― Metamorphose ―

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泡沫恋歌のブログと作品倉庫     

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Dr.Yamada World ⑧

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【1920×1080】 クールで かっこいい壁紙 900+ 【フルHD】様よりお借りしました。
http://matome.naver.jp/odai/2133583394265151801?page=2


   Dr.Yamada file.8 【 ビューティーコロン 】

 「チクショウ! これで何度目の失恋だろう」
 今しがた男に別れようと言われた。理由は他に好きな子ができたから……また、それかよ! そんな言い訳で今まで何度ふられたことか、悔しいけど本当の理由は分かっている。私がブスだからでしょう。
 私の容姿といったらチビで短足、貧乳だし、顔は色黒、細い目、あぐら鼻、しゃくれ顎、おまけにド近眼。この顔を整形したくとも、どこから手をつければいいのやら……究極のブスとは、この私のことだ(ヤケクソ!)
 ブスだって恋はしたい! 彼氏も欲しい。猛烈にアタックしたらデートしてくれる男もいたが、一、二度で決まって「ホテルに誘う気にもならない」と逃げられる。
 こんなブスに生んだ親が恨めしい。失恋の痛手に泣きながら街を彷徨っていたら、見知らぬ路地に入ってきてしまった。

 なんだろう? 奥の方でチカチカ点滅している。
 古い平屋を改装した家に大きなネオンサインが付いていた。右から左にこんな文字が流れていく。『ブス矯正』『貴女も今日から美人に生まれ変わる』『全ての男性が振り向く魔法の香り』なによ、これ? 誰が見たって嘘臭い。誇大広告だってことは一目瞭然だが……失恋したての私の心にピンポイントで響いた。
『只今、無料モニター募集中!』マジで? その文字に目が止まる。
 私が看板の前で佇んでいたら、中から白衣を着た眼鏡の中年男が出てきた。
「おや、お嬢さんはモニター希望ですね」
「えっ?」
 まだ何も言ってないのに、白衣の男が決めつけるようにそう言った。しかも私を上から下までじろじろ見て、満足そうに「貴女のような方を探していました」と呟いた。
「いえ、アタシはちょっと興味があっただけで……」
「さあ、さあ、中へ」
 背中を押されて、無理やり建物の中に連れていかれた。

「ようこそ。ヤマダ・ビューティーラボへ」
 ラボっていうから研究室かと思ったら、安っぽいソファーと机とパソコンがあるだけの殺風景な部屋だった。オタク風の若い男が背中を向けてキーボードを無心に打っていた。
 白衣の男が自分は山田という発明家だと名乗ったが、なんか胡散臭いおっさんである。
「美人に生まれ変わるって本当ですか?」
 いきなり核心をつく質問した、デマだったらすぐ帰るつもりなのだ。
「ハイ! 本当です」
 自信満々に白衣の男が答えた。
「本当にそんなことができるの?」
「では説明しましょう。これが私の発明したビューティコロン!」
 赤い小瓶を誇らしげに見せた。
「香水?」
「このコロンの中にはフェロモンやいろんな化学物質が入っていて、これを身体にスプレーすれば、半径10メートル以内の男性には貴女が絶世の美女に見えるのです」
「……なんか嘘っぽい!」
 即、帰ろうとドアに向って歩きだしたら、「お待ちなさい」と白衣の男が腕を掴んだ。
「信じられないなら、実験しましょう」
 いきなりスプレーを私に噴射した。く、臭い! まるで猫のおしっこの匂い。
「佐藤君、彼女を見たまえ!」
 興味なさ気に若い男が振り向いた、その瞬間、彼の目が爛々と輝いた。
「すっごい美人だ。完璧なプロポーション! 僕の理想の女性です」
 私の足元に縋りついてきた。
「一生貴女の下僕になります。僕の嫁になってください」
 しかもプロポーズまでされた。なんなのこの人は、実際の私はブスなんだけど……。
「助手の佐藤君は二次元の女の子にしか興味がないのだ。その彼がひと目で貴女に恋した。この実験は大成功だ!」
 えっ? えぇー!? 本当に私が美人に見えてるの? 俄かに信じがたい。

