― Metamorphose ―

rennka55.exblog.jp

泡沫恋歌のブログと作品倉庫     

ブログトップ

カテゴリ:メルヘン( 30 )

a0216818_07362710.jpg


【 浅草の寅 2 】

――そして朝になった。

「リッチなモーニングを食べに行こう」

おいらたちは、隅田川沿いにある寿司屋へ直行――。
ゴミ箱の中には魚のアラやにぎり鮨も混じっているのだ。

「ここのネタは新鮮で旨いぜぇ!」

ゴミ箱の中から、にぎり鮨を探し出して、

「ほれっ! これが日本の寿司だ」
「キャッ! 辛い」

ひと口食べて、キャロルが叫んだ。

「わさびは猫には無理! あははっ」

仲よくゴミ箱をあさっていると、上空から黒い翼が飛んできた。

「おーい! 浅草の寅」

「おおっ、カラスのカン太郎か?」

黒い翼は、ゆっくりと降下すると、近くの街路樹に止まった。

a0216818_15134401.jpg


「よっ! 久しぶりじゃねぇーか?」

「わしも『カン太郎』一家を若いモンに譲って、
今は気ままな、はぐれカラス暮らしよ」

カラスのカン太郎とは祖父さんの代から付き合いのあるカラスだ。
一時は猫とカラスが餌場を巡って、熾烈な戦いの日々だったが
シマを分け合うことで、両者は和解して仲よくなったのだ。

a0216818_15135699.jpg


「最近、悪い噂を耳にしたんで伝えにきたんだ」

「な、なんだ!?」

「隣町の『両国のタマ』 一家があっちこっちの
餌場を荒らしてはシマを広げようとしてやがる」

「あの野郎……なんてアコギな奴だ」

「奇襲を掛けて、そのシマのボス猫たちを倒しているらしい」
「そっか、そりゃあ油断できねぇーな」

「おめぇも用心するんだぜぇ」

「ありがとよ!」

カァーとひと鳴きして、カン太郎は大空へ飛び立っていった。
その話を聞いて、おいらはシマのことが心配になった。
アコギな両国のタマのことだから……
きっと、ケンカをふっかけてくるに違いない。

「どうしたの?」

キャロルが心配そうに、おいらの顔を覗き込んだ。

チッ!
なんてきれいな青い瞳なんだ。
おいらは訳もなく、テレてしまったぜぇー。

「次は浅草で評判のスイーツの店に行こう!」

「Oh! スイーツ大好き♪」


喜ぶキャロルを連れて、おいらはケーキ屋の裏口に行く。

ゴミ箱を開けると、形が悪くて棄てられたケーキが
ごっそり入っていた。
生クリームたっぷり、こいつは一度舐めたら
やみつきになる美味しさだ!

「キャロルいくぜぇー」

おいらはケーキを勢いよく放り投げた。

「てめぇー! 何しやがる!?」

驚いたことに、そこには頭に生クリームを乗せた
両国のタマが居て、凄い剣幕で吠えた!

おいらの投げたケーキが当たったようだ。

生クリームまみれのタマ公を見て、
思わず噴き出しちまったぜぇー。

「チクショー! この野郎!!」

隣のシマの親分両国のタマが、
子分たちを引き連れて、おいらのシマに入ってきやがった。

これがカン太郎が言ってた奇襲作戦か!?

カンカンに怒っているタマの頭の生クリームを
子分たちが必死でペロペロ舐めている。
その滑稽さに、おいらは腹を抱えて笑った。

「やい、やい! 寅!!
この餌場はうちのシマだぜぇー」


a0216818_15141224.jpg


その言葉においらはカチンときた!

「てやんでぃ! 
ここは三代前から『浅草の寅』一家のものだ!」

「ガタガタぬかすんじゃねぇ!」

「シマから出て行け!」

猫の縄張り争いは熾烈なのだ。

「許さねぇ!」


a0216818_15563663.jpg


強烈な猫パンチをタマにお見舞いした。

「あいた! てめぇーやりやがったなぁ!」

タマの子分たちがグルリと取り囲んだ。
キャロルは脅えて、おいらにギュッとしがみつく。

ヤバい! ヤバイ!!

タマの子分は、ざっと20匹はいるだろうか?
多勢に無勢……この猫たちを相手においら一匹で戦うのは不利だ。

「寅! ずいぶんと別嬪を連れてるじゃねーか?
その娘はうちのシマで預からせて貰おうか!」

下司な目でキャロルをジロジロ見てやがる。

こんな野郎に指一本触れさせない!
キャロルはおいらが守るんだ。

「野郎ども! 寅の奴をタタんでしまえ――!!」

いっせいに子分たちがおいらを襲ってきた!
クッソー、卑怯者めぇー! 負けるもんかっ! 
おいらは浅草の寅でいぇ!!

カァ―――ッ! カァ―――ッ!

突然、空から黒い一団が舞い降りた。
それは、カラスのカン太郎とその一家だった。

「浅草の寅! 『カン太郎』一家が助太刀(すけたち)するぜ!!」

カラスのたちの援軍に『両国のタマ』一家はタジタジだ。
上空から襲ってくるカラスに突かれて、
子分たちはテンデンバラバラに逃げ惑う。

そこへ、一家の知らせで
三毛猫の三吉はじめ『浅草の寅』一家が大勢集まってきたぜ。


a0216818_15570725.jpg


浅草中に響き渡る、猫とカラスを交えた
『浅草の寅』一家と『両国のタマ』一家の大乱闘となった。

朝から騒がしい猫たちの喧嘩に近所の住民が出てきた。
野次馬たちも集まって、観光客たちも大勢見ていたが、
その中にキャロルと同じ青い目 の女の子がいた。

「Carol!」

その声に、一目散に飛んで行った。

女の子に腕に抱かれてキャロルは嬉しそうだった。
どうやら、キャロルの飼い主が見つかったようだ。


a0216818_16024670.jpg


そのまま抱きかかえられて車に乗せられてしまった。

発車の間際、おいらに向かってキャロルが何か叫んでいた。

……だが、
その声は聴こえない――あっけない別れだった。

キャロル……

おいらは走り去る車の後ろ姿をいつまでも見送っていた。

ああ~、なぜか脱力しちまった。

なんだろう?
この心の中に吹く風は……?

茫然と立ち尽くすおいらを見て、

「親分、大丈夫ですかい?」

三毛猫の三吉が心配そうに訊いた。

こいつは勘のいい奴だから……
きっと、おいらの心が読めるのだろう。

てやんでぃ! 
おいらは浅草の寅だぜぇ。
泣いてなんかいねぇーぞ!

「おめぇーら、いくぜー!」

威勢よく子分たちに声を掛けた。

三代前から引き継いだ、このシマは死守した
おいらたち『浅草の寅』一家の大勝利だ!

カラスの『カン太郎』一家に礼を言うと、
子分たちを引き連れて、浅草の寅は元気一杯に歩きだした。



ところで……
猫カフェ『にゃんこの館』の
スタッフさんの身内のにゃんこって分かりますか?

じつは、三毛猫の三吉はフロアマネージャーの
ミーコさんのお父さんだったんです。

利口なのは、この三吉父さんの遺伝だったのね♪

(ω゚∀^ω)ニャンニャーン♪


― おしまい ―
>


a0216818_14400826.jpg



猫カフェのイラストは友人のpokaさんに描いていただきました。
猫の加工写真もpokaさんです(*´∀人)ァリガト♪

他、にゃんこの写真は友人と知人と、このサイトからお借りしています。
 HD Wallpapers (High Definition) | 100% Quality HD Desktop Wallpapers http://www.hdwallpapers.in/#.US_aGEwvXcc.twitter …

無料壁紙の総合サイト 壁紙Link http://www.wallpaperlink.com/

かわいい猫の壁紙画像 http://matome.naver.jp/odai/2127198911354142701

猫カフェ「あまえんぼう」で撮影した写真を使っています(了承済み)
http://nekonoheya-amaenbou.com/



創作小説・詩

by utakatarennka | 2018-02-12 14:50 | メルヘン
a0216818_07362710.jpg


【 浅草の寅 1 】

このお話は
猫カフェ『にゃんこの館』の番外編です。
実はにゃんこの館のスタッフさんの
身内のにゃんこが活躍します。

あくまでたぶんですが……



てやんでぃ! 

