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アニメ記録ファイル 199

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今までに鑑賞してきたアニメについて
やや声優さん寄りの視点にて、
腐女婆の独断と偏見によるアニメ感想なのだ。

作品資料などは私が登録している
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からお借りしております。


 ■ 作品名 ■

『うさぎドロップ』

 ■ あらすじ ■

30歳の独身男ダイキチは祖父の葬儀で見知らぬ6歳の女の子りんと出会う。
実は祖父の隠し子であることが分かり驚愕するダイキチ。
親戚たちがりんを引き取る話し合いのふりをしながら互いに責任を押しつけ合う中、見兼ねたダイキチは勢い余ってりんを引き取ることを宣言してしまう。
正義感は強いがうっかり者のダイキチと、子供ながらにどこか芯の強さをもつ少女りん。
ふたりの凸凹・二人三脚・共同生活が始まる。

 ■ キャスト ■

キャスト:河地大吉(CV:土田大)、鹿賀りん(CV:松浦愛弓)

 ■ スタッフ ■

原作:宇仁田ゆみ「うさぎドロップ」(祥伝社・フィールコミック)
監督:亀井幹太
シリーズ構成:岸本卓
アニメーション制作:Production I.G

 ■ ジャンル ■

ドラマ/青春 日常/ほのぼの

 ■ 制作年 ■

2011年

 ■ 感想 ■

すごく良い話だった!
育児や子どもの成長など、真面目に描かれていて内容に感動した。
ほのぼのしたアニメで観ると心が温かくなるようだ。

 ■ 評価 ■

 ★★★★


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by utakatarennka | 2018-03-31 19:46 | アニメ記録

アニメ記録ファイル 198

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 ■ 作品名 ■

『デスマーチからはじまる異世界狂想曲』

 ■ あらすじ ■

デスマーチ真っ最中のプログラマー“サトゥー”こと鈴木一郎。
仮眠を取っていたはずが、気が付くと異世界に…!? 視界の端には、仮眠前に作っていたゲームを思わせるメニュー画面。レベル1の初期状態。ただし初心者救済策として実装したばかりの「全マップ探査」とマップ殲滅ボム「流星雨」×3付。
目の前には蜥蜴人の大軍が! 助かるために「流星雨」を使用したサトゥーは、その結果レベルが310となり莫大な財宝を手に入れる――。
夢か現か、ここにサトゥーの旅が始まる!

 ■ キャスト ■

サトゥー:堀江 瞬/ゼナ:高橋李依/ポチ:河野ひより/タマ:奥野香耶/リザ:津田美波/アリサ:悠木 碧/ルル:早瀬莉花/ミーア:永野愛理/ナナ:安野希世乃

 ■ スタッフ ■

原作:愛七ひろ(株式会社KADOKAWA/カドカワBOOKS刊)
監督:大沼 心
シリーズ構成・脚本:下山健人
キャラクターデザイン:滝本祥子
アニメーション制作:SILVER LINK. × CONNECT

 ■ ジャンル ■

SF/ファンタジー

 ■ 制作年 ■

2018年

 ■ 感想 ■

途中まではかなり面白かったが、最後の方はお決まりのハーレム展開になってしまった。
主人公のサトゥーがこっちの世界に還ってこれるのか気になるので、ぜひ二期も作ってもらいたい!

 ■ 評価 ■

 ★★★


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by utakatarennka | 2018-03-30 19:31 | アニメ記録

アニメ記録ファイル 197

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 ■ 作品名 ■

『魔法使いの嫁』

 ■ あらすじ ■

羽鳥チセは15歳の少女。彼女は帰れる場所も、生きる理由も、そのための術も、何も持ち合わせていない。
ただひとつ、生まれ持った特別な力を除いて。そんなチセを弟子として、そして将来の花嫁として迎え入れたのは、異形の魔法使い・エリアス。
悠久の時を生きる魔法使いの暮しの中で、チセは大切な何かを少しずつ取り戻していく…。これは、世界の美しさを識る為の物語。

 ■ キャスト ■

羽鳥チセ:種﨑 敦美/エリアス:竹内 良太/ルツ:内山 昂輝/シルキー:遠藤 綾/アンジェリカ:甲斐田 裕子/サイモン:森川 智之/セス:諏訪部 順一/リンデル:浪川 大輔/レンフレッド:日野 聡/アリス:田村 睦心/ティターニア:大原 さやか/オベロン:山口 勝平/カルタフィルス:村瀬 歩

 ■ スタッフ ■

ヤマザキコレ(マッグガーデン刊)
シリーズ構成/監督:長沼 範裕
キャラクターデザイン:加藤 寛崇
アニメーション制作:WIT STUDIO

 ■ ジャンル ■

恋愛/ラブコメ

 ■ 制作年 ■

2017年

 ■ 感想 ■

今季の冬アニメで一番楽しみにして観ていたのが、この『魔法使いの嫁』です。
やや暗い話ではありますが、イギリス風の世界を舞台に雰囲気のある物語でした。
最後もハッピーエンドっぽく終われて良かったです。

 ■ 評価 ■

 ★★★★


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by utakatarennka | 2018-03-29 14:10 | アニメ記録

アニメ記録ファイル 196

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 ■ 作品名 ■

『りゅうおうのおしごと!』

 ■ あらすじ ■

玄関を開けるとJSがいた――「やくそくどおり、弟子にしてもらいにきました!」16歳にして将棋界の最強タイトル保持者『竜王』となった九頭竜八一の自宅に押しかけてきたのは、小学三年生の雛鶴あい。9歳。
「え? …弟子? え?」「…おぼえてません?」覚えていなかったが始まってしまったJSとの同居生活。ストレートなあいの情熱に、八一も失いかけていた熱いモノを取り戻していくのだった。

 ■ キャスト ■

九頭竜八一:内田雄馬/雛鶴あい:日高里菜/夜叉神天衣:佐倉綾音/空 銀子:金元寿子/清滝桂香:茅野愛衣/水越 澪:久保ユリカ/貞任綾乃:橋本ちなみ/シャルロット・イゾアール:小倉 唯……他

 ■ スタッフ ■

原作:白鳥士郎(GA文庫/SBクリエイティブ刊)
監督:柳 伸亮
シリーズ構成:志茂文彦
キャラクターデザイン:矢野 茜
アニメーション制作:project No.9

 ■ ジャンル ■

スポーツ/競技 ドラマ/青春

 ■ 制作年 ■

2018年

 ■ 感想 ■

将棋の話というよりもロリコンネタだった。
作画は可愛いけれど、ストーリーは道義的にどうかと思う。
9歳の女の子との同棲生活? 大人としては・・・こういうアニメはどうかと思うけどね。