 翌日、発明家から預かったビューティコロンを持って街に出た。
 どうも昨日の実験はヤラセかもしれないので本当に効果があるのか、人々が行き交う大通りでコロンを自分自身に噴射した。
 すると歩いていた男たちが一斉に足を止めて私を見ている。『すごい美人だ』『まるで女神さま』『天使が舞い降りた』などと口ぐちに囁きながら男たちが私に近づいてきた。目は爛々と輝き、私に向けて賛美の言葉を発しているのだ。
 私は美女!? ブスの私が男たちには美女に見えるんだ。
 ビューティコロン本物だわ! ブスの私とサヨナラできる!
 大通りをハーメルンの笛吹きのように、私の後ろを男たちがぞろぞろ群れになって付いてきた。
 おーほっほっほっ。私こそ美の女王よ! 
 その光景を見ていた、小さな男の子が私を指差し、こう叫んだ『ブスのパレードだ!』なにっ? あの男の子には私の真実の姿が見えているかしら? 
「ちょっと、坊や! お姉さんはどう見える?」
「スゲェーブス!」
「マ、マジで?」
 男の子の前でもう一度ビューティコロンをスプレーした。
「この匂いを嗅ぐと美人に見えるのよ」
「だって俺、風邪引いてるもん」
 この子はマスクをしている、もしかして鼻炎で匂いが分からないとか。だからコロンが効いてないの? 
……だとしたら、ビューティコロンは欠陥品じゃん!

 その頃、ヤマダ・ビューティーラボでは、モニターからの報告を首を長くして待っていた。
「街での公開実験の結果が気になるね」
 断わられたがカメラ持って、あの子に付いていけばよかったと山田は後悔していた。
「世の中にはあんな美女がいるなんて、まるで夢のようだ……」
 助手の佐藤は昨日から、突発性恋煩いで仕事が手につかない状態である。
「ああ、モニターの女の子のことを思うと胸が苦しい。彼女の面影が頭から離れない」
「ほお、佐藤君にはどんな風に見えたかね?」
 うっとりと夢見るような表情で佐藤が答える。
「水色の髪がツインテール、可愛い声で歌っちゃうんだ」
 ビューティコロンを嗅ぐと幻覚をみる。お気に入りのボカロキャラがコスプレしたように佐藤の脳内で投影されていたようだ。だが、しかし、あくまでそれは幻影であって真実の姿ではないのだ。
 ビューティコロンは、初な若者には罪な発明かもしれないと山田は思った。
「ねえ、今度は男性用のビューティコロン作りましょう。超イケメンになってモテモテになりたい」
「なに言ってるんだい! 佐藤君には私がいるじゃないか」 
「えっ! なにそれ……気持ち悪い。もういいや、やっぱり二次元に戻ります。僕」
 渋い表情で佐藤はパソコンのキーを叩き始めた。その姿を山田はにやにやしながら見ていた。
 やっぱりヘンタイじゃん!


― End ―


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初音ミクのコスプレはネット検索してお借りしました




   創作小説・詩
by utakatarennka | 2015-07-31 10:48 | SF小説

ハイビスカス

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フリー画像素材 Free Images 3.0 by:fayemozingo様よりお借りしました。http://free-images.gatag.net/


― ハイビスカスの花ことば ―

「繊細な美」「新しい恋」


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うちの近所に咲いていたハイビスカスをスマホで撮影しました


 花名の由来

古くから日本ではブッソウゲ(仏桑花 / 扶桑花)という名前で親しまれてきました。
ハイビスカスがハワイの州花になって以降、日本でもハイビスカスと
呼ばれるようになったといわれます。

中国南部が原産ともいわれ、英語では「China rose(中国のバラ)」と名づけられています。

西洋では美しい花をバラのようであるとよく形容します。
ちなみに、西洋で「日本のバラ」と呼ばれてきたのはツバキやアジサイなどです。


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 花言葉の由来

ハイビスカスは、一日だけ咲いてその日のうちに枯れてしまう一日花ですが、
日当たりのよい場所では次々とつぼみをつけて咲き続けます。

花言葉の「新しい恋」「常に新しい美」は、ハイビスカスが毎日新しい花を咲かせることに
由来するといわれます。


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   ブログ
by utakatarennka | 2015-07-29 11:40 | 花ことば
この記事はブログのファンのみ閲覧できます

by utakatarennka | 2015-07-28 11:48 | 時空モノガタリ

うなぎ 「みしまや」

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昨日は奈良県天理市にある、うなぎのお店「みしまや」へ
大阪からはるばる1時間半かけて行って来ました。