おいらは三代続いた
浅草生まれの野良猫だぜぃ!

『浅草の寅』と言えば、
この辺りでは知らない者はいねぇー。

爺さんの代から、
浅草寺から花やしきにかけては
おいらの縄張りだ。


a0216818_13553650.jpg


今日も子分をひき連れて、
シマの見回りに出掛けるぜぃ!

おんや? 

雷門の下に見慣れない猫がいるぞ。

「やいやい! 
てめぇ、どこのシマのもんだぁ?」


子分A・黒猫のタツがいきなり脅しをかけた。

「あっ! ゴメンなさい。私、迷子なの」

見れば、真っ白なロン毛で青い目をした女の子だった。

「よぉ! ねぇーちゃん、どこから来たんだ?」

子分B・ブン太がにゃん相の悪い顔で訊いた。

「わ、わたし……カルフォルニアから来ました」


『かるふぉるにあ~?』


おいらたちは聴き慣れない言葉に素っ頓狂な声を上げた。

「なんでまた、そんな異国の猫が
浅草をウロウロしてるんだぁ?」

おいらが訊くと、


a0216818_14031604.jpg


「私、キャロルって言います。
飼い主と一緒に日本に来ました。
東京のブリーダーの家にホームスティするの」

「イヤで逃げてきたのか?」

「違います、違います!
車の中で飼い主の膝の上にいたけど……
退屈して、ドアが開いた時に飛び出しちゃったんです。
すぐ戻るつもりだったのに、
犬に吠えられてビックリして駆けだしたら、
帰る場所が分からなくなってしまったの」

そう言って女の子はシクシク泣きだした。

おいらは江戸っ子でぃ!
困ってる子を見たら放っては置けない性分だぜ。

「泣くなっ! おいらたちがお前の飼い主探してやるさ」

その言葉にキャロルの顔が、パッと明るくなった。

「ありがとう!」

a0216818_14033751.jpg


「まずは目撃情報ってもんが大事なんだ!」

子分C・三毛猫の三吉が言う。

こいつは学習塾に飼われている半野良猫で、
『浅草の寅』一家では、一番頭がイイにゃんこなのだ。

「どうすればいいんだ?」

「彼女は真っ白できれいだから、
浅草界隈を歩くと当前目立つ。
それで探している飼い主にキャロルを、
見たという情報が届きやすい」

「じゃあ、キャロルを連れて歩き回ればいいんだな?」

「そいういことです」

「なら、簡単だ! よーし行くぞぉー!!」


おいらたち『浅草の寅』一家の猫たちは、
わざと目立つように浅草寺の境内や花やしきを練り歩いた。
キャロルも初めて見る浅草の風景に興奮気味だった。

野良猫たちに交じって歩く、
きれいな猫を観光客たちは不思議そうに見ている。

「さすがに目立ってるぜぃ!」
「恥かしいわ」
「なんで、キャロルの耳は捻じれてるんだ?」

気になっていたことを訊いた。

「私、アメリカンカールって種類の猫なのよ」

キャロルの説明によると、
アメリカンカールという猫は生まれつき
耳が外向きにカールしているらしい。

人間が新種の猫を創るって話を聞いて
おいらは驚いたぜぇー。


a0216818_14115133.jpg


「キャロル腹空かないか?」

「ええ……空いてる」

「よっしゃ!
おいらの取って置きの穴場に連れて行ってやるぜぃ」


キャロルを連れて、商店街の外れにある
「もんじゃ焼き」の店に行った。

入口の前でニャーニャー鳴いていると、
おばあさんが出てきて、
削り節のかかったご飯をくれた。

「おやまあ、寅ちゃん。
ずいぶんシャンな子を連れてるじゃないか」

おばあさんはキャロルの分の
ご飯も用意してくれた。

――なのにキャロルは嗅ぐだけで
食べようとしない。

「どした?」

「これなぁに?」
「猫まんまといって日本古来の猫のご飯だぜぃ」

「この白い粒はなぁに?」
「米といって日本人の主食だ」

おそるおそる……
キャロルは猫まんまを食べた。

「Oh! Delicious」

ひと口食べて気に入ったみたいだ。


浅草の町を歩き疲れて
陽が暮れて夜風が冷たくなってきた。

「ねぐらは空き地に捨ててあるトロ箱の中にするか」

「トロ箱?」

「魚が入ってた箱だけど温かいんだ」

「カルフォルニアは一年中暖かいのよ」
「へぇー、そいつは羨ましいぜぇ」

「野良猫たちも自由に暮らしてるわ」

「日本には四季ってもんがあって、
冬は雪が降って野良猫には厳しい季節だぜぇ」

「雪? Snow? Oh!  Fantastic」

時々、異国の言葉が混じるキャロルだったが、
カルフォルニアという町がどんな場所なのか
想像もつかない浅草生まれの寅だった。


おんや?

空き地の発泡スチロールの箱には先客が居るようだ。
白い尻尾がのぞいている。

「リリー姐さん、お久しぶり」

「おや、寅ちゃんかい?」


a0216818_14162327.jpg


白猫のリリーは浅草のストリップ劇場の
踊り子が飼っていた猫だった。
だが、シャブ(覚醒剤)を打ち過ぎて
飼い主が死んだせいで、リリーは野良猫になってしまった。

けれど浅草一の美猫リリーを飼いたがっている人間も多い。
だが、最初の飼い主に『操(みさお)を立てて、
二度と飼い猫にはならなかった。

「ずいぶん別嬪(べっぴん)さんを連れてるじゃないか。
その子はあたいらとは世界が違うよ」

「そんなんじゃない! 
迷子だから面倒みてやってるだけだい」

「そうかい、だったらいいけどさ……」

キャロルの方をチラリと見て、
リリーは意味深な笑みを浮かべた。

「おや、ここをねぐらに来たのかい? 
だったら、あたしゃ他所(よそ)へ行くよ」

「とんでもない! あっしらが退散します」

「いいよ、いいよ。ここは若い者に譲るさ」

そう言って、りりーは去って行った。


リリー姐さんの気配りで、
反ってバツが悪くなった、おいら……。

「キャロルはここで寝るんだ。じゃあな」

素っ気なくいい、行こうとすると、

「待って! 独りにしないで、心細いわ」

潤んだ青い瞳でキャロルが見つめるから、
おいらのハートがキュンと鳴った。

「仕方ないなぁ……
おいらの蚤が移っても知らないぜぇー」

キャロルのふさふさの毛に包まれておいらは眠った。

なぜか仔猫の時に別れたおっかさんの夢をみたら、
ガキみたいに素直な気持ちになれた。




a0216818_14400826.jpg



猫カフェのイラストは友人のpokaさんに描いていただきました。
猫の加工写真もpokaさんです(*´∀人)ァリガト♪

他、にゃんこの写真は友人と知人と、このサイトからお借りしています。
 HD Wallpapers (High Definition) | 100% Quality HD Desktop Wallpapers http://www.hdwallpapers.in/#.US_aGEwvXcc.twitter …

無料壁紙の総合サイト 壁紙Link http://www.wallpaperlink.com/

かわいい猫の壁紙画像 http://matome.naver.jp/odai/2127198911354142701

猫カフェ「あまえんぼう」で撮影した写真を使っています(了承済み)
http://nekonoheya-amaenbou.com/



創作小説・詩

by utakatarennka | 2018-02-11 13:35 | メルヘン
a0216818_07362710.jpg


【 冒険にゃんこ 3 】

「おまえは何者だ!?」

兵士たちの隊長と思われる髭の男が尋問した。

長い長い洞窟を何日も彷徨っていた結果、
いつの間にかエジプトを抜けて、スエズ運河を越えて、
どうやら……ここはトルコ領のようだった。

a0216818_21205245.jpg


シンプソン卿は、なぜここに居るのかということを
できるだけ分かりやすく説明していたが、
相手は不審がって信じてくれない。

「怪しい奴め! 一緒に来て貰おうか!」

どうやらテロリストではないかと疑われているようだ。

そして軍部に連行されることとなった。
シンプソン卿に兵士たちが手荒なことをするので、
怒って吾輩は抗議した。

ニャアァァ―――!!