 ■ 評価 ■

 ★★★


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by utakatarennka | 2018-03-28 13:55 | アニメ記録

アニメ記録ファイル 195

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 ■ 作品名 ■

『瀬戸の花嫁』シリーズ

 ■ あらすじ ■

ごく平凡な中学生、満潮永澄の平穏な毎日は、とある夏の出来事を境に、音を立てて崩れ去っていった。
帰省していた瀬戸内のビーチで溺れてしまった永澄を助けたのは、なんと人魚の女の子、瀬戸燦!
しかも、人魚の世界は、「渡世の仁義」を重んじる仁侠の世界だった上、人間に姿を見られれば、その人間か自分のどちらかが死ななければならないという掟が存在した。
最後に残された回避手段は、「人魚の正体を知った人間が人魚の身内となる」という方法のみ!
「どちらかが死ぬか、人魚の身内となるか」そんな究極の選択を迫られた永澄が出した結論は燦との結婚だった!永澄と燦の2人を中心に、人間、人魚さまざまなキャラクターたちが騒動を巻き起こすドタバタギャグ&ラブコメディ

 ■ キャスト ■

瀬戸燦:桃井はるこ/満潮永澄:水島大宙/江戸前留奈:野川さくら/瀬戸豪三郎:三宅健太/瀬戸蓮:鍋井まき子/政:村瀬克輝/巻:桑谷夏子/シャーク藤代:子安武人/永澄の父:伊丸岡篤/永澄の母:並木のり子/永澄の祖母:松島栄利子/銭形巡:森永理科/委員長:力丸乃りこ/猿飛秀吉:矢部雅史/三河海:小野大輔/アバンナレーション:山崎バニラ

 ■ スタッフ ■

原作:木村太彦(掲載 月刊「ガンガンウイング」スクウェア・エニックス刊)
監督:岸誠二
シリーズ構成:上江洲誠
キャラクターデザイン:森田和明
アニメーション制作:GONZO × AIC

 ■ ジャンル ■

コメディ/ギャグ 恋愛/ラブコメ

 ■ 制作年 ■

2007年~

 ■ 感想 ■

『月がきれい』の岸誠二監督の作品なので観てみました。
ハッキリ言って『ニセコイ』もそうだけど、こういうドタバタ・ラブコメントは大嫌いです。
絵も気持ち悪いし、5話くらいでもう観るのを止めた。

 ■ 評価 ■

 ★★


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by utakatarennka | 2018-03-27 13:44 | アニメ記録

アニメ記録ファイル 194

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 ■ 作品名 ■

『妖怪アパートの幽雅な日常』

 ■ あらすじ ■

両親を亡くしたため、親戚の家で肩身の狭い生活をしていた稲葉夕士は、高校入学を機に一人暮らしを決意する。そこで見つけた格安の下宿先「寿荘」。
しかし、そこはなんと妖怪・幽霊・人間が入り混じる奇妙な「妖怪アパート」だった─!!
不気味な姿をした妖怪たちにはじめは戸惑う夕士だったが、彼らとの奇妙な共同生活の中で、それまで閉じていた心が徐々に開いていく・・・。

 ■ キャスト ■

稲葉夕士:阿部敦/長谷泉貴:中村悠一/一色黎明:石田彰/久賀秋音:沢城みゆき/深瀬明:中井和哉/骨董屋:速水奨/龍さん:森川智之/古本屋:杉田智和/佐藤さん:遊佐浩二/クリ:釘宮理恵/シロ:田村睦心/フール:子安武人

 ■ スタッフ ■

原作:香月日輪(YA! ENTERTAINMENT)
監督:橋本みつお
シリーズ構成:山田靖智
キャラクターデザイン:島崎知美
アニメーション制作:シンエイ動画

 ■ ジャンル ■

ドラマ/青春

 ■ 制作年 ■

2017年

 ■ 感想 ■

このアニメはとにかく声優陣が超豪華だ。
脇役にもベテラン声優たちが声を当てているから凄い!
それとグルメアニメかと思うほど、毎回美味しい料理を食べるシーンがある。
これで賄いつきで家賃25,000円は安い、妖怪が出ても住みたくなるかも(笑)
ただ、作画がちょっと古臭い感じがする。
ストーリーもシリアスなのかギャグなのか微妙な展開だった。

 ■ 評価 ■

 ★★★


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by utakatarennka | 2018-03-26 13:29 | アニメ記録
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   第二十三章 一か八か勝負!?

 秋生の声で僕は覚悟を決めた。ナッティーが前に瘴気に当たって気を失った、あのパソコンに入るつもりだ。
 しかし、大魔神深野の雷は的を射て攻撃してくるので、今は逃げるのに必死で、そのチャンスすら作れないでいる。

 ふと見ると、消し炭になっていた秋生のアバターから青いオーラが羽衣のように、ふわふわと漂いながら、ナッティーの身体を包み込んでいた。秋生の霊魂がナッティーと合体していくようだ。いったい、何が始まるんだろう?
 僕を攻撃することに気を取られていた深野は、ナッティーたちの不穏な動きに気付いて、
「おまえら、何をやっているんだ?」
 ナッティーのアバターの中に秋生がすっかり収まったようだ。
「この虫けらどもが、踏み潰してやる!」
 ナッティーに向けて、巨大な脚が踏み付けようと下りてきた。
「ナッティー危ない!」
 次の瞬間、信じられないことが起こった。大魔神深野がすごい地響きを立ててひっくり返ったのだ。見ると、踏み潰されたと思っていたナッティーがムクッと立ち上がっているではないか!
 これは盗賊キャラが使える『やぶれかぶれの一撃』という技だった。どんな強い相手でも一撃で倒せる超レア技である。これには、さすがの大魔神も一本取られたようだ。

 僕の耳に再び秋生の声がした《ツバサ! 今だ、パソコンを壊しに行ってくれ》それに応えて「よっしゃー、任せろ!」すごい勢いで二次元の壁をよじ登り、深野のパソコンの窓まで到達した「南無阿弥陀仏」念仏を唱えると「おりゃあああぁ―――!」と、掛け声と共に身体中に『気』を集めて、パソコンの中に飛び込んだ。

