられますか?

   はい   いいえ

「無料サービスってなぁに?」
とりあえず、なにか貰えそうなので『はい』を選択した。

■サービスを希望された方はガチャを回すことができます。
あなたはハッピーガチャを回しますか?

「 ハッピーとか、良いことありそう!」
アタシは迷うことなく『はい』をタッチした。

すると画面にガチャの絵が出現して、タッチすると赤いカプセルが出てきた。
『あなたの願いを1つだけ叶えます』と書いてある。

「これって? 占いアプリだったの」
スマホ初心者のアタシは、謎のアプリに好奇心いっぱい!

■コメント欄にあなたの願いを書いてください。
但し、他人の死や不幸を願うもの、もしくは歴史や経済に変動をきたす願い事はお受けできません。
どうぞ具体的に書いてください。

願い事ときいて、アタシの頭ン中に浮かんだのは片想いあの人。

〔同じ中学の3年2組のサッカー部のエース、内山裕翔くんと両想いになりたい〕

と、コメント欄に書いたら、
しばらくして『承認しました』の文字が出た。

「まさか、本当に両想いになれるのかしら?」
アタシは半信半疑だった、でもチョッピリ期待もしちゃう。
また新しいガチャが出てきた。

■『願いを1つだけ叶えます』をゲットしたあなたは、ラッキーガチャを回す権利を手に入れました。
あなたはラッキーガチャを回しますか?

「もちろん、ここまできたら回しますとも!」
ラッキーガチャが画面に出たので、さっそくタッチする。
「 よっしゃ〜! いけぇ――!!」

パッパラーパーンというファンファーレと共に黄金に輝くカプセルが飛び出した。

■『大当り! 強運のあなたは100歳まで生きられます。どうぞ幸せな人生を送ってください』

「はぁ? なにこれ? 100歳まで生きろって冗談のつもり?」
昨日、15歳になったばっかりのアタシに、そんな先のことなんか分からないし……。
ラインスタンプとか、コンビニで使えるポイントとか貰えるのかと思ったら、なんか意味の分からない特典ばかりでがっかりしたよ。

■アプリの『あとがき』を読みますか?

   はい   いいえ

ちょっと憤慨してるので『はい』をタッチ!

その時、目の前の建築中のビルから突然鉄骨が落下してきた。
もの凄い轟音に驚いたアタシはスマホを放り投げ、尻もちをついたまま動けなくなった。
あと10歩前を歩いていたら、あの鉄骨の下敷きになってペッチャンコ!
15歳の誕生日の次の日に死んじゃうなんて最悪だよ~。

「 君、大丈夫?」

背後に人の気配が、その声に振り向くと、
「う、内山くん!? だ、大丈夫れす~」
憧れの人が立っていたので、アタシはドキドキして顔が赤くなる。内山君が落ちていたスマホを拾ってくれた。
「危なかったね。スマホは壊れてないみたい」
買って貰ったばかりのスマホが無事で良かった、良かった!
傷はないかスマホの画面を確かめながら、あれ? ここにアイコンがあったような気が……てか、さっきなに見てたんだっけ? 思い出せない。

「もう行かないと遅刻するよ」

その声に促されるようにして立ち上がった。内山君と目があった瞬間、私の口から意外な言葉が、
「あのぅ〜ライン教えてください 」
九死に一生を得たアタシは驚くべき勇気を発揮した。
「いいよ」
オーケーしてくれたので、私のスマホに内山君のラインが登録された。
「困ったことがあったら、いつでもラインしろよ」
内山君の笑顔が眩し過ぎる!
もしかして恋に発展する予感が……根拠はないけど、アタシにはそんな気がする。
「さあ、行こう」
真夏の登校日も大好きな内山君となら、超ハッピー!!

 
■ページを開いたまま閉じられた『あとがき』を特別にお見せしましょう。

ガチャ★ガチャのアイコンは、本日死亡予定の15歳に与えられたスマホ限定特典です。
ハッピーガチャを回して、願い事アイテムをゲットしたら、さらにラッキーガチャで死亡を回避できます。
この『あとがき』まで読める確率10億分の1、ご利用ありがとうございました。

   提供:あの世とつながる ∞ 死神コーポレーション


     ※ 3分後、アイコンごとあなたの記憶も消去されます。



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創作小説・詩

by utakatarennka | 2018-07-18 14:13 | 夢想家のショートストーリー集