力いっぱい大声で鳴いた。

「おや? 肩に乗ってる奴は猫だったのか」

「彼はバロンと言います。一緒に冒険の旅をしている猫です」

「耳がないのでフクロウかと思っていた。
そうか、そうか、猫なら俺は大好きだ!」

髭の隊長の態度がガラリと変わった。


トルコは敬虔なイスラム教の国で猫好きが多い土地柄である。
それというのもイスラム教の開祖モハメッドが
大変な猫好きだった逸話があり、
その影響でイスラム教徒は猫をとても大事にするのだ。


a0216818_21211119.jpg


「こんな耳の折れた猫は今まで見たことがなかった」

「バロンはスコフィッシュフィールドという猫で、
突然変異で生まれた種族なのです」

「おまえは猫好きのようだな。猫好きに悪い奴はいない。
俺の家に来い、いっぱい猫を飼っているんだ」

そういうと髭の隊長はシンプソン卿と吾輩を自宅へ招いてくれた。

~ ✿ ~

髭の隊長の家にはきれいな奥さんと可愛いらしい娘が三人居た。

そして十匹ほどの猫たちも一緒に暮らしている。
トルコの猫は大事にされているので、
人懐っこく、みんな穏やかな性格なのだ。

「この子はアーイシャと言って、
トルコ原産のとても珍しい猫なんだ」

a0216818_21214808.jpg


隊長の膝にはオッドアイの白猫が乗っています。

その子を見た途端、吾輩の胸はときめいた!
彼女は素晴らしく優雅でセクシーな姿をしていたのだ。

「やあ、初めまして。吾輩はバロンと申します」

「あら、外国の方かしら? 
そんな風に耳が折れてる猫って初めて見たわ」

彼女も吾輩に興味を持ってくれたみたい。
アーイシャの案内でトルコの町を二匹で散歩した。

髭の隊長の家で一週間ほどお世話になる内、
シンプソン卿は隊長の三人の娘たちと仲よくなり、
吾輩はアーイシャと愛を育んでいたのだ。

a0216818_21223918.jpg


お別れの日、アーイシャに
一緒にイギリスへ来てくれないかと懇願したら、

「バロン、それは無理なの。
私たちヴァン猫はトルコから出国禁止の猫なのよ」


ヴァン猫はトルコを原産地とする品種で、
原種はもう絶滅したと伝えられて、
減少し続けている絶滅危惧種とても貴重な猫なのだ。

どんなに愛しく思っていても
アーイシャをここから連れ出すこともできない。
吾輩の胸は悲しみで張り裂けそうだった。

我々はお互いの毛つくろいをして別れを惜しんだ。

シンプソン卿は、
温かくもてなしてくれた隊長とその家族に感謝して、
洞窟で見つけた宝石をお礼に渡した。

吾輩はアーイシャに『永遠の愛』を誓って別れていった――。


風の噂でアーイシャが耳折れの仔猫を生んだと聴いたが、
冒険家たるもの愛よりも、危険な旅を欲するものなのである。

では、これにて吾輩のお話はおしまい――。

a0216818_21230659.jpg


「わーい! バロンおじちゃんカッコイイ!!」

バロンの話に仔猫たちは大喜びです。

「冒険の旅はまだまだ続くのだが、今夜はこれくらいにしておこう」

「ねぇーねぇー、バロンはここでみんなと一緒にいるけど、
シンプソン卿はどうなったの?」

仔猫が無邪気に訊いた。

「彼は今でも冒険の旅を続けているさ。
たしか、中国の奥地で桃色のパンダを探しているはずだ」

「えぇー? ピンクのパンダ見たい! 見たい!」

「シンプソン卿から、
桃色のパンダの写真が送られてきたら見せてあげよう」

「わーい」

「さあ、そろそろ君たちはオヤスミの時間だよ」


「――バロンはもう冒険しないの?」

イワンが真面目な声で訊ねた。

「吾輩はもう年だから冒険家は引退したんだ」

「俺もバロンみたいに、いつか冒険の旅に出てみたいんだ」

「イワン、君ならきっと行けるさ」

バロンは優しく微笑んだ。

「今夜はこれでおしまいだよ」

そのひと言で、
にゃんこスタップたちはそれぞれのゲージで休む準備を始めた。

~ ✿ ~

「ねぇ、バロンってイギリス生まれで冒険家の猫だったの?」

バロンの話を窓辺で聴いていた蘭子が、通りかかったミーコに質問した。

その問いにミーコさんは微妙な顔で笑った。

「これは内緒よ。絶対に誰にも話しちゃダメよ」

フロアマネージャーのミーコさんはスタッフたちの個人情報を
オーナーの美弥さんを通じてよく知っています。

野良猫出身の蘭子は気性は激しいが案外口が堅く、
仲間思いの猫なので、ミーコさんに信用されている。

「バロンは埼玉県のブリーダーさんの所で生まれた
スコフィッシュフィールドなのよ」

「えっ! それって日本じゃん!?」

「シィ―――……。
バロンは普通の家で飼われていたけど、
その飼い主さんが大変な映画好きで、
特に冒険映画をいつもテレビで写していたみたいなの。
バロンはそんな世界に憧れて、物語を創って主人公を演じているのよ」

「じゃあ、嘘なの?」

「まあ、嘘といえば嘘だけど……
バロンの嘘は誰も傷つけないし、
みんなも楽しんでいるからいいと思うの」

「うん。バロンの話は楽しいのでみんな夢中だよね」

「だから、みんなには秘密にしてね」

「オーケー!」

共通の秘密を握った、蘭子とミーコはイタズラっぽく笑った。

a0216818_21250982.jpg


「……けれど、どうしてバロンはここのスタッフになったの?」

もう少し訊いてみたい蘭子です。

「それはね。
バロンの飼い主さんが仕事で中国の奥地へ行くことになって……
中国では猫を食材として食べる習慣があるらしいのよ。
そんな危険な場所にバロンを連れていけないからと
飼い主さんに頼まれて、うちで預かることになったの」

「じゃあ、飼い主さんが日本に帰ったら、
バロンは引き取られていくの……?」

「もちろん。そうなるでしょうね」

それを聞いて、ちょっぴり寂しくなった蘭子です。


バロンが最後まで、
この猫カフェ『にゃんこの館』のスタッフだったら
いいのにと蘭子は胸の中で思いました。

だってお気に入りの窓辺の席で、
バロンの語る冒険談を聴くのが、蘭子も大好きだから……。

a0216818_21255427.jpg


耳折れ一族スコフィッシュフィールド、
自称イギリス生まれの冒険にゃんこバロンのお話は、
猫カフェ『にゃんこの館』のスタッフたちの楽しみです。

だから、ほら吹き男爵バロンの冒険
まだまだ続きがありそうだ!


(ω゚∀^ω)ニャンニャーン♪




a0216818_21265208.jpg



猫カフェのイラストは友人のpokaさんに描いていただきました。
猫の加工写真もpokaさんです(*´∀人)ァリガト♪

他、にゃんこの写真は友人と知人と、このサイトからお借りしています。
 HD Wallpapers (High Definition) | 100% Quality HD Desktop Wallpapers http://www.hdwallpapers.in/#.US_aGEwvXcc.twitter …

無料壁紙の総合サイト 壁紙Link http://www.wallpaperlink.com/

かわいい猫の壁紙画像 http://matome.naver.jp/odai/2127198911354142701

猫カフェ「あまえんぼう」で撮影した写真を使っています(了承済み)
http://nekonoheya-amaenbou.com/



創作小説・詩

by utakatarennka | 2018-02-10 17:59 | メルヘン
a0216818_07362710.jpg


【 冒険にゃんこ 2 】

このキングコブラの床をいかに突破すべきか!?

その時、吾輩の頭の中で豆球がピカッと光った。
これぞ『シックスニャンス』である。

我ら猫族には飼い主でさえ鼻をつまむ必殺のアレがあった。
もしかしたら、キングコブラにも通用するかも知れない。

失礼!

声を掛けてから、吾輩はキングコブラに向ってオシッコを掛けた。
牡猫の技でスプレーのようにオシッコを満遍なく撒いて歩いたのだ。

さすがに、この臭いオシッコにはキングコブラも驚いたようで、
慌てて壁の隙間や砂の中に潜っていった。

a0216818_17125113.jpg


シンプソン卿は、

「今だぁ―――!!」

と、叫んで駆け出し
キングコブラの床を強行突破したのだ。

あっはっはっは!