 「うっ! なんだ? この黒い空気は息が苦しい……」
 黒く渦を巻くトンネルのような所を潜っていた。
 頭の中に『憎しみ』や『恨み』や『嫉妬』など禍々しい感情が飛び込んでくる。きっと黒い感情を抱いたまま死んで逝った、浮かばれない霊魂たちが彷徨っているのだろう。弱い心だと憑かれそうだった。
 次第に意識が遠のくようで……身体が硬直しそうになったが、守らなければならない仲間のことを想いながら、僕は必死で堪えていた。
 ――やっと出口が見えた!
 窓の向うで深野が、腐った魚みたいな眼でパソコンに向かっていた。
 スルリとパソコンから抜けた僕は、深野の身体に入り込もうとした。僕が入るためには深野自身の霊魂を追い出さなくてはならない。悪霊たちに依って弱小化していた彼の霊魂を恫喝(どうかつ)して無理やり肉体から放り出した。
 どうにか三次元の肉体を手に入れたが、やはり他人の肉体は違和感がある。たぶんそんな長い時間は入っていられないだろう。
 黒いパソコンを壊すために僕は道具を探した。深野の部屋は八畳のくらいの洋間できれいに片付いていた。見れば、ベッドの下に筋トレ用に使っていたと思われる鉄アレイが転がっている。

 よし、これだ! 3キロの鉄アレイを握ると、僕は黒いパソコンに思い切り叩きつけた。
 バキッバキッと音を立てて、パソコンから火花が散った!  なおも、鉄アレイを何度も振り下ろし叩きつけた。「ぎえぇぇ―――っ!」と、人の叫び声のようなものが聴こえて、閃光を放ち爆発してパソコンは粉々に飛び散った。

 その瞬間、僕も意識を失って崩れるように、その場に倒れてしまった――。

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   第二十四章 二次元の友情は永遠に

 どれくらい時間が経ったのだろうか――――。
 自分の部屋のベッドの上で意識を取り戻した。あの後、深野の肉体から離脱した僕の霊魂は、持ち主の肉体を探して戻ってきたのだろうか?
 机にうっぷしていたはずなのにベッドに横たわっているということは、一度、意識を取り戻して、再び、眠ってしまったのかもしれない。他人の肉体に入るということは想像以上にエネルギーを消耗するようだ。

 ハッと気付いて、飛び起きて僕はパソコンを起動させた。ずいぶん時間が経っていたので電源が落ちていた。
 ナッティーと秋生はどうなったんだろうか?
  パソコンは普通に起動していたが、モンスターランドにいっても、マイページにいっても……いくら呼び掛けても、ナッティーも秋生も応えない。
 ふたりともどうなったんだ!? 
もしかしたらあの戦いで疲れ果てて倒れているのかもしれない。今日は様子をみることにして、僕はパソコンを落として、再びベッドに倒れこんで泥のように眠った――。

 翌日、学校にいったら大騒ぎになっていた。
 生徒会長の深野が、昨夜、自宅で倒れて救急車で運ばれたが意識不明の重体になっているそうだ。部屋の中に粉々になったパソコンがあったので、爆発、感電した可能性もあると言われている。まだ、意識が戻らなくて、ほぼ植物人間状態らしい。
 学校中がその噂で騒然としていた。

 あんなひどいことをしていた深野とはいえ、ずっと植物人間のままだと、ちょっと可哀相だと僕は思った――彼の秋生へのおぞましい嫉妬心が、あの悪霊たちを召喚してしまったのだろうか?
 自業自得といえば、そうかもしれないが……人は誰でも弱い心を持っている。きっと深野は人を信じることができなくて、孤独や挫折感など鬱積した感情が誰を攻撃するというネガティブな行動に駆り立てたのだろう。
 3ちゃんネルの匿名掲示板では、自分自身の正体を隠して相手を攻撃できる。そのことが深野の人間性を歪め、ネットとリアルを使い分ける、二重人格『ジキル氏とハイド氏』へと変貌させていったのだろうか?
 そして、ネットという匿名の世界で『良心』という大事な心を失くしてしまったのかもしれない。――彼もまたネット社会の犠牲者ともいえる。

 その日、急いで家に帰った僕は、パソコンを開いてナッティーに呼び掛けた。
「おーい、ナッティー!」
しばらくすると、
「ツバサくん、乙カレー!」
 いつもの元気なナッティーの声が聴こえた。無事で良かった、僕は胸を撫で下ろす。
「あのね、ツバサくんに紹介したい人がいるの。ウフッ」
 意味深なナッティーのウフッと共に、パソコンの画面にイケメンのアバターが現れた。
「新しい彼氏だよーん」
「ツバサ、ぼくだよ。秋生」
「おおー! そのアバター、カッコイイなぁー」
 それは〔青い貴公子〕と呼ばれる。超レアアバターのフェイスではないか!
「うん。アバター燃えちゃったから、ナッティーが新しいのをくれたんだ」
「このフェイスはナッティーのお気に入りなの。いつか彼氏ができたら付けて貰おうと思って、ずっと持っていたのよ。秋生くんに使ってもらえて嬉しいわ」
「秋生だけ、イイなぁー」
 ちょっとイジケてみたりして……。
 あの後、モンスターランドで大魔神深野はパソコンが壊されたと同時に消えてしまったらしい。ナッティーは自分と同化している秋生の霊魂を取り出して、新しいアバターに移したが、深野の黒いオーラで穢された霊魂を浄化するのに丸一日かかったということらしい。――とにかく、ふたりとも無事で良かった!
 そして、このふたりに学校で聞いた深野の様子を説明した。
「――そうか、深野さんの霊魂は悪霊どもに持っていかれたのかもしれない。あんなすごいパワーを与えられた換わりに、自分の『魂』を捧げると契約した可能性がある」
「どうして、あんなバカなことをしたんだろうか……」
 植物人間になってしまった深野のことを考えて、僕と秋生はしんみりとしてしまった。今にしてみれば、すべて深野の心の闇が作りだした幻影でしかない。
「それにしても、あいつはメッチャ強かったわ」
 いきなりナッティーが言い出すと、秋生も話を繋いて、
「そうだね。三人で協力しないと絶対に勝てない相手だった」
 「何度も殺られそうになったけど、ナッティーは秋生くんとなら死んでもイイと思ったんだよ」
 嬉しそうにウフッとナッティーが笑う。その言葉に秋生はテレている。――そんなふたりの空気にムッして、
「だ~か~ら~、おまえたちはもう死んでいるだろうがぁー!」
「うっさい!」
 ナッティーと秋生ふたりして言い返しやがった。クッソー!
 そして三人で笑い合った。
 二次元の幽霊ふたりと三次元の僕の不思議なトリオの誕生なのだ。
 