このお店は2年前にもブログに載せたと思うけれど
安くて美味しいことで有名なうなぎ屋さんです。

この日は土用のうなぎの時期と日曜日が重なって・・・
予約無しでいったので、なんと2時間半待たされました。

他に行こうという、弱気の旦那を制止して、
「わざわざ大阪からきたのに、うなぎ絶対食べて帰るで!」

粘って粘って、やっと食べられました(*´-ω-`)=3フゥ


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タレのご飯の上に表面はカリッと中身は柔らかいうなぎが乗ってます!


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うなぎの肝の入ったお澄まし


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追加メニューで頼んだ、う巻き650円


私たちが注文したのは、うな丼(上)1800円です。
お澄ましとお漬物が付いて、この値段はメッチャ安いよ!

ご飯もたっぷりで食べきれないので、私はご飯だけちょっと残しました。


みしまや
ジャンル:うなぎ
アクセス:近鉄天理線天理駅 徒歩10分
住所:〒632-0015 奈良県天理市三島町120(地図
周辺のお店のプラン予約:
炭火焼肉 カルビ庵 のプラン一覧
農家酒場 どはってん のプラン一覧
カフェ シャンドゥルール のプラン一覧
周辺のお店:ぐるなびぐるなび 大和郡山・天理×うなぎ
情報掲載日:2015年7月27日


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   ブログ
by utakatarennka | 2015-07-27 01:51 | 食べ歩き・グルメ
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画像はTwitterから流れてきたものをお借りしました。


かつて読書家だった私ですが、
最近は創作することばかりに腐心して
本も読まず、読書の楽しさを忘れてしまっていた。

面白い物語を書くためには、
私自身が読者の視点に戻るべきだと考え
『読書日誌』を付けようと思い立った次第であります。





 ■ 著者名 ■

『舟を編む』

 ■ 著者 ■

三浦しをん

 ■ 出版社 ■

光文社

 ■ ジャンル ■

小説
 
 ■ あらすじ ■

出版社の営業部員・馬締光也(まじめ みつや)は、言葉への鋭いセンスを買われ、辞書編集部に引き抜かれた。
新しい辞書『大渡海(だいとかい)』の完成に向け、彼と編集部の面々の長い長い旅が始まる。
定年間近のベテラン編集者。日本語研究に人生を捧げた老学者。辞書作りに情熱を持ち始める同僚たち。
そして馬締がついに出会った運命の女性。不器用な人々の思いが胸を打つ本屋大賞受賞作!

 ■ 感想 ■

この小説は掛け値なしに面白い!
さすが本屋の店員さんたちが選んだだけのことはある。うちの娘も書店関係の仕事しているけれど、
三年くらい前に、いやというほど、この「舟を編む」が売れたと言ってました。
辞書を作る人々のキャラクターが生き生きと描かれている。文章も難しい言葉が多いわりにとても読みやすい。
私たちが知ることのない、辞書の編集という長い長い作業を克明に解説してくれています。

 ■ 参考になったこと ■

自分の中で読みたい書きたいと思う作品は、この「舟を編む」のような小説だという、
ひとつの答えがでました。感謝感謝!

 ■ 評価 ■

 ★★★★★



   ブログ
by utakatarennka | 2015-07-25 13:13 | 読書日誌

川上未映子 「乳と卵」

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画像はTwitterから流れてきたものをお借りしました。


かつて読書家だった私ですが、
最近は創作することばかりに腐心して
本も読まず、読書の楽しさを忘れてしまっていた。

面白い物語を書くためには、
私自身が読者の視点に戻るべきだと考え
『読書日誌』を付けようと思い立った次第であります。





 ■ 著者名 ■

『乳と卵』

 ■ 著者 ■

川上未映子

 ■ 出版社 ■

文藝春秋

 ■ ジャンル ■

小説
 
 ■ あらすじ ■

娘の緑子を連れて大阪から上京してきた姉でホステスの巻子。
巻子は豊胸手術を受けることに取り憑かれている。
緑子は言葉を発することを拒否し、ノートに言葉を書き連ねる。
夏の三日間に展開される哀切なドラマは、身体と言葉の狂おしい交錯としての表現を極める。
日本文学の風景を一夜にして変えてしまった。芥川賞受賞作。