王の棺はピラミッド状に石を積んだ台座の上に安置されている。
そこに登る高い階段があり、天井は吹き抜けになっていた。

神殿の左右には山犬の頭を持つ
死後の世界の神、アヌビス神の像が二体、
エジプト王の棺を守っていた。

a0216818_17110659.jpg


王のミイラが入った棺は黄金で作られていて、
眩いほどに輝いていた。

その側に小さな棺があった。
これは王のお供で死者の世界へ逝く
猫のミイラなのだ。

古代エジプトでは、猫は高貴な生き物として、
とても大事に扱われていて
王が死んだらミイラにされて一緒に埋葬されたのだ。


吾輩はミイラにされた猫族のことを考えると、
ちょっぴり複雑な思いがするが――。



いよいよ、シンプソン卿が棺を開けようと手を掛けたが、
黄金のフタは重くてなかなか開かない。

やっと少しフタが動いた時、
急に床がグラッと揺れたと思ったら! 
大きな穴が足元に口を開き、
吾輩たちはその穴の中に真っ逆さまに落ちていった。

もしや、これが?
王の墓を暴こうとした盗賊たちへのトラップだったのか!?

a0216818_17113485.jpg


どれほどの高さから落ちたか分からないほど長い落下時間だった。
意識を失いかけた頃に、ふわふわした柔らかい場所に
やっと着地したようだ。

まるで絨毯のような手触りでシットリした温もりがあった。


――あれれ、何だろう?
よく見たらそれは巨大なキノコの傘の上だった。



どうやら吾輩たちは王家の墓から、
突然、地底の洞窟に落ちてきたようなのである。

洞窟の中は白い石膏の結晶で覆われた壁と、
鏡のように透き通った池があった。
真っ暗なはずの洞窟が明るいのは、
壁面でバクテリアが発光しているせいだ。

a0216818_17115240.jpg


はてさて、これからどうしたものか?
果たして、ここから脱出の方法はあるのだろうか?


とうとうシンプソン卿と吾輩は、
思いもよらない地底旅行をする破目になってしまった。

ただ、ひたすら出口を求めて歩き続けた
途中で何度も道が別れていたが、

その度、吾輩の猫の第六感!
『シックスニャンス』
で、道を選んできた。


食べ物は巨大なキノコや
鏡のような池で泳いでいる真っ白な魚を捕まえた。
時々、兎ほどの大きさ地底ネズミが姿を見せたので、
そいつも捕まえて食べた。

冒険者たるもの、どんな場所にいっても、
その環境に生息する生き物を
食べていかないと生き延びられないのだ。

かれこれ一週間にもなるだろうか?
出口を求めて洞窟の中を歩き続けている最中
『宝石の森』の中を通った。

a0216818_17120786.gif


大きな岩が地面に転がっていて、
その岩の表面には
ルビー、サファイア、エメラルド、ダイヤモンドなど、
大粒の宝石が貼り付いていた。

さながら宝石のクリスマスツリーのように
キラキラと輝いていたのだ。
ちょっとナイフの背で叩くと、宝石はポロポロ剥がれ落ちた。

そんなものには興味もないが、
シンプソン卿は一握りだけポケットに入れた。

a0216818_17122058.jpg


また出口を求めて歩き続ける。
さすがに吾輩たちも疲労が溜まってきて……
このまま一生、地表には出れないのではないか?

……と、ネガティブな思考が頭をよぎる。

我々は勾配を昇ってきたようなで、
洞窟はだんだん小さく狭くなって……
ついに天井に手が届くようになってしまった。

この先は行き止まりになるだろう
一人分しか空間がない所にまで行き着いた。

ああ、出口が見つからない。
我々はこのまま野垂れ死にする運命なのか!?

アーメン! 

シンプソン卿と吾輩は神に祈りを捧げていた。

a0216818_17204630.jpg


その時である! 
吾輩の敏感な耳が微かな物音を聴いたのだ。

猫の耳は犬の2倍、人間の4倍の聴力を持つのである。
耳折れ一族スコフィッシュフィールドだって
鋭い聴覚が見えない物でも、
ちゃんと、この耳で音を捉えることができるのだ。

間違いない! 
この上には町があるようだ。


吾輩はシンプソン卿に知らせるべく、
天井をガリガリ引っ掻いて、
大声で、ニャーニャーと鳴いた。

「バロン! どうしたんだい? そこに何かあるんだね」

耳を澄ませば、
微かに足音のような振動が伝わって来る。

シンプソン卿は大きな石を拾ってきて、洞窟の天井をドンドン叩いた。

しばらくすると、
上の方から合図を送るようにドンドンと音が返ってきた。
こっちも必死でドンドン叩いて合図を返すと、
向う側も気が付いたようだ。

その後、ブルドーザーのような物が穴を掘り始めた。
機械の振動が洞窟の天井全体に伝わってきた。

ついに、

ガガガーガチャ―――ン!! 


大騒音と共に天上にポッカリと大きな穴が開いた。

助かった! 助かった!!
やっと外の世界へ出られる歓喜で胸が躍った!

だがしかし、穴から出てきた我々を待っていたのは、
小銃を構えた兵隊たちだった。

シンプソン卿の頭に銃が突きつけられていた。

まさに《 絶対絶命 》なのだ!!




a0216818_17233288.png



猫カフェのイラストは友人のpokaさんに描いていただきました。
猫の加工写真もpokaさんです(*´∀人)ァリガト♪

他、にゃんこの写真は友人と知人と、このサイトからお借りしています。
 HD Wallpapers (High Definition) | 100% Quality HD Desktop Wallpapers http://www.hdwallpapers.in/#.US_aGEwvXcc.twitter …

無料壁紙の総合サイト 壁紙Link http://www.wallpaperlink.com/

かわいい猫の壁紙画像 http://matome.naver.jp/odai/2127198911354142701

猫カフェ「あまえんぼう」で撮影した写真を使っています(了承済み)
http://nekonoheya-amaenbou.com/



創作小説・詩

by utakatarennka | 2018-02-09 15:54 | メルヘン
a0216818_07362710.jpg


【 冒険にゃんこ 1 】

猫カフェ『にゃんこの館』には
個性豊かなスタッフがいます。

スコフィッシュフィールドのバロンは
英国生まれのジェントルマン
世界中を旅してきた

冒険家にゃんこなのです!




諸君に吾輩の話をしよう!

吾輩は英国生まれのスコフィッシュフィールドという猫である。

1961年、スコットランドのテイサイドという村の農家で
一匹の白猫が生まれた。

スージーと名付けられ牝猫には変わった特徴があった。
それは他の猫のように三角に耳がピンと立っていない耳折れ猫だった。

そのスージーこそが
耳折れ猫一族スコフィッシュフィールドのご先祖様なのだ。

a0216818_15045410.jpg


原産地はスコットランドであるが、
吾輩はロンドン生まれのジェントルマンだ。

吾輩の最初の飼い主は、サー・トーマス・シンプソン卿という
英国貴族で、考古学博士&冒険家だった。
彼と吾輩はまるで朋友の如く、一緒に世界中を旅してまわったのだ。

アフリカ、インド、南アメリカ……世界中の秘境や密林の中を
勇猛果敢にシンプソン卿と吾輩は入っていったのである。

冒険は怖くないかって……? 

いいや、血沸き肉躍るとはまさにこのことで、
冒険を前に吾輩たちに怖いものなどなかったのだ。

わっはっはっは!

~ ✿ ~

猫カフェ『にゃんこの館』では、
スコフィッシュフィールドのバロンの自慢話が始まります。

お店が終わって、夜の食事を終えた時間、
それぞれのゲージに戻されるまでの自由時間を
にゃんこスタッフは仲間たちと楽しい時間を過ごすのです。

そんな時、世界中を見てまわったという
冒険にゃんこバロンの話をみんなが聴きたがります。
外の世界をしらないスタッフ猫にとって
バロンの物語はとても刺激的でした!