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   エピローグ

 あれから、ナッティーと秋生は『わくわくアイランド』という島を育てるゲームの中で、自分たちの島を造り、家を建てて、牧場には家畜やペットを飼い、農園では野菜や果物を育て、魚釣りやクルージングをして楽しそうに暮らしている。
 秋生はナッティーのアバターにお金がかかるので、有料電子書籍サイトに『秋生 ツバサ』というペンネームを使って小説を書き始めた。たちまち人気作家になった秋生は毎月原稿料が入るようになった。
 一流出版社からもオファーがきているが、こっちでの代理人はすべて僕がやっている。何しろ執筆しているのは本物の幽霊だから……文字通り、秋生は『ゴースト作家』になったのだ! あははっ 

 この世に肉体のないナッティーと秋生だけど、二次元の世界で幸せそうだった。きっと、成仏するその日まで、この愛をふたりは育てていくのだろう。
 ちょっと羨ましいけど、親友としてふたりを応援するぜぇー!

 ああ、それから深野さんのことだが、半年後に、ようやく意識を取り取り戻すことができたみたいだ。だけど完全に記憶を失っていて、もう一度赤ちゃんからやり直しなのだ。きっと、新しい魂が再生するのに時間がかかったのだろう。
 もう二度とあんな過ちは犯して欲しくない! 健やかな心に育つように僕は祈っている。

 ネットの世界は楽しさいっぱい、刺激がいっぱい、繋がり合えば夢が広がる!

 だけど、3ちゃんネルのような掲示板サイトでは、匿名だから、何を書き込んでもバレない、構わない、人を傷つけても知らんぷり、そんな奴らもいる。
 匿名の持つ不透明さが、パソコンの向う側の誰かの胸に『言葉のナイフ』を突き刺していることを分かっているのだろうか?
 ネットでの匿名ということが、なにをやっても罪にはならない。まるで『免罪符』のように使われていることがとても怖ろしいことだと僕は思う――。

 もう決して『誹謗・中傷』『無断転載』『名誉棄損』をしない、明るく健全なネット社会になることを、僕は心から願っているんだ!

― END ―




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創作小説・詩

by utakatarennka | 2018-03-25 12:40 | ミステリー小説
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   第二十一章 敵の素顔に迫る

 ナッティーがモンスターに捕まっていた時の状態を話した。
 幽霊だから痛みはないのだが、瘴気みたいなのにあてられて、ずっと意識を失っていたようだ。深層意識は眠っていなかったので、意識を取り戻そうと必死でもがいていたが、まるで『金縛り』にあったように、身体がピクリとも動かなかったらしい。

「幽霊が金縛り? それって可笑しくなぁい」
「もう、生きた心地がしなかったわよ」
 首をすくめ顔をしかめて、ナッティーが答えた。
「えっ? もう死んでるのに……」
「んもぅ、うっさい!」
 いつものジョークで笑い合って、僕らは戦いの前の緊張をほぐそうとしていた。

「おまえら、余裕こいてる場合かよ!」
 いきなり、二次元の壁に声が轟いた。
「なんだぁー!?」
 僕らは声の在りかを探してキョロキョロと見まわす。すると黒づくめの衣装を着た魔術師がすぐ側に立っていた。
「おまえは……」
「あぁー! よくもあんな目に合わせたわね!」
 ナッティーが怒りを込めて叫んだ。
「おまえがヘボ過ぎるんだ。バカめ!」
「今度は負けないわよっ!」
 バズーカ砲を敵に向けた。
「あははっ、ホントにバカな女だ。そんなモノが俺に効くかよ」
 奴のレベルを見て、僕らは目を剥いた。なんと、レベル2000以上もあるのだ。とても、このゲームの常識では考えられない数値だった――。
 いったいどんなチート技を使えば、こんなレベル上げができるんだよ!?

「――誰なんだ、君は?」
 秋生が敵の前に歩み出た。
「おや? 雑魚(ざこ)が一匹増えているじゃあないか」
「なぜ君は僕に対して危害を与えようとするんだ? 理由を教えて欲しい」
 不思議な光景だ。秋生が自分自身のアバターに話かけている。
「理由? そんなもんあるかよ! おまえが気に入らないだけさ」
「……君は、……そのオーラは以前に感じたことがある。――黒いオーラの中に、微かに流れている薄紫色の波動は……誰だろう? 懐かしい感じがする」
 何かを探るように凝視している。
「深野さん! 君は深野さんだね!?」
 魔術師と対峙していた秋生が突然叫んだ。
「――――なっ!」
「ええぇ―――!!」
 ――まさか、あの深野さんなのか? 
 秋生のお葬式や火葬場まで一緒にきてくれていたし、マンションの自殺現場でも会った、文芸部では創作仲間だった、あの深野さんって……そんなの嘘だろう? 真犯人がこんな身近にいたなんて……。

「村井、おまえ幽霊になったせいで感が良くなったなあ。今頃、気が付いても遅いぜぇ」
「深野さん、あんたが3ちゃんネルの書き込みや、いたずらメールを送っていた犯人なのか?」
「――そうさ」
「どうして……?」
「それだけじゃあない。のべるリストの創作者たちを扇動して『村井秋生』叩きをさせたのも俺さ。あいつら利口そうな振りしているが、単純な奴らで、俺がほうぼうのコミュニティで村井の悪口を書いて回ったら、すぐに賛同しだして、ひとりだと叩けないもんだから――ダーティなリーダーが現れたら、勢いづいて『俺も、俺も……』で言いたい放題さ。しょせん、主義主張なんてないんだ。あいつらは人気や才能のある奴をただ叩きたいだけさ!」
『便所のラクガキ』だと、3ちゃんネルを評した言葉があるが、あながちその言葉を否定することはできない。
 秋生の件で、いろんな3ちゃんネルの文学系スレを読んで回ったが、どこも酷いものだった――。文学の批評ではなく、単に相手の作品や人格をこけ降ろしているだけの、非常に低次元の話を馴れ合いたちとやっている。そこには創作者としての品格は微塵なく、単なる野次馬たちでしかなかった。
 彼らは、なまじ言葉を知っているだけに、辛辣・悪辣・非道な書き込みばかりで、こんな風に顔も知らない人間を生贄にして、血祭りにあげられる人間性というのは『秋葉原の通り魔殺人』の犯人の心理と通じるものがあるとさえ思った――。