 ■ 感想 ■

う~ん……。どう感想を述べればいいのか?
結論から言って、この作品は自分の好みではないと思う。
すごい小説だということは分かるのだが、自分の趣味でいえば、なんか気持ちが悪い、ベタッとした重苦しい感覚が胸に残った。
生理や乳房のことをものすごくリアルに描いているが、自分はそういう生々しいのは苦手である。
だから読んでいて疲れるし、自分が書きたいと思っている小説とは全く方向性が違うのだ。
ただ、この作家の感覚の鋭さや表現力は天上の人だと思った。

 ■ 参考になったこと ■

カミソリのような鋭い感性にはタジタジだった。さすが芥川賞作家だと感心させられた。

 ■ 評価 ■

 ★★★☆☆



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by utakatarennka | 2015-07-20 13:49 | 読書日誌
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今、巷で美容や健康に効果があると言われているココナッツオイルをやっと買った!

近所のドラックストアで探してたけれど、品切れも多いし、値段も高かった。

品質が良いかどうか分からないけれど、スーパーの食料品のコーナーで
ベトナム産のココナッツオイルをひとつ、私も購入しました。

一応、バージンココナッツオイルと書いてあったけど、値段はメッチャ安かった。
試しだと思って、ココナッツオイル使い始めました。

なんか、ミスドのドーナツ食べてるような匂いがします( 〃´艸`)


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ココナッツオイルの画像を検索して使わせてもらいました





ココナッツオイルの使い方や効果は?

そもそもココナッツオイルが推奨されている理由はなんででしょうか?


 ■ ダイエット効果 ■

ココナッツオイルは「中鎖脂肪酸」が約60%含まれています。
中鎖脂肪酸は、長鎖脂肪酸(植物油など)と比較して4~5倍も速く分解されて、
短時間でエネルギーとなります。

これにより、脂肪がつきにくい特徴があります。
しかも、代謝がアップするため、すでに体にたまってしまった脂肪を分解してくれます。


 ■ スキンケア ■

中鎖脂肪酸は、分子量が小さいという特徴もあります。
このため、肌や髪に塗るとスムーズに浸透して保湿します。


 ■ アトピーや水虫などのケア ■

ココナッツオイルには「ラウリン酸」が豊富に含まれています。
ラウリン酸は、母乳にも含まれている抗酸化や抗菌力に優れた成分です。

このラウリン酸の働きによって、アトピーの原因物質や水虫の菌などを排除することができます。


 ■ 健康促進 ■

ラウリン酸の効能により、コレステロールを下げる、糖尿病予防、免疫力UP等の効果があります。


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加熱しても栄養や成分は、酸化しない?

中鎖脂肪酸や、ラウリン酸など体にいいとされる成分が豊富なココナッツオイル。

使い方としては、普段の油の変わりに使用したり揚げ油に使用する方法もありますが、
加熱するとそれらの成分が壊れてしまいそうな気がしませんか?

実は中鎖脂肪酸は、熱に非常に強いのです。200℃までは、成分が壊れることなく使用できます。
※200℃を越えると、トランス脂肪酸が発生する可能性が出てきます。


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普段使いの料理はもちろん、揚げ油としても十分利用できますね。
また、酸化にも強い性質があります。水分などに注意して保管すれば、
だいたい2年くらいは劣化することなく使用可能です。

これだけ長い間劣化しないのであれば、賞味期限を過ぎてしまってもったいない。
なんてこともなさそうです。

飲んで摂取するだけではなく、料理に使っても安心のココナッツオイルは本当に万能ですね。

健康のためにも、普段の油をココナッツオイルに変えてみてはいかがでしょうか?