ユーモアがあって、穏やかな性格、話好きバロンの周りには
いつの間にか〔猫の輪〕ができています。

その中心でスコフィッシュフィールド特有の
「人間のような」「プレーリードッグのような」
まるで弟子たちに仏法をするお釈迦様のみたいな
恰好で座っているのです。

a0216818_15051610.jpg


この風変わりな座り方は『スコ座り』と呼ばれています。

「さて、今夜はどんな話が聴きたいかね?」

「ネス湖のネッシーの話」
「ヒマラヤの雪男の話をしてよ」
「あたしはアマゾンの大蛇がいい」
バロンにいろんな話をせがみます。

「エジプトのピラミットの話が聴きたい!」

ロシアンブルーのイワンがひと際大きな声で言いました。

a0216818_15054509.jpg


利かん坊でイタズラっ子のイワンですが、
バロンの冒険話を大好きで、
その時だけはいつも大人しく聴いています。

「そうか、そうか。では、エジプトの話をしよう!」

エジプトと聴いて、アビシニアンのナイルの耳がピクリとします。
猫タワーのてっぺん、孤高の猫ナイルは聴いていないようで……
実はバロンの話には聴き耳を立てていました。

わくわくするにゃんこスタッフたちを前に、
バロンが冒険談を語り始めます――。

a0216818_15064692.jpg


吾輩とシンプソン卿は冒険の話があると
世界中のどこにでも飛んでいったのだ。

これはエジプトのギザの大ピラミットの近くにあった
地下の王家の墓をあばいた時のことだった。

砂漠の中で発見された王の墓だが、一度も墓荒らしに
侵入された形跡がない。
それは非常に見つかり難い場所にあったがために、
何世紀も忘れ去られた存在だった。

墓穴を塞いでいた大きな石板を除けると、
ポッカリと大きな入口が開いた。
吾輩はシンプソン卿の肩に乗って、
ロープで一緒に地下へと下りていったのだ。

冒険の旅に出る時、
シンプソン卿の肩の上は吾輩の定位置である。
どんな時もそこから降りることはない!
 ずっとしがみ付いておったのだ。

わっはっは!

a0216818_15072958.jpg


真っ暗な暗闇の穴を足が着くまで下りていく、
さて、15分くらいはロープにぶら下がっていたことか? 

吾輩は暗闇でも目が見えるが、
人間のシンプトン卿はさぞや不安だっただろう。
だが、彼も吾輩と一緒ならば心強いようである。

やっと、地下に着いた我々は中を探索し始めた――。

真っ暗やみの中で、
ヘルメットに付けた小さなライトが唯一の灯りだった。
そんな時、暗闇でも見える猫の目が役に立つ、
いつも吾輩がシンプソン卿を誘導していた。

行き止まりに大きな石板の扉があった。

a0216818_15092535.jpg


その扉には古代エジプトの象形文字ヒエログリフが描かれていた。
冒険家の考古学者であるシンプソン卿は、
そのヒエログリフを解読して、

「バロン! この奥の石室に王の棺が置かれているようだ」

と語った。 

その部屋に入っていきたいが、石板の扉の開け方が分からない。
押しても引いても、その扉はビクともしなかった。

「ああ~。ここまで来たのに諦めて、引き返すしかないのか……」

シンプソン卿がガッカリして溜息を吐いた。

その時だった、扉の前にあった
猫の女神バステト像の眼がキラリと光ったのだ!

a0216818_15084499.jpg


吾輩は猫の第六感(sixth sense)
『シックスニャンス』で、
これは何かあると思い……

シンプソン卿に教えるために女神バステト像の
頭の上に乗って、ニャーニャーと鳴いた。

「バロン! この像に何かあるのかい?」

そして、しばらく探っていたが……
猫の女神バステト像の首をクルリと回すと
石板の扉が開いたのだ。

勇み足でその部屋に飛び込もうとした
吾輩たちの足元に
とんでもない生き物がいた!

 それは釜首をもたげ、とぐろを巻く
何百匹もの猛毒蛇キングコブラだった。

これでは危険過ぎてとても前へ進めない。

a0216818_15112521.jpg
上重☆さゆりのイラストギャラリ様からお借りしました。http://joju.info/gallery/gallery-real.html


毒蛇たちに行く手を阻まれて……

その奥にある王の棺に行きつけず、口惜しさに
ギリギリと歯ぎしりをするシンプソン卿と吾輩だった。




a0216818_15114273.png



猫カフェのイラストは友人のpokaさんに描いていただきました。
猫の加工写真もpokaさんです(*´∀人)ァリガト♪

他、にゃんこの写真は友人と知人と、このサイトからお借りしています。
 HD Wallpapers (High Definition) | 100% Quality HD Desktop Wallpapers http://www.hdwallpapers.in/#.US_aGEwvXcc.twitter …

無料壁紙の総合サイト 壁紙Link http://www.wallpaperlink.com/

かわいい猫の壁紙画像 http://matome.naver.jp/odai/2127198911354142701

猫カフェ「あまえんぼう」で撮影した写真を使っています(了承済み)
http://nekonoheya-amaenbou.com/



創作小説・詩

by utakatarennka | 2018-02-08 14:40 | メルヘン
a0216818_07362710.jpg


【 仔猫ころころ 2 】

仔猫たちが里親に引き取られる件は
フロアーマネージャーのミーコさんを通して、
スタッフ全員に伝えられました。

天使のような仔猫たちが気に入っていたので、
みんなガッカリして……。

a0216818_20041171.jpg


特にマリリンは仔猫たちへの愛情が深く、
ショックのあまり餌も食べずションボリしています。

果たして仔猫たちが大事に育てて貰えるだろうか?

引き取られる先のお客の様子を知っているだけに不安が募ります。

――いっぺんにお店の空気が重くなりました。


そんな中、蘭子が叫んだ。

「アタシたちが仔猫を守るんだ!」

「そうだ! 仔猫たちは渡さないぞ!」


にゃん太も気炎を吐いた。

その意見にスタッフ全員が大賛成しました。


ミーコさんを通してオーナーの美弥さんに、
みんなの意見が届けられました。

猫カフェ『にゃんこの館』のスタッフは
仔猫たちの餌代を稼ぐために、
全員で毎日一時間サービス残業をやることに決めたのです。
そしてお客様獲得にいっそう営業努力をすることを条件に、
仔猫たちの引き渡しを全員[拒否]したのです。

にゃんこたちの熱い思いに美弥さんは感動しました。

正直、あの女性に渡すのは相当不安だったので、
やっぱり断わろうと決心しました。

……しかし、仮に断わるにしても、やはり理由が要ります。


翌日、仔猫の引き取りにきた女性に、
一応、仔猫たちを飼う環境について質問してみました。

女性の話では、
住宅はワンルームマンションでペット不可。
夕方から深夜にかけて水商売をしているので留守。
また外泊も多いとのこと――。
自分以外にも不特定の同居人がいるが動物には興味がない。


……ということでした。

この女性の話を訊いて、美弥さんは呆れ返ってしまいました。
猫を飼うための飼育条件があまりに劣悪過ぎるからです。

a0216818_20094909.jpg


「猫を飼うための環境が整っていません!」

美弥さんは仔猫の引き渡しをキッパリ断わりました。

それに対して、
「約束が違う!」とか、「猫餌も買ったのにどうしてくれる?」と、
散々ごねて、大声で喚き立てます。

結局、美弥さんから迷惑料として一万円をせしめて、
それでやっと帰って貰ったのでした。


噂では彼女のブログに、
猫カフェ『にゃんこの館』の誹謗中傷
散々書かれていたようです。
それに対して同意するコメントや
「イイね」もたくさん入っていましたが、
しょせんネットは一方通行の発信ですから……

美弥さんは気にしない!