「――もしかして、僕のホームページから作品を盗んだのも深野さん、あんたか!?」
「そうだ、俺だよ」
「どうやって、そんなことができる? 何度パスワードを変更してもパス抜きをされたし、保存場所を変えても簡単に見つかった」
「それは俺のパソコンが優秀だからさ!」
「パソコンが……?」
「俺はもらったんだ! 凄い霊力を持っているモンスターに――。ある日、パソコンをやっていたら、不思議なバナーが出ていた『あなたの才能を伸ばしましょう! 将来は一流作家の仲間入り!』そう書かれていた。最初はこんなバナー無視していたし、何だよ、これ嘘くさい。って、クリックなんかしなかった」
「……普通はそうだろう」
「村井、おまえと一緒にラノベの公募に送ったことがあったよな? おまえは入賞して出版社からオファーがきたって言ってたよな?」
「あれは断わったよ。もっと投稿サイトで小説の勉強がしたいから……」
「なんでそんな勿体ないことをするんだ! 自分には才能があるからチャンスなんていくらでもあるとでも思ってんのかっ!?」
「違う! そんな風には思ってないよ」
「将来は小説家になることが夢だった。……なのに俺が書いた小説は一次選考さえ通過できなかったんだ。悔しかった! おまえとの才能の差を思い知らされて、俺は落ち込んでいた。そんな時だった『才能を伸ばす』というバナーの文字に魅入られてしまったのは……」
 イヒイヒッと不気味な声で深野が笑った。それは完全に魂を乗っ取られた脱け殻の声だった。
「そして……あのバナーをついにクリックしたのだ!」
 僕らはその先の話が聞きたくて、思わずゴクリと生唾を飲んだ。

   ※ ラノベ=ライトノベルの意味。ライトノベルの定義に関しては
     様々な説があり明確にはなっていない。
     簡単に説明して、表紙や挿絵にイラストを多用している若年層向けの
     小説とするものである。
     作家側の定義として「中学生~高校生をターゲットにした読みやすく
     書かれた娯楽小説」である。

「そのバナーを開くと、こう書いてあった『選ばれたあなたにだけ、このバナーは表示されています』次へをクリックしたら、黒いボディのノートパソコンの画像があって『このパソコンを無料でお届けします』と書いてあった。俺は思わず『受け取る』をクリックしてしまった。あくる朝、目を覚ましたら俺の机の上に、その黒いパソコンが置かれていたのだ」
 バナーをクリックした翌朝にはパソコンが届いているなんて、どう考えても不自然ではないか。なにか、不思議な力が働いているとしか思えない。
 そして、深野はしゃべり続ける。
「俺は興味を覚えて、その黒いパソコンを起動させてしまった。すると、すぐに立ち上がりパソコンの中から男の声が聴こえてきた『このパソコンは二次元と三次元を繋いでいます。あなたはネットの世界に入り込んで自由に望み通りのことができます。さあ、試してみなさい!』そうパソコンの声が俺に話しかけてきたのだ。最初は信じられなくて躊躇していたら、いきなりパソコンの中から手が出てきて俺は二次元の世界に引っ張り込まれたんだ。そしたら、いろんな奴のパソコンの中身が見れるじゃないか。村井のホームページを覗けて俺は面白くなってきた」
「ダメよ! その黒いパソコンには悪霊が憑いているわ」
 ナッティーが叫んだ。

「俺は構わないさ、才能のある奴の小説をパクって俺が有名になるんだ」
「深野さん、人の作品を盗んで有名になっても、そんなの虚しいだけだろう?」
 作品を盗用された秋生がムッとして言い返した。
「俺は自分の才能に見切りをつけていた。村井の書く文章は宝石のように輝いているのに、俺の文章はただの石ころでしかない。努力したって天性の才能には絶対に勝てない! おまえの才能が心底妬ましい」
「深野さん……」
「死ねばいいと思うほど憎らしかった!」
 深野の背中からどす黒いオーラが蛇のように鎌首をもたげた。
 なんとも怖ろしい嫉妬のオーラである。人間の感情の中でもっともどろどろした情念が、この『嫉妬』だろう。怒りや憎しみといった負の感情の中で『嫉妬』には愛情にも似た強い執着心が存在する。
 ――それは単なる憎しみよりもずっと厄介代物(しろもの)だ。

「深野さん、そんなの嘘だろう? あんたは秋生のお葬式にも来てくれたし、火葬場ではあんたも泣いていたじゃないか? 秋生の自殺現場では会った時も悲しそうだった」
 こんな酷いことをやっていたなんて、僕には信じられなかった。
「火葬場で俺が泣いていた? おまえはアホか、後ろ向いて肩を震わせていたのはなぁー、骨だけになった村井の遺体が滑稽で、俺は笑っていたんだ!」
 そう言うと、あははっと嗤った。
「な、なんだと!?」
 その言葉に、僕の怒りが沸騰点に達しそうになった。
「自殺現場を見に行ったのは、微かに村井の波動を感じるのであそこで自縛霊になっているかどうか確かめに行ったんだ。――そしたら、村井はいなかったのでオカシイと思ったら、いつの間にかネットの世界に入り込んでいたのさ」
「深野さん、こんなことはもう止めろ! これ以上、誹謗・中傷で人の命を奪ってはいけない! 僕と同じ犠牲者をこれ以上は増やさせないぞっ!」
 いつも大人しい秋生が、いつになく激しい口調で言った。
「ごちゃごちゃうるせい!」
 いきなり魔法の杖を振り上げて、深野は呪文を唱えだした。
 もの凄い霊力に二次元の壁は軋み、疾風が舞う、真っ黒なオーラが周りの色を奪っていく、その中で深野の身体が見る見る巨大化していった。

「おまえら、捻り潰してやる!」

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   第二十二章 二次元の対決!