↓ 他にもココナッツオイルの使い方の情報です









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   ブログ
by utakatarennka | 2015-07-16 12:24 | 健康

石田君と僕らの日常 ③

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モノクロ・セピア色の壁紙サイズ画像・写真集♪ 様よりお借りしました。http://matome.naver.jp/odai/2127553413698372401


   default.3 【 ガリバーな石田君 】

「ヨッ!」
 挨拶とおぼしき掛け声と共に、いきなり髪の毛をワシャワシャされた。
「な、何するんだ」
「おまえのつむじ可愛いなあー」
 友人の石田君は僕よりずっと背が高い。
 たぶん185㎝以上はあるだろう。どこに居ても頭一つ高いのでよく目立つ。僕は心の中で『ガリバー』と呼んでいる。
「もぉ! 身長差を使った冗談はやめてくれる」
 クシャクシャにされた髪を手クシで直しながら抗議する。
「スマン、スマン。おまえくらいの身長の女の子って理想だよな」
 はぁ、女の子? その言葉にムカッときた。
 僕の身長が165センチしかないから、女みたいってことか。
「背が低いからってバカにすんなっ! 牛乳は毎日欠かさず1リットルは飲んでる」
「牛乳なんか飲んでも背は伸びないぞ」
「へ?」
「牛乳は骨密度が上がるだけ、身長は遺伝子で決まる」
「遺伝子?」
「そう、両親の身長だな」
 父160センチ、母152センチ、うちは両親揃って身長が低い。ミクロマン夫婦から生まれた、この僕にはノビシロがないと!?
 石田君の言葉にズ―――ンと落ち込む。

「ん? どした? 背が低いこと気にしてたのか」
 僕のコンプレックスに気付いた石田君は、俯いた僕を上から覗き込む。
「身長ぐらいで落ち込むなって! 俺なんか、小五で170センチもあったから小学生割引が利かなくて苦労したんだぜ。バスに乗る度に運転手に小学生じゃないだろと疑われ続けたんだぞ」
 170センチの小学生の石田君よりも、今の僕の方がチビなんて……悔しい、よけいに傷ついた。はぁ~と長い溜息を吐いて鬱する。
「おい、どうした?」
 心配そうに僕の肩をぽんぽんと叩く。
「ほっといてくれ……」
「チョコやるから、機嫌なおせ」
 そう言って鞄からきれいな箱を取り出した。
「これって、もしかして?」
「ああ、バレンタインに貰ったチョコだ」
 長身イケメンの石田君は大学の腐女子に人気がある。バレンタインには食べきれないほどチョコを貰っていた。
 だけど無類の甘党の彼は、女の子よりチョコの方が好きみたい。
「これ、ゴディバのチョコじゃん」
「美味いから最後まで取っといた」
「本命チョコだろ?」
「俺は女となんか付き合う気ない。おまえにやる」
 バカにするな、石田君の本命チョコなんかいるかっ!
 今年のバレンタインは母と姉と保険のおばちゃんがくれただけだった。小学生の頃、クラスメイトの女の子たちからチョコ10個は貰ったんだ。大人になって、だんだん貰えなくなったてきたのは……僕の背が低いせいかもしれない。
 高校時代に付き合ってた女の子にフラれた理由が、「チビの彼氏なんて、カッコ悪いもん」だった。――その言葉は、その言葉は今も僕の胸に突き刺さっている。
 やっぱり男は身長なのか? 朴念仁の石田君がモテるのは背が高いせいか? 悔しいがバレンタインのチョコの数が、モテ指数を示しているのは歴然たる事実だ。
「ホワイトディーはどうするの?」
 チョコいっぱい貰った奴は、ホワイトディーにスッテンテンになぁれ。
「ああ、全員に俺が折った紙飛行機あげるつもりだ」
「マジか!? ゴディバのチョコにも同じ物で対応とか……」
「俺からチョコくれとは言ってないぞ。そっちが勝手によこしたんだ。誰がどのチョコくれたかなんて、いちいち覚えていないさ」
 うわーっ! なんちゅうゾンザイな対応なんだ。
「去年は俺が着ていたセーターを解いてボンボンにしてあげたら全員に感謝されたぞ」
「まるで教祖様みたい……」
 背が高いという理由で(それ以外の理由が見当たらない)モテモテの石田君が癪に障る!