お店の評判を落としても、
あのヒステリー女から子猫たちを守ったことに
今は安堵しています。
安心できる飼い主にしか仔猫たちを渡さないと
美弥さんは決意しました。

a0216818_20044801.jpg


スタッフたちも猫たちのことを
一番に考えてくれるオーナーには感謝です。

どんな悪評が立っても、スタッフのサービスで、
そんなものは跳ね返してみせる。

「今日も張り切っていこう!!」

にゃん太の掛け声でスタッフ全員に気合が入ります。

猫カフェ『にゃんこの館』では、
猫たちと触れ合いたいお客様を
にゃんこスタッフ一同

心よりお待ちしております。

(ω゚∀^ω)ニャンニャーン♪




a0216818_20113234.png



猫カフェのイラストは友人のpokaさんに描いていただきました。
猫の加工写真もpokaさんです(*´∀人)ァリガト♪

他、にゃんこの写真は友人と知人と、このサイトからお借りしています。
 HD Wallpapers (High Definition) | 100% Quality HD Desktop Wallpapers http://www.hdwallpapers.in/#.US_aGEwvXcc.twitter …

無料壁紙の総合サイト 壁紙Link http://www.wallpaperlink.com/

かわいい猫の壁紙画像 http://matome.naver.jp/odai/2127198911354142701

猫カフェ「あまえんぼう」で撮影した写真を使っています(了承済み)
http://nekonoheya-amaenbou.com/



創作小説・詩

by utakatarennka | 2018-02-06 17:40 | メルヘン
a0216818_07362710.jpg


【 仔猫ころころ 1 】

猫カフェ『にゃんこの館』にいる
アメリカンショートヘアーの三匹の仔猫たち。

床の上を石ころのように
転がりまわって元気よく遊ぶ

その可愛らしいしぐさで
みんなを魅了しているのです。




仔猫というのは期間限定のエンジェルだから、
その姿に癒されたくて、来店するお客様もたくさんいます。

仔猫の兄弟は
一番大きい子と一番小さい子が女の子で、真ん中が男の子です。

a0216818_17335876.jpg


――この三匹の仔猫たちには名前がありません。

なぜなら、猫カフェ『にゃんこの館』スタッフではないので、
名前を付けると『情がうつる』から付けていないのです。

オーナーの美弥さんが、ある事情で仔猫たちを預かっています。

実は、この子たちの母猫が授乳中に原因不明の
【猫の突然死】で逝ってしまい、
世話をみる者がいなくなってしまったからです。

猫には心筋症という病気が多く、
今まで全く症状が出なかったのに、
ある日突然、発作が起こり、亡くなることがあります。

飼い主だった女性は、
初めて愛猫に出産をさせて五匹の仔猫が生まれましたが、
そのせいで母猫の体力が消耗してしまい、
突然死させたと思い込み、
罪の意識から泣いてばかりで……
残った仔猫たちの世話もできない状態でした。

五匹の仔猫の内、
二匹は貰い手があって他所に引き取られましたが、
三匹の引き取り手が見つからなくて、
猫カフェ『にゃんこの館』に連れて来られたのです。

しかも、猫カフェに預ける時に、

「飼いたい人がいたら、どうぞあげてください」

と、その飼い主は言いました。

a0216818_17341370.jpg


仔猫を見るのもツライからと、
人に預けてしまう飼い主の無責任さが、
美弥さんには理解できません。

「この子たちに罪はないのに……」

無邪気に遊ぶ仔猫たちを見ていると、
親を亡くし、飼い主に身捨てられた、
この子たちが不憫でしかたない。

美弥さんは玄関にある
ホワイトボードのスタッフたちの写真の下に
『仔猫の里親募集』の張り紙を付けました。
スタッフでない仔猫たちは、餌代を貰って預かっているだけ

良い里親が見つかることを願うばかり――。


猫カフェ『にゃんこの館』のスタッフたちも
この小さな天使たちを歓迎しています。

気の強いキジ猫の蘭子も仔猫には優しく接しているし、
お嬢さま猫のシャネルやキレると怖いハルカも世話を焼いたりして、
牡猫たちは人気ナンバーワンのにゃん太やおじさん猫のバロンも
みんな温かい目で、この子たちを見守っているのです。

黒猫のクーは仔猫に交じって、一緒に遊んでいたりします。

仔猫たちは、猫カフェ『にゃんこの館』のアイドルなのです。
お陰で猫同士のトラブルも減って、和やかな雰囲気になりました。


バーマンのマリリンはビルマ(ミャンマー)産の高価な牝猫なので、
繁殖猫として何度も出産経験があります。

a0216818_17371523.jpg


子を産めなくなったため、ブリーダーの飼い主に捨てられて、
猫カフェ『にゃんこの館』のスタッフになりました。

マリリンは自分から仔猫たちのトイレの躾や毛つくろいを
毎日、嬉々してやっています。

きっと母猫の『母性本能』が目覚めたのでしょう。


そんなある日、『仔猫の里親募集』の張り紙を見て、
仔猫が欲しいというお客様がありました。

若い女性で、ここにも度々来店してくれますが、
猫スタッフの写真を撮るために寝ている子を起こしたり、
しつこく追い回したりする迷惑なお客なのです。

格好も派手で香水の匂いがプンプン強いので、
猫たちには倦厭されていました。

彼女は自分のブログに仔猫たちの写真を載せて、
人気のブロガーになって、
SNSで「イイね」やコメント、閲覧数がいっぱい欲しいのです。

「明日、仔猫を引き取りにくるからよろしく~♪」

単に仔猫の可愛い姿に惹かれて、
欲しがっているようにしか見えない。

こんな人に渡すのは不安でしたが……
ここのスタッフではないし、飼い主さんも誰でもいいから
あげて欲しいとの希望なので……。

――仕方なく、美弥さんは承諾しました。




a0216818_17392594.jpg



猫カフェのイラストは友人のpokaさんに描いていただきました。
猫の加工写真もpokaさんです(*´∀人)ァリガト♪

他、にゃんこの写真は友人と知人と、このサイトからお借りしています。
 HD Wallpapers (High Definition) | 100% Quality HD Desktop Wallpapers http://www.hdwallpapers.in/#.US_aGEwvXcc.twitter …

無料壁紙の総合サイト 壁紙Link http://www.wallpaperlink.com/

かわいい猫の壁紙画像 http://matome.naver.jp/odai/2127198911354142701

猫カフェ「あまえんぼう」で撮影した写真を使っています(了承済み)
http://nekonoheya-amaenbou.com/



創作小説・詩

by utakatarennka | 2018-02-05 21:30 | メルヘン
a0216818_07362710.jpg


【 弱虫にゃんこの家出 2 】

その時、仔猫の鳴き声がして、
黒猫たちがいっせいに外へ飛び出した。

なんと、
大きなイタチが仔猫をくわえていたのだ。

「チビクロ!」

クララが叫んだ。

「その子を離せ!」

「こいつは俺さまの飯だ」

チビクロは苦しそうにミャーミャーと鳴いています。

「この野郎! 許さんぞ!」

くろ兵衛が突進しましたが、
身軽なイタチにヒョイとかわされました。

「老いぼれめ! 勝負にならねぇー」

仲間の黒猫たちは身構えながら成りゆきを見ています。

イタチはもの凄く臭いオナラをするので
迂闊に手出しができません。

a0216818_20381989.jpg


クーの隣で、クララが泣いています。

我が子がイタチに食べられそうなのに……
助けられなくて悲観に暮れているのです。

弱虫のクーだけど、この時だけは
『仔猫を救いたい!』
と、本気で思ったのです。


仔猫をくわえたまま
巣穴に帰ろうとしたイタチに、
クーは仔猫を助けたい一心で、
満身の力で体当たりをぶちかました!

ガツンという衝撃に
思わず口から仔猫を落としてしまった。

クララが飛んでいってチビクロを
連れ戻そうとすると、イタチがクララ親子に
牙を剥いて襲いかかろうとします。

ドン!
ジャンプしてイタチの上に、クーが乗って押え込んだ。

飼い猫は栄養状態が良く、
どの黒猫より体が大きくて、ずっしりと重いのだ。

怒ったイタチが、
ついに最終兵器の臭いオナラを発散したが、

a0216818_20461173.jpg


クーは怯むことなくイタチを離さなかった。

その雄姿に感動した黒猫団の猫たちが
いっせいにイタチに襲いかかった。

この騒ぎを聴きつけて神主さんも出てきました。

ボコボコにされたイタチの姿を見て、
オカメインコを殺した真犯人だと
きっと分かってくれることでしょう。

「イタチのオナラにも逃げない、おめぇは勇者だ!」
「クーさん、バンザイ!」
「俺たち黒猫団の英雄だ!」


a0216818_20512324.jpg


クーに次々と賞賛の言葉が贈られた。

今まで、弱虫と笑われていたクーとは思えない勇敢な行動でした。

「クーのお陰でチビクロが助かった。
この恩は一生忘れないから……」

クララの感謝の言葉にテレながら……。

「おいらは仔猫のとき
この神社で人間に拾われたんだ。
きっと、ここのみんなとは縁があるんだと
そう思ったから……」


「あたい……初めてクーを見た時から親しみを感じた」

「おいらもくろ兵衛やクララのことを……」


「もしかして!?」

二匹は同時に声を上げました。

「あたいのお兄ちゃんかも知れない」

「二年前にいなくなった男の子って
おいらのことかも……」

クーとクララは見つめ合って再会を喜んだ。


「ずっと黒猫団に残ってくれるんだろう?」

「クララ、ゴメンよ。
仲間が待ってるから、猫カフェ『にゃんこの館』へ
帰らないといけないんだ」

「やっと会えたのに……」

「今はそっちがおいらの家族なんだ」

「クーのこと待っているんだね」

「うん!」

「明日の朝、みんなで送っていくよ」

クララは涙を拭いて笑った。

a0216818_20523209.jpg


翌朝、
クーは黒猫団に見送られて、
猫カフェ『にゃんこの館』帰還しました。

「クーさん、バンザイ! バンザイ!!」

――その勇気を黒猫たちに讃えられて!