 「うわーっ! こいつは大魔神か!?」

 二次元の天井を突き破るほどの高さにまで大きくなった。さすがレベル2000のパワーはもの凄い!
「もう終わりだ。今度こそ地獄へ送ってやる」
 天井から響くように声がする。敵が、こんなに巨大化するとは思ってもいなかった、これは「想定外」だ。こんな化け物とどうやって戦えばいいのだ?
「みんなで協力して戦うしかない!」
 秋生が覚悟を決めたように叫んだ。 ナッティーはバズーカ砲より、さらに強力なロケット砲を肩に背負って、大魔神深野に打ち込んだ。
「うりゃああああああああぁぁぁ―――!」
 連射されたロケット砲がさく裂して火の手が上がる、だが敵はこたえている風もない。
 深野は魔法の杖を使って、天井から雷(いかずち)を降らしてくる。先ほどのモンスターの赤い火の玉と違って、きちんと的を射て降ってくるのだ。
 それでも大魔神には痛くも痒くもない、まったくダメージを与えられない。

「ウザい女めぇー」
 魔法の杖をふり上げた。
「ナッティー危ない!」
 青いオーラでバリアーを張って秋生が、間一髪でナッティーを助けた。だが、次の瞬間、秋生が雷の犠牲となった。激しい電流で身体を焼かれ、真っ黒になった彼のアバターからは白い煙が立ち上っていた。秋生が倒されたら誰も回復技を使えない、もう後がない!
「秋生くーん!」
 ナッティーの絶叫が聴こえる。
 必死で敵の脚やら脛に僕は『無敵の剣』で切り込んだが、まるで歯がたたない。――まるで一寸法師と大鬼の戦いだ。
 レベル300では傷ひとつ付けることができない。巨大な脚で払われて、僕は数百メートルふっ飛ばされて、おもいきり地面に叩きつけられた。クラクラする頭で考えていた《自分は敵に殺られても、ナッティーだけは助けないといけない……絶対に!》僕は立ち上がり『無敵の剣』振り上げ、敵に向かって突進していく――。
「メーンヤァー!」
 剣道の掛け声で僕は気合を入れた。
 その声に共鳴するように『無敵の剣』は刃の先から真っ赤なオーラを放ちパワーアップした。そのままジャンプして、敵の顔面に「メーン!」と一本入れた。
 その攻撃技には大魔神の深野もクラッときたようだった。
「うるせいっ! この蠅がぁー」
 今度は僕に向けて、雷の攻撃を集中的に仕掛けてくる。その後は逃げるのが必死だ。ナッティーと秋生はどうなったんだろう? もう考えている余裕もない!

 その時、僕の耳の中に声が聴こえてきた《ツバサ、深野のパソコンを壊してくれ》「えっ!?」それは秋生の声だった。《三次元に肉体を持っているのはツバサおまえだけだ。三次元に戻って深野のパソコンを壊してくれ……頼む……》虫の息のような声で、秋生が懇願していた。
 三次元に戻るとすれば、深野のパソコンから向う側に戻るしかない。もう時間に余裕がない。このままだといずれ三人とも殺られてしまうから……。
 一か八か!? ヤルっきゃないっ!



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創作小説・詩

by utakatarennka | 2018-03-24 11:36 | ミステリー小説
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表紙はフリー画像素材 Free Images 3.0 OhLizz 様よりお借りしました。http://www.gatag.net/


   第十九章 信じる友のために戦う!

 秋生がパソコンの中に入って、今日で三日が経った。
 まだ、なんの動きもない。ナッティーは相変わらずモンスターに噛み付かれた状態でフリーズしていた。
 秋生からは、なんの連絡もこなかった。もしかしたら……秋生も敵に捕まってしまったのかもしれない。だんだん不安になってきた――。
 フリーズしたパソコンの画面を見ていると、僕らをこんな目に合わせた、あの『見えない敵』が心底憎らしくて、悔しかった。

「チクショウー!」

 思わず、液晶画面を叩いてしまった。が、その時だ! 静止していた画面がコマ送りのように少しづつ動き始めた。

「おおっー! 動いた、やっと動いた」

 序々に動きがなめらかになってきた。死んだように動かなかった僕のパソコンがようやく息を吹きかえしたのだ。
 同時にパソコンの中から声が聴こえてきた。

「ツバサ、やっとパソコンが動いた。パソコンにかけた結界は破ったけど、それでも動かなかったんだ。――今、ツバサの怒りの波動がパソコンに流れて、やっと動き出したよ」
「秋生、ヤッター! これでパソコンの中に僕も入れる」
「ツバサ、今度は僕がこちらへ誘導するよ」
 そういうと秋生は画面に二次元の掌をニョキと突き出した。もう分かっているさ、僕はその掌に自分の掌を合わせた。
 その瞬間、ふわりと僕の霊魂が抜けてパソコンの画面の中へ吸い込まれていった。

 ――僕は、再び二次元の世界へ。

 僕はこないだと同じの戦士のアバターになっていた。秋生は元々魔術師だったが、今回は僧侶を選んだようだ。西遊記の三蔵法師のような衣装を身に付けている。
『モンスターランド』では、四種類のキャラから選べる。盗賊・魔術師・僧侶・戦士などがある。
 盗賊は敵のアイテムを盗んだり、時々レアな技を使って一発逆転のチャンスがある。魔術師は敵の技を封じたり、罠を仕掛けたりして敵を倒す。僧侶は主に回復技や防御が使える。hpが下がって死にそうになったら、僧侶の回復技でまた復活できる。
 戦士の僕は、派手な大立ち回りで敵と戦う役だ。秋生から連絡を待っている間、僕はリビングのパソコンで『モンスターランド』と、よく似た対戦ゲームをやって戦いに備えて特訓をしていたのだ。
 今度は前みたいに、モンスターにビビって遅れを取ったりはしない。

「秋生、ナッティーの様子はどうだ?」
「パソコン画面のフリーズは解除したが、モンスターはまだフリーズさせてある。今、ヘタに動かしてナッティーを呑み込んでしまったら、取り返しがつかなくなる」
「そうだな。モンスターの口からナッティーを吐き出させないと……タイミングが難しいな」
「僕がモンスターのフリーズを解除したら、ツバサは速効で攻撃技を入れるんだ」
「おう! 任せろ、今度は負けないぞぉー」
「ふたりで戦って、ナッティーを救おう!」
「秋生! よっしゃあ、いくぞぉー!」
 僕は戦闘準備に入った、まるで剣道の試合に臨む気構えだった。

「ツバサ、ちょっと待て!」
「なんだぁ?」
「動くな!」
 いきなり秋生は両手をあわせて八指まで掌中に入れ、残る二指をつき合わせて、九字結印で呪文を唱えた。
「臨・兵・闘・者・皆・陳・烈・在・前」
 すると、秋生の背中から青く輝くオーラが発散されて僕の身体を包み込んだ。何ともいえない清涼感が身体中を駆け廻った。
「よし!」
 秋生の回復技は終了――。
「……なんか、身体が急に軽くなったようだ」
「ツバサ、レベルを見てみろよ」
 驚いた! レベルが一気に300になっている。たった、レベル23しかなかった僕なのに……。
「秋生、すごくレベル上がったぁー! これなら絶対に負けないぞ」
「回復とレベル上げなら、僕に任せておけよ」
 あんなに人と争うことが嫌いだった秋生なのに、今は闘志満々だ。
「――秋生、おまえ変わったなぁー」
「そうか? 争い事が嫌いな性分だったのに……」
「おまえ強くなった気がする!」
 僕のいった言葉に、秋生はニンマリと笑った。