 数日後、石田君が珍しく大学を休んだ。
 お勉強大好き、彼は滅多に病気しないのでいつも講義には出席している。その石田君が僕に連絡なしで休むなんて……何があったんだ?
 身長の件でムカついていたが、ちょっと心配になってメールをしたら、昼過ぎに返信がきた。
『ケガをして入院している。鶴屋八幡の最中が食べたい』
 石田君が入院だって? だが、見舞い品を指定してくるあたり、大したケガではなさそうだ。
 大学が引けてから、石田君が入院している病院に向った。
 なんと病室の前で驚愕した、『面会謝絶』の紙が貼ってある。どうしようかと迷っていたら、ドアが開いて石田君が出てきた。
「そろそろ、おまえが来ると思ってな。さあ中に入れよ」
 石田君の頭には包帯が巻かれていた。
「面会謝絶だけど、大丈夫?」
「これか? 面倒臭い見舞客が来ないように、俺が書いて貼った」
「勝手にそんなことしたら怒られるよ」
 あははっ、と石田君が元気に笑った。

「そのケガどうしたのさ?」
「祖母の茶室で鴨居に頭をぶつけて、脳しんとうを起こして救急車で運ばれたんだ」
 石田君の祖母は茶道の先生で、自宅に茶室があるらしい。
「茶室って、あんな狭い所は無理だろう」
「うん。茶室破壊しておばあちゃんに大目玉喰らった」
 うわっ、やっぱりガリバーだ! 
情けない顔の石田君を見て、溜飲が下がる思いがした。僕が持っていった最中を美味そうに食べている。
 何やら病室の前が騒がしい。
「石田君のケガは大丈夫ですよ」
 ドアを開けて石田ファンの腐女子たちにそう告げたら、中から「止めろ!」という制止の声がした。その瞬間、彼女たちが病室に雪崩れ込んできた! 
 お菓子の箱を持って、みんなで石田君を取り囲む。まるで教祖を崇める信者のようだった。――その光景を茫然と見ていた。
 
 ああ、やっぱり男は身長なのか? 
 なんか腹立たしいが、だが断じて僕は石田君に嫉妬なんかしていない!




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   創作小説・詩
by utakatarennka | 2015-07-15 21:09 | 現代小説

旬彩 「花さか」

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友人三人とお買い物に行った後、交野市にある
旬彩「花さか」というお店でランチをしました。

予約していなかったのですが、数量限定の「花さか弁当」を
食べることができました。

お薦め「花さか弁当」 1,250円(税別)

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和食の上品なお弁当で、煮物や焼き魚など品数も多いです


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食後には、コーヒーも付いています



 旬彩「花さか」

住所  交野市私部西2-10-2
電話  072-810-0873
定休日 毎週水曜日 第3火曜日


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普通の民家で料亭の味を楽しませて貰いました。


   ブログ
by utakatarennka | 2015-07-14 23:09 | 食べ歩き・グルメ

石田君と僕らの日常 ②

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モノクロ・セピア色の壁紙サイズ画像・写真集♪ 様よりお借りしました。http://matome.naver.jp/odai/2127553413698372401


   default.2 【 不条理な石田君 】

「――だから、不条理だと思わないか?」
「はぁ~?」
 スマホで音ゲーをやってる僕はイヤフォンを付けていたので、友人の石田君が何に同意を求めているのか、さっぱり分からなかった。
「クリスマスだよ。世間はクリスマスで浮かれてるけど、いったいダレ得なんだ?」
「そりゃー、リア充な奴らや子どもが喜ぶだろう」
「違う! そんなこと訊いてない。GODと仏と神様ではクリスマス商戦で得するのが誰なんだ?」
 大学の講義が終わった僕らは食堂のテーブルに所在なさげに座っていた。
 一週間の半分は偏頭痛のせいで不機嫌な石田君も、たまに梅雨の晴れ間の青空みたいに機嫌がよい日がある。そんな時の彼はやたらと饒舌になり、いきなり不毛な議論をふっかけてくるから、こっちは困惑する。
「キリストの誕生祝いだから、GODだろ?」
「カーネル・サンダースだ。赤い帽子と服を着ればサンタクロースにもなれる」
「ファッ!? 意味分からん」
「大昔に死んだ聖者の誕生日を全世界でお祝いすることが不条理だとは思わないか?」
 理解不能な思考回路を持つ、この男の方がよっぽど不条理な存在だ。