「なあ、黒猫団に残ってワシの後継ぎになってはくれんか?」

くろ兵衛が引き留めようとしますが、

「ゴメンよ。
ここにはおいらを育ててくれた人間と、
大事な仲間たちがいるんだ。
だからみんなの元に帰りたい!」

「クー、おめぇはワシの自慢の息子じゃあー」

くろ兵衛はクーとの別れを惜しんでいた。

a0216818_21010422.jpg


猫カフェの玄関から猫の鳴き声が聴こえます。

真っ先に蘭子が気づいて騒ぎ出しました。

みんなも起きてきて、
美弥さんが玄関のドアを開けると、
そこにはクーがいました。

薄汚れて、もの凄くクサイ臭いがするので、
即行でシャワールームへ、

いつもなら水を怖がって、
ニャーニャー鳴きわめくクーが
神妙な面持ちで洗われています。

――身体に触れた指先から、逞しくなったクーを感じる。

家出している間、
きっとクーを成長させる経験があったのだと思った。

無事に帰ってきて良かったと嬉しさも込み上げて、
美弥さんはクーをワシャワシャと洗いました。

きれいになって、猫カフェに戻されたクーに、
姉貴分の蘭子から『猫パンチ』の歓迎がありました。

「このバカ! 心配させやがって!」

仲間思いの蘭子はクーがいなくなってから、
餌も食べず、寝ないで、ずっと待っていたのです。

a0216818_21062226.jpg


「蘭姉さん、ゴメンよ」

『猫パンチ』の痛みより、
蘭子の熱い心が嬉しいクーだった。

「お帰りー!」
「どこに行ってたんだよ」
「おまえは脱獄犯だぞ~」

猫カフェ『にゃんこの館』の仲間たちも
無事の帰還を喜んでくれています。

ここがおいらの居場所だとクーは思った。

――家出して、仲間の存在の有難さに気づいたのだ。


最近、蘭子が窓辺で寝そべっていると、
外から黒猫の親子が、
こっちを覗いていることがあります。

気づくと、クーが窓辺に駆け寄ってきて、
その親子にシッポを振って挨拶をしていました。

猫カフェ『にゃんこの館』でしか暮らしたことのないクーが、
外の世界に知り合いがいるはずない……。
きっと、あの家出中に知り合った親子なのでしょう。

a0216818_21105248.jpg


家出中の話は訊かなかったけれど、
きっと良い思い出を作って帰ってきたのだと思った。

少しだけ、
逞しくなった弟分を誇らしげに思う蘭子なのだ――。


(ω゚∀^ω)ニャンニャーン♪




a0216818_21173511.png



猫カフェのイラストは友人のpokaさんに描いていただきました。
猫の加工写真もpokaさんです(*´∀人)ァリガト♪

他、にゃんこの写真は友人と知人と、このサイトからお借りしています。
 HD Wallpapers (High Definition) | 100% Quality HD Desktop Wallpapers http://www.hdwallpapers.in/#.US_aGEwvXcc.twitter …

無料壁紙の総合サイト 壁紙Link http://www.wallpaperlink.com/

かわいい猫の壁紙画像 http://matome.naver.jp/odai/2127198911354142701

猫カフェ「あまえんぼう」で撮影した写真を使っています(了承済み)
http://nekonoheya-amaenbou.com/



創作小説・詩

by utakatarennka | 2018-02-04 23:08 | メルヘン
a0216818_07362710.jpg


【 弱虫にゃんこの家出 1 】

猫カフェ『にゃんこの館』のスタッフ

クーは見た目は凛々しい黒猫なのに

実はとっても弱虫な男の子です。




先日、部屋のお掃除で窓を開けたら
すずめが一羽飛び込んできました。

スタッフの猫たちは大変!

色めきだって、雀を追いかけ回して
みんなで大はしゃぎでしたが……

その中で一匹だけ、
ソファーの下に潜って隠れていた子がいます。

クーは見たこともないすずめを怖がって震えていたのです。

そのことで姉貴分の蘭子に散々笑われて、
みんなにも『ヘタレのクー』とからかわれました。

a0216818_16203605.jpg


クーはそんな自分が恥かしくて、情けなくて……
弱虫の自分を変えたいと強く願った。

ついに家出して
自分を鍛えようと思い立ったのです。

猫カフェでは外へ猫が飛び出さないように、
二重扉になっています。

その日は団体のお客さんだったので、
外側のドアと内側のドアとふたつとも開いていました。

お客たちの足元を
黒い影がサッと駆け抜けたことを
誰も気が付いていません。

クーがいないことに気づいたのは閉店間際でした。

蘭子がクーの姿を探し始めて、
みんなも心配して大騒ぎになったのです。

そのことはミーコさんを通じて、
オーナーの美弥さんにも伝えられました。

ミーコさんを連れて、
懐中電灯を持った美弥さんが
夜の町でクーを探し回りましたが、
暗闇の中で黒猫を探すのは難しいことでした。

a0216818_16213875.jpg


その頃、クーは自分が拾われたという
神社の境内をウロウロしていました。

ここに来れば、
自分を知ってる者に会えるかも知れないと
密かに思っていたからです。

……だけど、
辺りが真っ暗になってお腹も空いてきたし、
怖くなって引き返そうと思ったけれど……

はて? さて? 
猫カフェ『にゃんこの館』へ帰る道が分かりません。


家出なんかするんじゃなかったと、
ここにきて後悔し始めていました。

室内でしか暮らしたことのない
『温室育ちの猫』には、冷たい夜風がしみて……。

クシュン! クシュン! クシュン!
 
くしゃみの連発、寒さに震えながら、
神社の賽銭箱の裏でうずくまっていると、
誰かの声がしました。

「おや? おめぇ、見掛けないツラだなー」

a0216818_16334459.jpg


すぐ側で、黒猫のおじさんが見降ろしています。

「おいら猫カフェで働いていたけど……
今は家出中だから……」

「ねこカフェ? なんだそりゃあ?」
「猫のサービス業です」

「――なんか知らんが、行くところがないようだな?」
「はい」

「ワシは黒猫団の団長のくろ兵衛っていう者だ」
「黒猫団?」

「黒猫たちで作られた野良猫のグループのことさ」
「おいらクー、よろしく」

「よっしゃ! ワシについてこいや」

クーは黒猫団の団長の後ろを付いていきました。

~ ✿ ~

神社の裏手の森の中に古いお社があります。

今はあまり使われていないので、
黒猫たちがここをねぐらに暮らしていました。

この神社の神主さんが猫好きで
棲みついた黒猫たちを神仏の使いだと
保護してくれていたのです。

「今、帰ったど!」

お社の中には黒猫ばっかり、
いっせいに黒い顔をこっちへ向けました。

「父ちゃん! 大変だよ。
神主さん家で飼ってたオカメインコがイタチに襲われたんだ」

一匹の黒猫が話しかけます。

「またイタチか、悪さばかりしおって……」
くろ兵衛が渋い顔をしました。


神社の森には黒猫団の他に大きなイタチが棲みついています。

a0216818_16445089.jpg


凶暴なイタチは、近所のペットや
小学校の兎小屋などを襲って捕食しているのです。

しかも、それが黒猫団の仕業ではないかという
悪い噂が町中に広まってきています。

黒猫もイタチも夜中だと見分けがつかず、
イタチは日中姿を見せないので、
その存在すら忘れられていました。

だから、
いつも神社にたむろしている黒猫団が
犯人だと疑われているのです。

神主さんに餌を貰っている黒猫団は悪さをしません。
ゴミだって漁ったことのない善良な猫たちです。


a0216818_16525307.jpg


――このままではイタチの罪を被って
神社から追放されてしまうかも知れません。

それは野良猫にとって『死活問題』なのです。

「父ちゃん、その子は?」

「ああ、神社の森で寒そうにしてたから連れてきた」

「おいらクーです」

「あたいはくろ兵衛の娘のクララだよ。
あんた毛艶がいいし、飼い猫だろう?」

「猫カフェのスタッフです」

「三丁目にあるお店だね。外から覗いたことがあるよ」

「おいら、自分の弱虫を鍛えるために家出中なんだ」
クーがそういうと、クララがプッと噴いた。


「それより、うちのチビクロ見なかった? 
境内で遊んでると思ったのにいないんだよ」

クララは仔猫のお母さんです。

a0216818_16535945.jpg


「ヤバイ! 
日が暮れるとイタチが出没するぞ!!」


くろ兵衛が叫びました。

「どうしよう……どうしよう……チビクロが……」

クララは今にも泣き出しそうな声です。

「ワシは嫌な予感がする」

「お父ちゃん……」

「あれは二年前じゃった。
ワシの嫁が神社の床下で仔猫を産んだが……
イタチに襲われて……嫁と仔猫たちが殺された。
その時、生き残ったのが、このクララだが、
男の子が一匹、『行方不明』になったまんまで見つからない」