「――僕は、死んでから自分自身について考えてみたんだ。それで分かったことがある。今まで僕は誰とも面と向かってケンカをしたことがなかった。争い事を起こして面倒になるくらいなら自分の方から謝っておこうと、いつもそう考えてきたんだ。でもね、それって、ただの卑怯者の論理なんだよ。――良い子の振りをして、実はみんなに無関心だった」
「そうかな? 秋生は優しいからだと思うけど……」
「違うよ。自分の保身しか考えてなかった――。3チャンねるで叩かれた時、クラスのみんなに冷たい眼でみられて、誰も僕のことを信じてくれなかった。……と、いうのも今まで僕が誰かを守るために戦ったことがないので、僕という人間を誰も信じていなかったってことさ」
「秋生のことをよく知らなかったんだよ」
「いつも感情を隠すことで、本音の自分を見せなかった。クラスメイトたちとの軋轢を恐れて、周囲から距離を置く傍観者的立場だった。だから誰にも信用されなくて当然だよ。――こうなった原因の何パーセントは、僕の日和見主義にあったのだと分かったんだ」
「僕は秋生のことは信じている!」
「ありがとう」
「おまえが死んでも僕らの友情は変わらない」
「ツバサの友情だけが僕の心の支えだった。今さら気付いても、もう手遅れだけど……」
 やはり秋生は自分の命を捨てたことを後悔しているのだろう? 自嘲するように、フッとニヒルに笑ってみせた。
「僕のことを無条件で信じてくれるのはナッティーとツバサおまえだけだった。――だから、このふたりを守るために僕も全力で戦うんだ!」
「そうだ! 信じる友のために戦おう」
「よし! ツバサいくぞー」
「おうっ!!」
 その掛け声と共に、僕らの戦いの火ぶたが切って落とされた。

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   第二十章 桃園(とうえん)の誓い

 秋生が呪文を唱えた。すると、凍りついたように動かなかったモンスターがゆっくりと動き始めた。
 今だ! 僕は思い切りジャンプするとモンスターの眼に『無敵の剣』の刃(やいば)を突き刺した。モンスターが、けたたましい咆哮を上げた。その瞬間、咥えていたナッティーがポロリと零れ落ちた。――急いで秋生がナッティーを受け止めた。
 片目を潰されたモンスターは怒り狂って、赤い炎の玉を吐き散らし、その合間を掻い潜って攻撃を加えた。暴走するモンスターの背後に回り込んで、その上に僕は飛び乗った。背中にある剣のような骨質の板をかき分けて、モンスターの後ろ首に『無敵の剣』を深く突き刺した。
 モンスターは絶叫し嘶いて、そのまま巨体をつんのめるようにして地面に倒れ込んだ。急所だったので敢え無い最期だった――この一撃が効いたようだ。

「ヤッター、ヤッター!」
 モンスターをやっつけて飛び跳ねて喜んでいたが……見ると、ナッティーが目を覚まさない。秋生が回復技をかけて、なんとか蘇生させようと躍起になっている。
 子どもみたいに大はしゃぎしていた、自分が恥ずかしくなって、慌てて、ふたりのいる場所にいく――。
「ナッティーは大丈夫?」
「いや、まだ目を覚まさないんだ。かなりのダメージを受けていたから……」
「ナッティーしっかりしろ!」
 僕は心配になって、祈るような気持ちで大きな声で呼びかけた。その声に反応するように「う~ん……」とナッティーが呻いた。
「おーい、ナッティー! ナッティー!」
「……もう、ツバサくんの声がうるさいよぉー」
 顔をしかめ、悪態をつきながらナッティーがようやく目を覚ました。ところが、目を開けた瞬間!

「この偽者め! 許さない!」
 秋生のアバターを見るなり、いきなりナッティーが飛び起きて身構えた。そして秋生に向けてバズーカ砲を撃とうとしたので、僕は慌てて、二人の間に入って止めた。
「ナッティー、待って! 待って! こいつは本物の秋生なんだ!」
「えっ!?」
「村井秋生だよ。僕らの元に還ってきたんだ」
「本当に秋生くんなの? そういえば真っ黒なオーラを放っていない……」
 秋生がナッティーに話しかけた。
「ナッティー、ごめんよ。心配かけて……、秋生は死んだけど、違うカタチで蘇えったんだ」
「嘘?」
「嘘じゃないよ。ナッティー、僕だよ。秋生」
「ああ、青いオーラを放っている。間違いない、本物の秋生くんだわ」
 彼女の瞳から大粒の涙がはらはらと零れた。
「ナッティー」
「秋生くん……」
 その後、ナッティーは秋生の胸に縋って泣いていた。――このふたりは結構イイ関係だったのだと。ここにきて……鈍い僕が初めて気がついたのだ。
 泣いているナッティーの背中を撫でながら、こうなった顛末を秋生が説明していた「うん、うん……」とナッティーが素直に頷いて応えていた。なんだかイイ感じじゃないか――ちょっと、羨ましくもある。彼女いない歴十七年の僕だった。

 ちょっと待て! こんなラブストーリーな展開は可笑しいぞ。
 僕らは、もっと巨大な敵に立ち向かわなければならないのだから……。

「三人が揃った! これで見えない敵を我らの力で打ち負かすことができる」
 三国志風に僕は大層な物言いをした。
「そうだなあ、ナッティーもレベル上げしたら、三人のパワーは凄いものになるだろう」
「今度こそ、あの魔術師の男に負けないわ!」
「三人の力を合わせて戦う。まさにアレだ!」
「ん?」
「――我ら三人は名前や生年は違っても死ぬ時は一緒だ」
 いつか使いたかった、取って置きの三国志の名言『桃園の誓い』(とうえんのちかい)を朗々と述べた僕、……だが、
「だから、もう死んでるってば!」
 ふたり揃って言い返された。こいつら幽霊だった――。
 チクショウー!