 石田君と僕は高校からの同級生で、くされ縁から大学も一緒になった。――てか、僕の志望した大学に石田君がついてきた訳なのだが。
 身長185センチ、細身で眉目秀麗、ストレートの長い髪を時々鬱陶しそうに掻きあげる仕草はまさに絵になる男だ。それに比べて、彼より20センチも背の低い僕は童顔で時々中学生に間違われる。
 本来なら女の子にモテモテだろうし、しかも優秀な頭脳を持った石田君だが、持病の偏頭痛に悩まされてリア充は捨てたと公言している。
 最近、大学の腐女子たちの間で、石田君と僕がいつもツレあっているからと、どうもヘンな噂を立てられているようだ。――だが、断じて違う! 僕らはBLとかそういう要素は全くない。
 僕らの関係は……ひと言では説明し難いが、変人過ぎて友達のいない石田君を保護してあげた親切な僕というか、なぜか石田君に懐かれてしまった気の毒な僕なのだ。

「けど、俺はクリスマス嫌いじゃない」
 何だよ! さっき、クリスマスの批判してたくせに。
「プレゼント貰えるから?」
「違う! 男が堂々とケーキを食べれる日だから」
 クリスマス以外の日に、男がケーキを食べてるって、なんか照れくさいかもなぁー。
「俺の密かな夢を教えよう。バスタブに生クリームをたっぷり入れて、そこに浸かりたい」
「うわっ! それってヘンタイだよ」
 何しろ石田君は無類の甘党なのだ。今も手に缶おしるこを持って、それをちびちび飲みながら語っている。
 缶おしるこを売っている自販機は極端に少ないので、実は遠くまで買いに行ってるらしい。ムスッと眉根を寄せて、不機嫌そうな顔でプリンを食べてる石田君は、まさにギャップ萌えの男なのだ。
 さっきから、隣のテーブルの腐女子のグループが僕らの方を熱い視線でみている。たぶん、男前の石田狙いだと思うが……なんか気になる。何しろ、乙女ゲーで頭の中を浸食された彼女たちには、石田君のような俺さまキャラが無類のご馳走らしい。 

「攻めてきたら、こっちも受けて立つさ!」
 脈絡もなく、いきなり石田君が大声でそう言い放った。
 えっ!? なにそれ? 隣の腐女子たちが一瞬どよめいた。
 そ、そ、それは決して口にしてはいけない。BL好きには堪らないキーワードなんだ!
「石田君、それはダメ!」
「は? 囲碁の話だ。俺の趣味の話さ」
 多趣味、多芸の石田君は囲碁も上手い。そんな年寄り染みたと思うが、町内の老人会で囲碁の指導をするくらいの腕前らしい。
 子どもの頃、田舎のお祖父ちゃんの家で碁石をオセロと間違えて「おじいちゃん、これ裏も表も色が変わらない」といって、親戚中の笑い者にされて、挙句『愛されるアホの子』認定を受けた、この僕は囲碁なんか大嫌いだ。
「黒と白のせめぎ合いだから」
「……だから、攻めるとか受けるって言葉がNGなんだ」
「なぜだ?」
 どうやら、石田君はBLについて何も分かっていないようだ。
僕らの会話に聴き耳を立てている、隣の腐女子たちに目配せをして、僕は声をひそめて、
「……そういうことをいうと誤解されるんだって」
「なにを?」
「だから噂に……」
「おまえのそういう心配性なところが女みたいで、ほんと可愛いよなー」
 と言って、僕の頭をワシャワシャ撫でた。ぐはっ! なんてことするんだ。
隣のBL好きの腐女子たちが確信に充ちた顔で僕らを見ている。
「よし! 駅前にスイーツの美味しい店がある。ついてこい奢ってやるさ」
 そういうと石田君は僕の腕を掴んだ。まるで肩を抱かれるようにして拉致られた。このシュチエーションはヤバ過ぎる! 選りによって石田君と僕が淫靡な関係なんて有りえない。

 その後、駅前のお店にまで、腐女子たちが僕らを追跡してきたことは言うまでもない。
 絡みつくような熱い眼差しで僕と石田君を見ている彼女たちの、脳内で作り上げたストーリーに僕らを勝手に投影しているに違いない! 
 今では大学の公認BLカップルに認定された僕と石田君なのだ――。
 それこそ不条理だ!




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   創作小説・詩
by utakatarennka | 2015-07-13 20:50 | 現代小説