くろ兵衛はツライ過去を思い出して不安な顔をした。

a0216818_17050155.jpg


二年前といえば、クーが神社で拾われて
猫カフェに連れて来られた時期と一致します。

ひょっとしたら……? ふいにクーは思った。
 
くろ兵衛とクララの顔を見て、

《おいらと似てるかなあー?》

みんな黒い顔で見分けがつかなかった――。




a0216818_17075631.jpg



猫カフェのイラストは友人のpokaさんに描いていただきました。
猫の加工写真もpokaさんです(*´∀人)ァリガト♪

他、にゃんこの写真は友人と知人と、このサイトからお借りしています。
 HD Wallpapers (High Definition) | 100% Quality HD Desktop Wallpapers http://www.hdwallpapers.in/#.US_aGEwvXcc.twitter …

無料壁紙の総合サイト 壁紙Link http://www.wallpaperlink.com/

かわいい猫の壁紙画像 http://matome.naver.jp/odai/2127198911354142701

猫カフェ「あまえんぼう」で撮影した写真を使っています(了承済み)
http://nekonoheya-amaenbou.com/



創作小説・詩

by utakatarennka | 2018-02-03 23:04 | メルヘン
a0216818_07362710.jpg


【 ギャングにゃんこ 2 】

さて、話は戻って――。

そんなことがあってから、
猫カフェ『にゃんこの館』のスタッフたちは
サイトーを避けるようになりました。

イワンはサイトーを見かけたら
こそこそ隠れるようになり、
クーは恐怖で固まってしまいます。

あの気の強い蘭子でさえ側に寄りません。

だけど、サイトーは
まったく意に介さずマイペースです。
けれど、にゃんこスタッフたちには……
ストレスの日々でした――。


そんな――ある日の午後のことです。

猫カフェ『にゃんこの館』では
お客さまの入店もなく暇でした。
にゃんこたちも昼寝をしたりして
ノンビリと過ごしていました。

オーナーの美耶さんも
お店を開けたままで、来客があれば
呼び鈴を鳴らして貰うようにして、
3階の自室に戻っていました。

お店の中はにゃんこたちだけ――。


そこに思わぬ闖入者がありました。

こっそり扉を開けて、
お店に誰もいないことを確かめてから、
勝手に中に入ってきたのです。

小学校5年生くらい、やんちゃそうな男の子が一人――。

『うわっ! 猫がいっぱいいるぞぉー』

その子は土足のままで店内を歩き回り、
カゴの中で寝ていたにゃんこの
カゴをひっくり返したり、猫タワーを揺らしたり、
嫌がるにゃんこを無理やりダッコしようとします。


a0216818_14250372.jpg


猫たちにとっては、迷惑なイタズラっ子です!

※ 猫カフェでは履物を脱いで、スリッパなどに履き替えます。


『おっ! ちっこい猫がいる』

猫カフェ『にゃんこの館』のアイドル
3匹の天使の仔猫たちを見つけたようです。

『メッチャかわいいなぁ~♪』

そう言うと、
仔猫たちを次々と掴んで、カゴに放り込みました。

いち早く、気が付いた蘭子が、

「あんた、なにすんのよ!」

と、その少年に飛びつきました。

「チビたちを放せ!」

続いて、にゃん太も飛びつきました。

けれど、2匹とも少年にはらわれて
壁に投げつけられてしまったのです。

仲間たちが危ない!
 
いつも紳士なスコティッシュの
バロンまでフゥーと威嚇のポーズをします。

ミーコはダッシュッで3階に居る
オーナーの美弥さんを呼びに行きました。

仔猫たちをカゴに入れて、
少年は連れ去ろうとしています。

「猫泥棒よ―――!!」

みんなで仲間を守るために
必死で叫びました。

カゴの中で仔猫たちも
「ミューミュー」
鳴いて、助けを求めています。

その時です!

少年の頭をめがけて、棚の上から
サイトーが飛びついてきました。


a0216818_14433380.jpg


その重さにバランスを
崩して少年は前のめりになって
スッテンコロリと転んだ。

ひっくり返ったカゴから
飛び出した仔猫たちを
ハルカとマリリンが
小さな隙間に隠しました。

床に倒れている少年の顔に
サイトーはおうふく猫パンチを
お見舞いします。

「アタタタタッ―――!!」

サイトーの猫パンチは
まさに『北斗の拳』並みの破壊力だ!

「son of a bitch!」

おっと!
これはとっても汚い言葉です。

ギャング猫語で
男に対して、『ばかやろう!』とか
『クソ野郎!』とか『クズ男!』
って言う時に使います。(良い子はマネをしないでね)

もちろん、『にゃんこの館』のスタッフたちは
良い子なので、こんな言葉は知りません。

3階から美弥さんが
駆け付けた時には少年は
ほっぺたを真っ赤に腫らして
ワーワー泣いていました。

その側で
鼻息も荒くサイトーが
ふんずり反って座っていたのです。

こんな事件があってから、
美弥さんは、にゃんこの館を開ける時には
代わりのアルバイトを雇うことにしました。
近所に住むいとこで
高校生の沙菜(さな)ちゃんです。

明るく元気な沙菜ちゃんは大の動物好き!
将来は獣医さんを目指して勉強も頑張っています。
そして猫カフェ『にゃんこの館』の
猫スタッフたちの評判も上々です。


a0216818_14472595.jpg


さて、この事件で、
猫カフェ『にゃんこの館』の仲間たちの
“ 絆” が強くなりましたが、
それよりも嬉しいことは……。

サイトーが『にゃんこの館』の
みんなに受け入れられて仲間になったことです。

特に仔猫たちはすっかりサイトーが気に入って
側から離れません。

「サイトーおじちゃーん」

仔猫たちからすり寄ってきて
サイトーの背中に乗ったり、
じゃれたりして、遊んでいます。

いかついサイトーですが、
実は可愛いものが大好きで
仔猫たちのことが気になって
いつも見ていたのです。

仔猫たちと仲良しになれて
サイトーはとても幸せそうです。

そして、
猫カフェ『にゃんこの館』に
最強のボディーガードができました。
ギャング猫サイトーさえいれば
にゃんこたちのセキュリティーは万全ですね。

安全で楽しい
猫カフェ『にゃんこの館』へ

どうぞ遊びにきてください。

(ω゚∀^ω)ニャンニャーン♪




a0216818_15103938.jpg



猫カフェのイラストは友人のpokaさんに描いていただきました。
猫の加工写真もpokaさんです(*´∀人)ァリガト♪

他、にゃんこの写真は友人と知人と、このサイトからお借りしています。
 HD Wallpapers (High Definition) | 100% Quality HD Desktop Wallpapers http://www.hdwallpapers.in/#.US_aGEwvXcc.twitter …

無料壁紙の総合サイト 壁紙Link http://www.wallpaperlink.com/

かわいい猫の壁紙画像 http://matome.naver.jp/odai/2127198911354142701

猫カフェ「あまえんぼう」で撮影した写真を使っています(了承済み)
http://nekonoheya-amaenbou.com/



創作小説・詩

by utakatarennka | 2018-01-19 14:07 | メルヘン