   ※ 『桃園の誓い』意味は、大成を成し遂げるために固く誓い合うこと。
     三国志の名言で、劉備を長兄、次兄を関羽、末弟を張飛となり、
     義兄弟の契りを桃園で結んだ。三人は生涯この契りを忘れなかった。



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創作小説・詩

by utakatarennka | 2018-03-23 22:26 | ミステリー小説
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   第十七章 秋生の告白

 この話は死んだ秋生と僕がメールでのやり取りをして
 秋生を自身が語ったことである。

 それらを要約して、僕から分かりやすく説明しよう。

 そもそも秋生が自殺に至った原因は、3ちゃんネルの誹謗中傷の掲示板を見たクラスの女生徒を中心にシカト、陰口、悪い噂を流されるなどイジメに合っていた。
 特にショックだったのは、わりと好意を持っていた女生徒にまで「キモチ悪い、ヘンタイ、側にこないで!」と罵られたことである。――それで、もう秋生は学校へ登校できなくなってしまったのだ。
 その上、ネットに入るとマイページには大量のいたずらメール、観てもいないエロサイトからの高額請求メール、おまけに『のべるリスト』の作家たちの辛辣な批評や陰険な嫌がらせなど……どこにも身の置き所がなかった。

 何よりも、苦痛で耐えられなかったのは、ホームページの自分の小説を、何者かによって勝手に投稿サイトに転載していることだった。何度パスワードを変えても、すぐにパス抜きされて作品はどんどん盗用されてしまう。そのせいで、気が動揺して小説がまったく書けなくなってしまい……ついに秋生は「欝」状態に陥る。
 さらに、自分は誰かに命を狙われているのではないかという脅迫観念にも取りつかれて、誰にも相談することもできず、悶々とする内に……毎晩、自分が死ぬ夢をみるようになり、精神的に追い込まれて《自分は死ななければいけない》という強い思い〔希死念慮〕にかかってしまった。

 どうして、親友の僕に相談してくれなかったのか? という問いに対して、
「ツバサは部活と塾の勉強で忙しそうだったから……。高三は受験を控えた大事な時期だし、僕のネットトラブルに巻き込まれて、それに時間を割くのは申し訳ないと思っていたんだ。自分で何とかしようとやっている内に精神状態まで、おかしくなってしまった」
 ああ、死ぬ前に相談してくれればと、今さら悔やまれて仕方ない……。

 そして、自殺する前の日、マンションの児童公園で塾から帰る僕を秋生は待っていた。最後にツバサの顔が見たかったからと秋生はいう。
 あの日、僕とラーメン屋で少し話をして、マンションのエレベーターで別れた後、十二階の最上段の階段で飛び降りるチャンスを窺っていた秋生に、不思議なことが起こった――。
 意を決して、階段のフェンスに手をかけてよじ登ろうとしたら、急に意識が飛んで、崩れるように倒れた。……気が付いたら空中から、なんと自分の姿を見降ろしていたのだ。

 ――これはもしかしたら、幽体離脱か!? 
 そういえば、以前、ナッティーとゲームをやっていた時にもこんなことがあった。
 たぶん、一度、幽体離脱を体験した人間は霊魂が抜けやすくなっているのかもしれない。

 霊魂の状態で僕の所やお母さんにも挨拶にきたという。その時、秋生は思ったらしい――。もう、肉体を捨てて生まれ変わりたいと……。霊魂の自分はとても自由で清々しい気分だった。イノセンスというか、何ともいえないカタルシス効果を感じていた。

 いったん、肉体に戻った秋生は、階段のフェンスに跨がり自殺の準備をした《その時には不思議なくらい死ぬことが怖くなかった》飛び降りる前に、携帯のメール発信に時間指定をした。落ちると同時にメールがツバサに発信されるようにセットしておいた。
 ついに肉体を捨てた秋生は、十二階から落ちると同時に幽体離脱して、メールの電波に乗って、僕の携帯の中に入り込んだ。

 マンションから落下して死んだのは、魂のない秋生の肉体であった。

 ――そして秋生は、携帯から僕とナッティーの行動を見ていたというのだ。しかし、初めは僕と連絡の取りようがなくて、困っていたらしい。
 やっと霊力を上げて、生身の人間とコンタクトを取れるようになったのだ。

 何しろ、秋生は携帯に憑依した珍しい幽霊なのだから……。

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   第十八章 送信された霊魂

『 ツバサ、僕をパソコンに送ってくれないか?
                              秋生 』

『 パソコンに送るってどういうこと?
  秋生、いったい、おまえは何をするつもりなんだ?
                                 ツバサ 』

『 携帯から、パソコンにメールを送信してくれ、
  僕はその電波に乗ってパソコンに入っていくから、
  モンスターランドへ行って、ナッティーを助けたい!
                                  秋生 』

 『 ちょっと待て!
  秋生ひとりでは行かせないぞ!
  僕だって、ナッティーを助けたいんだ!!
                             ツバサ 』

『 そうか、分かった。
  僕が先にパソコンに入って、あのフリーズした
  画面を何とか直そう。
  そうすれば、ツバサも二次元に再び入ってこれるだろう?
                                      秋生 』

『 プリーズ! あのフリーズを直してくれ!
  僕も二次元に入って、一緒に戦うんだ。
  今度は死ぬ時も一緒だぜぇー!
                       ツバサ 』

『 いや、すでに僕は死んでいるから
  これ以上は死ねないさ(笑)
                    秋生 』

『 たしかにぃー(笑)
  じゃあ、パソコンに秋生を送信するから
  画面を直したら、僕を呼んでくれ

  何日でも待つから、秋生、おまえに頼んだ!
                               ツバサ 』
 
『 ツバサ、ナッティーを助けるために
  一緒に、敵と戦おう! 今度こそ僕は逃げないで戦うよ!
                                      秋生 』

 携帯から、パソコンのメールアドレスに秋生を送る準備をする。

 人と争うことが嫌いだった秋生が、自ら『戦う』という言葉を使った。
 それほど、あいつは『見えない敵』に対して強い怒りを持っているのだろう。
 それにしても敵は卑劣過ぎる。いたぶるように、パソコンの画面にナッティーを閉じ込めたやり方は悪趣味だ。これ以上、ネットのイジメで死者が出ないように、僕らはあの敵と戦って退治しなければならない。

  秋生、頼んだぞ! 心の中で念じながら送信ボタンを押した。

 ――メール送信が完了。

 果たして、上手くパソコンの内部に入れたかどうか心配だが……。今は秋生の霊力に頼るしかなかった。僕はドキドキしながら、秋生からの応答を待つことにした。

今度は絶対に逃げない! 仲間がいれば、僕だって最後まで戦い抜いてみせる!



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創作小説・詩

by utakatarennka | 2018-03-22 16:58 | ミステリー小説